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マンガ等の性描写が問題を生じさせる根拠を答えられない外務省(1/3)

週刊金曜日 9月17日(金)17時17分配信

 マンガやアニメ、ゲームなどでの性表現を規制しようとする行政側の動きと、規制へ反対する運動がせめぎあっている。

 国政レベルでは昨年八月、創作物規制を盛り込んだ児童ポルノ禁止法の改正案が、衆議院解散に伴い審議未了廃案となった。また、「非実在青少年」規制を盛り込んだ東京都の青少年健全育成条例改正案は反対の世論が盛り上がり、今年六月都議会で否決されたが、石原慎太郎都知事は九月議会(九月二一日〜一〇月七日を予定)への再提出を公言。大阪府など他の自治体でも規制の動きがあり、規制反対の声も同様に強まっている。(編集部注:その後、石原都知事は9月都議会への提案は断念)

 もちろん、児童の性的な被害をなくすための取り組みが必要なことは論を待たない。問題は、マンガなどの創作物が子どもへの被害を助長しているかどうかだ。仮に助長しているならなんらかの対策が必要になるだろうし、助長していないならば規制は憲法で保障された「表現の自由」(二一条)を踏みにじる行為にほかならない。

        日本外務省が国際会議で出した公式声明の中身

 事実はどうなのだろうか。二〇〇八年一一月、ブラジルのリオデジャネイロで「第三回児童の性的搾取に反対する世界会議」が開かれた際、日本政府(外務省)は公式声明(ステートメント)を発表している。関係部分を引用しよう。

〈漫画、アニメ、ゲーム等ではしばしば児童を対象とした性描写が見られます。これは現実には存在しない、コンピューター等で作られた児童が対象ではありますが、児童を性の対象とする風潮を助長するという深刻な問題を生じさせるものであります。このような描写をどの様に規制するかが法規制上の論点となっています。また、インターネットに潜む危険から子どもたちを守るために、情報通信業界と協力し、官民が連携して対策を講じていく必要があります〉(外務省HP)

 この日本語は仮訳であり、本文は英語となっている。驚くべきことに〈深刻な問題を生じさせる〉にあたる部分は英文では〈it surely raises serious problems〉となっている(同HP)。

〈surely〉(確かに)という副詞まで使って強調しているからには、明確な根拠があるに違いない。そこで筆者は八月二〇日、岡田克也外相の記者会見で根拠を質問した。岡田外相は「突然で言われてもわかりませんので調べてみたいと思います」と後日の回答を約束した。

(編集部 伊田浩之)

最終更新:9月17日(金)17時17分

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