2010年9月18日1時5分
中国からの約1万人の団体旅行が突然中止されたことで、受け入れ先のホテルは直接的な打撃を受ける。消費意欲旺盛な中国人旅行客の訪日取りやめが続くのかどうか。関係業界は懸念している。
静岡県浜名湖畔のホテルグリーンプラザ浜名湖。宝健日用品有限公司の一行のうち計560人が7日間に分かれて泊まる予定だった。年間の外国人宿泊数を上回る「大型受注」で、中国語の表示などを準備していた。担当者は「当てにしていただけに残念」。
一行の訪日は日本政府観光局が誘致したもので、海外からの団体旅行としては最大規模。前原誠司・前国土交通相のトップセールスもあり、韓国に競り勝った経緯がある。
アジアから増えている訪日外国人の中でも、中国人の伸びは突出している。7月は前年同月の約2.5倍の16万5100人で、7月としては過去最高。今回、訪日を中止した約1万人は、その約6%に相当する規模だ。
観光庁の4〜6月の消費動向調査によると、中国人が日本で消費した金額は推定503億円で、外国人全体の22%を占める。訪日の足が鈍れば、小売りや観光などの業界は痛手になる。
中国企業の傘下で東京・秋葉原などに店を構える家電量販店ラオックス。来店者の半分以上が中国人観光客の店もあるという。中国の「国慶節」がある10月初旬はかき入れ時で「騒ぎが早く収束してほしい」と気をもむ。
関西の空の玄関口となる関西空港の幹部は「全日本空輸が発表した格安航空会社の設立も、中国人観光客を狙ったもの。中止の動きが広がらないようにと願っている」と話した。一方、日本百貨店協会の飯岡瀬一専務理事は17日の記者会見で「(影響は)一時的なものだと思う」と指摘。「日本と中国はこれからも連携し、良い方向に向かうと信じている」と期待を込めた。