「再審に向けた一歩として評価したい」。旧清水市(現静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された「袴田事件」。無罪を訴える袴田巌死刑囚(74)の第2次再審請求をめぐる静岡地裁、静岡地検、弁護団による13日の3者協議で、検察側は7項目29点の証拠を開示した。ただ、再審に直結する証拠とはいえず、弁護団は「請求している全証拠の開示を改めて求める」と強調した。次回協議は12月6日の予定。【山田毅】
これまでに弁護側は26項目の証拠開示を求め、検察側は今回、一部を開示した。犯行時の着衣とされるズボンなど衣類5点に関する捜査報告書や事件当時のみそ工場などを写した写真18枚などで、5点の衣類の発見時のカラー写真は初めて提示した。しかし衣類が見つかったみそだるの写真は開示しなかった。
弁護団は「カラー写真で衣類への血の付き方、みそによる変色など有益な資料になる」と評価した。一方、検察側がみそだるの写真を提示しなかったことに「写真はあるはずだ。ネガの開示を求めた」と説明。「(弁護団は)5点の衣類を含む複数の証拠が捏造(ねつぞう)されたと主張しており、請求しているすべての証拠の開示を求める」と述べた。
弁護団によると、検察側は「(弁護団が)新証拠だと主張しているものは証拠開示に応じている。それ以外の証拠は存在の有無についても明らかにできない」と話したという。
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<1>事件当時の消防の実況見分調書など
<2>5点の衣類のズボンについての捜査報告書や製造元や販売店関係者などの供述調書
<3>5点の衣類の白いステテコ、白い半袖シャツ、スポーツシャツの製造元や小売店などに関する捜査報告書など
<4>発見されたズボンのポケットに入っていた小型マッチに関する捜査報告書など
<5>5点の衣類が発見された後、袴田死刑囚の実家を捜索した警察の捜査報告書や、裁判所に提出した捜索差押許可状請求書など
<6>事件当時のみそ工場のみその出荷量や在庫量についての捜査報告書など
<7>事件当時の工場の写真18枚など
毎日新聞 2010年9月14日 地方版