って作品を鋭意執筆中です!
簡単なあらすじ
一年前に妹を死神に殺された主人公の大音寺不音は、死神に対して絶対の復讐を誓う。そんな彼を狙う新米の死神「不死身奈奈」は、仲間からの裏切りによって死神の力を失い人間の世界に放り出されてしまう。
死神の世界に帰るには不音を殺して任務を完了するしかない。しかし、不音は人間とは到底思えないほど強力な力と運動神経を持っていて……?
この作品のテーマは兄妹愛です。意思ある三人称で書いているので、なかなか挑戦的です。
前半だけ載せようと思うので、どうぞお読みください。
大音寺不音は滅びない!?
オープニングと言う名のモノローグ
「死神番号1070。不死身奈奈(ふじみ なな)は居るか!?」
担当教官からの呼び出しに、私は裏返った声で答えた。周りがくすくすと笑っている。しくじった……。顔を赤らめる私をよそに、担当教官は今日の任務が書かれた書を私に渡した。A4の紙一枚だ。
「大音寺不音(だいおんじ ふおん)。神奈川県厚木在住の丹沢高校二年生だ。……他に情報が書かれていないな。どんな殺し方でも良い、死神界時間一日以内に彼の魂を此処へ」
私は今度はしっかりと返事する。何せ今日は初めての任務なのだ。十六になった今日から、私の死神人生は始まる! お父様の名に恥じぬ功積を挙げようではないかぁ!
感慨に耽っていると、背後にいた相賀藍佐(あいが あいさ)が私を突き飛ばした。確かに少しトロかったかも知れないが、何も突き飛ばすことないじゃないかと抗議の視線を向けると、彼女は鼻で笑いながら「親の奈奈(なな)光が」と笑った。列をなしていた死神達が一人二人と笑い始める。
ふ、そう言っていられるのも今日までだ。私は死神の大王の一人娘、正当な血を引く生粋の死神っ子なのだ。今までの血のにじむような努力を思い返し、私はほろりと涙が出そうになる。
カマの扱いを覚えるため、生え切っていない庭の草たちを、必死に刈り続け、しまいにはトラクターの運転も覚えてしまったのだ。来年の夏ごろには沢山のナスが採れる事だろう。……何か間違った気がするが、とにかく、今日の任務をそつ無くこなせば皆認めてくれるはずなのだ。
「……私の緊急帰還装置がない……」
私は人間階へ降りるエレベーター乗り場へ来て、初めて気づいた。人間を刈るためのカマは、危険なため、此処で係員に渡されるのだが、本来貰うはずの腕時計見たいな装置を渡されなかった。
係員は素知らぬ顔で他の死神にカマを渡している。
「あの……私の装置……」
「あぁ?」
「い、いえ! 何でも無いです!」
これじゃあ万が一カマが壊れた時、人間階で火あぶりになってしまうよ……。やっぱり、一度お父様のところへ戻って、また明日のエレベーターに乗ろうかなぁ……。私が不安になっていると、また藍佐がやって来て「逃げるの?」と嘲笑した。私はムキになって「に、逃げない!」と断言した。彼女は厭らしく笑った。
きっと見返してやる……私はそう心に誓ってエレベーターに乗った。この死神界特有の濃い乳色の霧とは暫くおさらばだ。
ドアが閉まる直前、私は背中に寒いものを覚えた。もう、帰って来れなくなるんじゃないかと言う不安。
私は体が弱いせいで一度も死神の訓練に出られなかった。それに、どちらかと言うと内向的な性格なので、親しい友達もいなかった。だから、周りからは蔑にされている。どうせ、今回の任務は、果たせぬまま帰って来るだろうと思っている。
私はエレベーターがものすごい勢いで落下しているのを感じながら、コブシを握りしめた。
簡単なあらすじ
一年前に妹を死神に殺された主人公の大音寺不音は、死神に対して絶対の復讐を誓う。そんな彼を狙う新米の死神「不死身奈奈」は、仲間からの裏切りによって死神の力を失い人間の世界に放り出されてしまう。
死神の世界に帰るには不音を殺して任務を完了するしかない。しかし、不音は人間とは到底思えないほど強力な力と運動神経を持っていて……?
この作品のテーマは兄妹愛です。意思ある三人称で書いているので、なかなか挑戦的です。
前半だけ載せようと思うので、どうぞお読みください。
大音寺不音は滅びない!?
オープニングと言う名のモノローグ
「死神番号1070。不死身奈奈(ふじみ なな)は居るか!?」
担当教官からの呼び出しに、私は裏返った声で答えた。周りがくすくすと笑っている。しくじった……。顔を赤らめる私をよそに、担当教官は今日の任務が書かれた書を私に渡した。A4の紙一枚だ。
「大音寺不音(だいおんじ ふおん)。神奈川県厚木在住の丹沢高校二年生だ。……他に情報が書かれていないな。どんな殺し方でも良い、死神界時間一日以内に彼の魂を此処へ」
私は今度はしっかりと返事する。何せ今日は初めての任務なのだ。十六になった今日から、私の死神人生は始まる! お父様の名に恥じぬ功積を挙げようではないかぁ!
感慨に耽っていると、背後にいた相賀藍佐(あいが あいさ)が私を突き飛ばした。確かに少しトロかったかも知れないが、何も突き飛ばすことないじゃないかと抗議の視線を向けると、彼女は鼻で笑いながら「親の奈奈(なな)光が」と笑った。列をなしていた死神達が一人二人と笑い始める。
ふ、そう言っていられるのも今日までだ。私は死神の大王の一人娘、正当な血を引く生粋の死神っ子なのだ。今までの血のにじむような努力を思い返し、私はほろりと涙が出そうになる。
カマの扱いを覚えるため、生え切っていない庭の草たちを、必死に刈り続け、しまいにはトラクターの運転も覚えてしまったのだ。来年の夏ごろには沢山のナスが採れる事だろう。……何か間違った気がするが、とにかく、今日の任務をそつ無くこなせば皆認めてくれるはずなのだ。
「……私の緊急帰還装置がない……」
私は人間階へ降りるエレベーター乗り場へ来て、初めて気づいた。人間を刈るためのカマは、危険なため、此処で係員に渡されるのだが、本来貰うはずの腕時計見たいな装置を渡されなかった。
係員は素知らぬ顔で他の死神にカマを渡している。
「あの……私の装置……」
「あぁ?」
「い、いえ! 何でも無いです!」
これじゃあ万が一カマが壊れた時、人間階で火あぶりになってしまうよ……。やっぱり、一度お父様のところへ戻って、また明日のエレベーターに乗ろうかなぁ……。私が不安になっていると、また藍佐がやって来て「逃げるの?」と嘲笑した。私はムキになって「に、逃げない!」と断言した。彼女は厭らしく笑った。
きっと見返してやる……私はそう心に誓ってエレベーターに乗った。この死神界特有の濃い乳色の霧とは暫くおさらばだ。
ドアが閉まる直前、私は背中に寒いものを覚えた。もう、帰って来れなくなるんじゃないかと言う不安。
私は体が弱いせいで一度も死神の訓練に出られなかった。それに、どちらかと言うと内向的な性格なので、親しい友達もいなかった。だから、周りからは蔑にされている。どうせ、今回の任務は、果たせぬまま帰って来るだろうと思っている。
私はエレベーターがものすごい勢いで落下しているのを感じながら、コブシを握りしめた。