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美的センスの磨き方

第17回 お雛様
 前回は日本の大切な四季折々の行事を大切にして頂きたいとお話しさせて頂きました。3月で大切なのは、『お雛様』です。男の子には、全く関係ないことかもしれませんが、女の子にとっては、一年の内で最も大切なイベントです。子供がちょうど手に取れる大きさの可愛いお人形は、清楚できらびやかで、見ているだけで夢の世界に連れて行ってくれます。お雛様を飾っている間は聖なる空間となり、無意識で大人の女性として自覚を持てるのもいいのでしょう。お雛様の起源は、江戸時代末期からと言われています。一般的に言われているのが、お内裏様とお雛様を天皇、皇后に見立て、女の子がトップに立てますように、頂点に立てますようにと、玉の輿を願ったものでした。ひな壇が多ければ、多いほど使用人を多く持てるようにと、縁起の良い7段に飾り立てたのです。しかし、実際には、その当時の江戸の商人と職人たちが、今後どんどんすたれてしまう江戸の美を集約して作ったのが『お雛様』だったのです。天皇を称えているふりをして、一般庶民に手が届くようにしたのは素晴らしい発想です。何事も真正面からぶつかっていっては、悪につぶされてしまうまでです。真正面にぶつかってくる悪には、『刑事コロンボ』のようなかわしかたと突拍子も無い発想が必要です。江戸時代に生きた人々こそ美そのものです。
 もともと『お雛様』は天界の意思をくみ取ってのものでした。平和で華やかだった江戸時代からその美しさを奪う明治時代に突入するにあたって、どうしても後世に美を残す必要があったのです。明治時代に入ってからは、戦争が続いたせいもあり、江戸時代の幸せはほど遠いものでした。しかし、どの家庭でも『お雛様』を飾っている時だけは、聖別された空間でした。女の子は美しいお雛様を見ることによって、美を守っていったのです。それこそが、天界の意思だったのです。どんな時代でも華やかで派手なものは、美を物心着く前に自然な形で自発的に芽生えるようにしてくれたのです。美は教科書みたいに教える性質のものではありません。美は不定形な存在であり、美は永遠なのです。永遠に想像し続けていくものなのです。常に人間の内面から湧き上がらなくてはいけないのです。それは、人間が生まれてきた意味でもあります。『お雛様』とじっくり向きあい美を漠然と受け取って見て下さい。色鮮やかな『お雛様』から美と正しいものを見る力を手に入れることが出来ますので、どうぞ、お家にある方は対話してみて下さい。『お雛様』を飾るとき、桃の花、ひし形のお菓子、雛あられ、甘酒が定番ですが、これらも一緒に用意して下さい。お雛様の世界感を体験する大切なアイテムなのです。それから、『お雛様』はお嫁に行くまで、飾って下さい。お嫁に行き女の子が生まれたら、その子供のものです。女の子が生まれない場合は、処分して下さい。『お雛様』も納得されています。是非、女の子の居る家庭、そしてまだ嫁入り前の女性の方々も意識して、『お雛様』と向き合って、全ての美の世界感を体験してみてはいかがでしょうか。


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