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裁判員裁判:栃木の父刺殺・放火被告に15年判決 「自首は成立しない」 /栃木

 ◇出頭時には特定

 父親を刺殺し、実家に放火したとして殺人や非現住建造物等放火などの罪に問われた埼玉県三郷市高州1、無職、佐山貴洋被告(23)に対する裁判員裁判の判決公判。9日、懲役15年(求刑・同20年)を言い渡した宇都宮地裁の井上豊裁判長は争点となった自首の成否について「捜査機関は現場の客観的な状況などから、出頭時には(佐山被告を)犯人と特定していた」と認定し、「法律上の自首は成立しない」とした。

 判決などによると、佐山被告は昨年11月25日午前3時半ごろ、栃木市大町の実家1階で父範靖さん(当時55歳)の腹を包丁(刃渡り約15センチ)で少なくとも2回刺して殺害。遺体を隠すために1階8畳間に火をつけ実家を全焼させるなどした。

 井上裁判長は判決で、「その場の怒りに任せた犯行で、動機に同情の余地は乏しい」と非難。その一方で、「(同被告自身の家族でもある)遺族の処罰感情が強くないことも酌むべき事情として考慮した」などと述べた。【岩壁峻】

 ◇全盲の女性裁判員「意見述べられた」 点字資料理解に十分時間

 判決後の会見には、全盲の20代の女性裁判員を含む4人が出席した。女性は評議について「点字で(資料などを)読み進めるので、どうしても時間がかかるが、十分な時間を取ってもらい、意見を述べることができた」と振り返った。他の裁判員の男性3人も特段の問題がなかったと口をそろえ、宇都宮市の60代の男性裁判員は女性が資料を読み取る間、「(じっくり考える)時間ができた」と話した。

 検察、弁護側は点訳された書類を配布。検察側は人物関係図なども点字化した。同地裁でも審理の際に女性に裁判官が補足説明を加えたほか、細かく休憩をとるなどの配慮を見せた。

 視覚障害者の福祉組織、日本盲人会連合の時任基清副会長は「今後の試金石になる良いケース」と評価。そのうえで「見えない人でも(複雑な事実関係を)把握できる資料や説明が今後必要」と指摘した。

 また、事実関係に争いのある裁判に障害者が参加することも予想される。判決後、田中真弁護士は争点などが複雑化する場合について「(障害者の参加を)吟味しなければならないということもあり得る」と話した。

毎日新聞 2010年9月10日 地方版

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