愛知県交通安全協会名東支部の職員が県の収入証紙の売上金を着服したとされる事件で、愛知県は19日までに、所在不明になっている証紙の売上金相当分約1億6500万円の弁済を協会に求める方針を決めた。業務上横領罪で起訴された元職員、野村治子被告(65)が弁済できない場合でも、県は証紙販売を受託している協会に全額の弁済を求める。
県出納事務局と協会によると、運転免許更新や道路使用許可の手数料支払いに使う収入証紙は、県が協会などに販売を委託している。協会の販売窓口は各警察署にある協会支部で、手数料の2.1%分を引いた金額が県の収入になる。
名東支部の実務を1人で担当していた野村被告は、証紙の売り上げの一部を協会に報告せず、06年3月に売上金60万円を着服したとして13日、名古屋地裁に起訴された。県警の調べには「以前から横領をしていた」と供述している。一方、協会には内部監査制度がなく、支部で在庫確認を行わないなど、協会のチェック体制もずさんだった。
事件発覚を受けて、県と協会は他の支部についても不正の有無を調査している。県は調査を終えた段階で請求額をまとめ、弁済の方法や時期について協会と協議する方針。
県出納事務局は「協会が一括で払える金額でもないので弁済時期などは協議する」としている。一方、協会総務課は「現時点で協会が全額を弁済するかは決めていない。県と協議したい」と話している。【秋山信一】
毎日新聞 2010年8月20日 2時30分