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北朝鮮の秘密警察幹部が発注か ぜいたく品不正輸出事件(1/2ページ)

2010年9月17日3時1分

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 日本の禁輸措置に違反し、ピアノや高級車などの「ぜいたく品」などを中国経由で北朝鮮に不正に輸出したとされる事件について警察当局は、摘発した6事件のいずれにも中国・大連の会社が関与し、主な発注元は北朝鮮の貿易会社社長で、同国の秘密警察「国家安全保衛部」の幹部であるとの見方を固めた。捜査関係者への取材でわかった。

 日本政府は核実験や拉致問題への制裁として北朝鮮への禁輸措置を実施。2006年11月からぜいたく品の輸出を禁じ、09年6月から日用品を含め全面禁輸とした。

 禁輸措置強化後、全国の警察は6事件を摘発。このうち化粧品を輸出したなどとして関税法違反の罪などに問われた山口県下関市の「慶南商事」や、大阪市の貿易会社「スルース」について捜査当局は、いずれも中国・大連で朝鮮系中国人が経営する船舶代理会社「大連グローバル」を経由し、北朝鮮に化粧品や衣類などを輸出したとみている。大連グローバルは大連と北朝鮮間のコンテナ貿易の4割を占める。

 スルースの経営者は捜査当局に対し「北朝鮮の貿易会社『朝鮮新興(シンフン)貿易』の社長の男からメールなどで注文が来て、大連グローバル経由で北朝鮮に送るように指示された」などと話したという。この経営者は大連で新興貿易の社長と会い、北朝鮮系の飲食店で接待されたといい、捜査当局は経営者と社長が一緒に写った写真を押収して分析。経営者の供述や、新興貿易が国家安全保衛部の系列下にあるとの情報などから、警察当局は、この社長が「厳光哲(オム・グァンチョル)」と名乗る北朝鮮国家安全保衛部幹部で、不正輸出の偽装工作を指示した工作員とほぼ断定した。

 この経営者は、北朝鮮側からメーカー名を指定されて日本製品の注文を受けたといい、この工作員らから「北朝鮮の支配層の間では日本製化粧品や下着、加工食品などの人気が高い」と聞いたと捜査当局に明かしたという。

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