Rさんからの返事
アドバイスの通り、早速契約書を確認してみました。
確かにサインした日より1年間の専属専任媒介契約となっていました。
英文の契約書のうち、一部抜粋して日本語訳となっているページ(日本語訳は、1ページだけでしたが)にそう書いてありました。
私たちは、そういった契約内容も正確に把握していませんでした。
反省しなくてはいけません。
契約した不動産業者へ届けることなく勝手に他で売りだすことはできない、と明記されています。
私たちは、この冬にまた管理費を支払わなくてはならないので、できるだけそれまでに売却を、と安易に考えてしまいました。
そこで、いろいろ売却について調べたところ、そこには「購入したタイムシェア会社に言ってもなかなか対応してくれない。たらいまわしにされた揚句、信じられない価格でしか売却できなかった」「供給ばかりでここのタイムシェアはなかなか売れない」・・など、良くない事例ばかり出ていました。
売却の為に問い合わせた不動産業者の返事は、本当に様々で、「せいぜい1万ドルでしょう。手数料などもろもろ差し引いて、手元に残るのは80万円くらいでしょう」という返事もあれば、「確かにここのタイムシェアは、供給量が多く売りにくいが、でもRさんが購入したのそれは新しく人気もある所なので、売れるでしょう」などいろいろで、結局、一番対応が早くて良かった会社にお願いすることにしました。
購入する時、他の人も言っているように、「売却もできます。100%で買い取します」と説明されるのですが、これはアップグレードした場合のことでした。
この春、「いろいろな理由で、利用することが出来ない」と担当者に話すと、百万円足すと(アップグレード)すると、もっと利用しやすくなる、と言われました。
一度も宿泊していない上、管理費を払い、さらに百万円でアップグレード、という話は、私たちにはもう考えられない話しで、きっぱり断りました。
勿論、サインしたのは私たちです。
責任は、私たちにあるとわかっています。
お金持ちの人だったら、3万ドルは、大した金額ではないのでしょう。
でも、私たちはごく一般の家庭で、また事情があって、今経済的に厳しい状況に置かれています。
ですから、このタイムシェアの部屋も、隔年利用としました。
それでも、残念ながら行くことができません。
私からの返事
まずどうか必要以上にご自分を責めることはどうかおやめ下さい。
この専属専任を請け負った業者にしろ、私にしろ、長年ハワイの仕事に関わって毎日生活しております。
でもお客様というのは皆初心者です。
初めてで、そしてほとんどの方がこれで最後です。
日本からのお客様の圧倒的大多数がそういう方たちなのです。
ですから余計に我々プロにはきちんとした説明責任があります。
特に不動産は決して小さくないお金が動く一大行事です。
初心者である、初めてであるお客様に対して、また非居住外国人であるお客様に対しての説明責任があるのは我々の方です。
反省は我々プロがしなくてはいけないのであり、決してRさんがするものではありません。
それでは少し現実的な話をします。
おそらく今回の仲介手数料には10%ほどだと思います。
しかし手数料は売り手と買い手のエージェントで分け合うのがハワイの不動産取り引きなので、ですから今契約をされている不動産業者にしても、今回もし仮に1万ドルで売れた場合、この業者の手元に入ってくる手数料は半分の5%の500ドルということになります。
しかもこの500ドルには、売るために掛かる必要経費の一切が入っているので、ですから業者としても正直決してうまみにある仕事とはいえないでしょう。
今Rさんができることはただじっと待つことではありません。
この業者の尻をたたくことです。
まともなやり方で売却が成立した場合のこのエージェントの取り分はわずか500ドルです。
不動産会社の内情をあえて暴露すると、通常はこの規模の手数料物件はMLS(不動産協会主催のインターネットと使った不動産販売サイト)に掲示したらそれきりです。
動けば動くほど手弁当の経費が出て行くのですし、売れたところで儲けも高が知れています。
ですから期間中ただMLSに掲示しているだけという場合が多く、そしてもし向こうの方からアプローチしてくれて買い手が付けばラッキーということです。
しかし人間の気持ちなど洋の東西を問いません。
誰でもうるさいお客さんや連絡を密に取っているお客さんのことはいつも頭をよぎるものです。
ですからまずはRさんは「現状どうなっているか?」を問い合わせ、その上で「掲示金額を下げれば売れるか?売れるとしたらいくらまで下げた方がいいか?」を聞くべきです。
その上で今度は2週間に一度「その後どうですか?」を繰り返すこと、余計なことは言う必要はありません。
それだけで十分効果があります。
業者はとにかくこれをまず売ってしまわないと、、と考えます。
つまりその時点でRさんの物件は、この業者の売るべき物件候補の上位にあるということです。
最初に買いたいというお客様から訊ねられて一番最初に紹介してもらえる物件のひとつになったらもうしめたものです。
それから、契約書でもう一点確認しておくべきものがあります。
それはプロテクションピリオドといって、「契約期間が終了後も引き続きエージェントに対して手数料が支払われる期間」についての記載です。
つまりこれはたとえば明日で契約期間が切れたとして、でも明後日お客様が現れたとき果たしてそれは誰のおかげか、、、というところから始まっている習慣です。
明後日お客が現れた理由は今までの宣伝活動の成果だろう、だとしたらその報酬を不動産業者へ支払うべきだ、ということです。
もともと専任契約書自体がハワイ州不動産協会で作られているので、つまりはこの契約書というのは協会員であるエージェントの権利を保護する目的ということです。
尚この春に契約されたのでしたらまずは今の業者のままでその期間内は存分に働いてもらうことです。
世の中にスーパーマンは存在しておりません。
業者を変えたところで売値が倍になることはありません。
せいぜいが売れる時期が多少早まるくらいです。
まずはせっかくの契約期間です。
これはこれで十分に活用しなくてはもったいないです。
Rさんからの返事
まず、早速契約をした不動産会社にメールを送り、現在までの状況を尋ねてみました。
現状は、問い合わせはほとんどないとのことで、売り出し価格を徐々に下げて様子をみるしかない、という返事でした。
また、今契約を辞めたら手数料は発生するかどうかも尋ねましたが、「途中解約の場合、発生することもあるが、今回希望であれば、取り扱いをそのまま中止します」とのお返事でした。 そこで、契約会社の返答と、相談室のアドバイスについて、家族といろいろ相談しました。
主人の意見は、相談室からのアドバイスのように、1年間時々状況を尋ねながら様子を見て、来年の契約終了まで待って売却できなければ、相談室へお願いしてはどうか、ということでした。
12月までに売却出来ない場合、年会費を支払い、そして年内で無効になるポイントを手数料を支払って来年に持ち越すよう手配することにしました。
私からの返事
私もそれが現状ベストの方法だと思います。
更には「必ず今年中に売却してみせる」というお気持ちを持ち、今後は不動産業者の担当者の尻をたたくように状況を聞きだし、そして対策を講じるようにしてみてください。
先日も申しましたように、現実には日々膨大な売り物件と接している不動産業者は、どうしても手数料の低いそれへの優先順位は低くなりがちです。
しかし不動産業者も人の子です。
頻繁に問い合わせをもらっているお客様の物件はどうしても常に頭のどこかに残っています。
どうしても気になり、だから同じ物件ならその気になる物件から紹介しようという気になりがちです。
あまりしつこくなり過ぎず、でも決して膨大な売り物件の中の一つのままにしないように、ときどき業者へアピールし、自身の物件を業者の優先順位の上位に持っていてもらえるように、連絡は密にやってみてください。
金額を下げることももちろん重要なことですが、こういう普段の目立たぬ努力も実は大切です。
不動産の購入も売却も、信頼できる業者と本来は二人三脚です。
何よりもお互いの信頼感関係が整ってこそ、もっとも素敵な物件と生活が手に入るのだと思っています。
どうかがんばってください。