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| 任意同行を求められ、自宅を出る金子信明容疑者（左）＝１５日午前５時５０分、蕨市塚越 |
修繕や補修工事の必要がないのに「漏電する危険がある」などと偽って工事請負契約を結び、現金をだまし取ったとして、県警生活環境２課と蕨署などは１５日、詐欺と特定商取引法違反（不実の告知、不備書面の交付）容疑で、川口市の住宅リフォーム会社社長金子信明（４６）＝蕨市塚越、元従業員の河正（３６）＝さいたま市浦和区北浦和＝の両容疑者を逮捕した。県警によると、２人は「高齢者を狙った」と供述。２００１年４月以降、埼玉や東京、千葉の各都県で７７７件の工事を請け負い、３７１人から約６億１１７０万円を売り上げていた疑いがある。 逮捕容疑は０８年４月から０９年５月ごろまでの間、共謀して八潮市の女性＝当時（６４）＝ら２人に不必要なリフォーム工事を持ち掛け、計７回にわたって現金約３７０万円をだまし取った疑い。金子容疑者は「最初からだますつもりだった」、河容疑者は「主に高齢者をだますつもりでやった」などと容疑を認めているという。 同課によると、金子容疑者らは「屋根裏を無料点検する」などと個人宅を訪問。屋根裏でブレーカー付属の電気設備をけってブレーカーを落とし、「触っただけでブレーカーが落ちた」とうそを言い、工事の必要性を説いていた。 一度修理が終わると「別の場所も直したほうがいい」と持ち掛け、不必要な工事を繰り返す「次々工事」と呼ばれる手口で現金をだまし取っていたという。この手法で、川口市の女性（８０）は約２年半、１７回にわたり約２７５０万円をだまし取られていた。 金子容疑者は「葵建設」の名で会社を設立。０５年に富士見市の認知症の高齢姉妹がリフォーム詐欺に遭い、社会問題化した１９業者のうちの１社だった。この問題で業績が傾くと、子ども服の販売をしていた「桐屋」の名でもリフォーム事業を展開していた。 同社は今年３月、特定商取引法に基づき県から６カ月の業務停止命令を受けていた。県内の消費生活センターには「葵建設」「桐屋」の名称で計３０件以上の相談が寄せられており、契約者の平均年齢は「葵建設」６６・３歳。「桐屋」７４・７歳。高齢者宅を訪問して「配線がたるんでいるとショートして火災の原因となる」などと不安をあおったり、クーリングオフの申し込みにも工事代金を返還しなかったりしていたという。
高齢者狙い高額契約
県消費生活支援センターによると、２００９年度の住宅リフォーム相談件数は１７２９件。悪徳リフォームが社会問題化した０５年度は２８９９件の相談が寄せられたが、以降は減少傾向にある。 これまで同センターに寄せられた葵建設の相談件数は２３件、相談者の平均年齢は６６・３歳で、平均契約額１０４万円。桐屋の相談件数は８件、平均年齢７４・７歳、平均契約額が５９万９千円。いずれも高齢者をターゲットに高額な契約を結んでいた。 欠陥住宅問題に取り組むＮＰＯ「建築Ｇメンの会」の川口晴保副理事長によると、悪徳リフォーム業者に狙われやすいのは、周囲に相談する機会が少ない独り暮らしの高齢者。悪徳業者は無料点検と称して不必要なリフォームを契約させるほか、その日のうちに契約を結ばせようとしたり、見積もりが不十分などの特徴があるという。 被害に遭わないために、川口副理事長は▽自宅に安易に業者を入れない▽不要な工事ははっきり断る▽契約前に十分、周囲に相談する▽リフォームに大幅な値引きはあり得ない―など知識を持つことが大切と呼び掛けている。
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