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本日、2010年9月14日、民主党の代表選挙の投開票が行われました。結果は菅直人総理が小沢一郎前幹事長を破り、再選されました。ポイント数は、小沢一郎氏(党員・サポーター票:51、地方議員票:40、国会議員票:400[議員数200名])、菅直人氏(党員・サポーター票:249、地方議員票:60、国会議員票:412[議員数206名])で、小沢氏491ポイント、菅氏721ポイント、議員のうち、投票せず2名(恐らく横路孝弘衆議院議長と西岡武夫参議院議長)と無効票3票という結果になりました。
2010年8月31日、小沢一郎氏が民主党代表選に出馬を正式に表明し、翌2010年9月1日に代表選挙が正式に告示されて以来、激しい選挙戦が繰り広げられました。街頭での立会演説会、日本記者クラブ主催の共同記者会見、選挙管理委員会主催の討論会、議員有志による両候補者の討論会が開催され、両候補は積極的に参加しました。民主党の党員やサポーターではない、多くの国民もその様子に惹きつけられました。 メディアは、世論調査の数字を示し、「世論では圧倒的に菅総理が優勢」と報じ、一方、小沢氏については「政治とカネの問題」がクリアされていない、国会運営もうまくいかないと報道し、小沢氏に対するネガティブキャンペーンを執拗に行いました。特に、日本記者クラブで代表して両候補に質問した、と言ってもほとんど小沢氏の政治とカネの問題を集中的に質問した新聞社の幹部たちには特に失望し、呆れて果てました。彼らは自分が持っている答えに合わない答えを認めず、同じ質問を繰り返します。それは以前見た連合赤軍を題材にした映画の一シーンのようでした。スパイを見つけるための活動、「査問」そのものでした。小沢氏がいくら説明しても、メディアは「政治とカネの問題は決着がついていない、説明がなされていない」と報道し続けました。 その後、何度か討論や記者会見が行われました。その中で、菅総理と小沢氏の違いは際立つものでした。菅総理は3回行われた立会演説会ではそれぞれ話す内容がコロコロと変わりました。そして過去の実績を前面に押し出す内容の話でした。一方、小沢氏は官僚主導から政治主導への政治という大目標のために各種政策を行うという具体的なものでした。小沢氏の政策や理念に初めて触れて驚いたという感想を持った人が数多くいたという話はメディアでも流されました。 小沢氏が総理になることにはアメリカ、官僚、そしてメディアが揃って反対し、様々なキャンペーンが行われました。鈴木衆議院議員の上告棄却、欧米メディアでの小沢バッシング、意図的なリークなど、ありとあらゆることが行われました。 そして、本日、投開票を迎えました。結果は大方の予想を裏切り、菅総理が大勝しました。党員・サポーター票は菅総理249対小沢氏51と完敗でした。これは小選挙区300で勝者が全てを取る、ウィナー・テイクス・オール方式でした。ある選挙区で51対49であってもその選挙区は51を獲得した候補者のポイントとなります。得票数は、菅総理137,998票対小沢氏90,194票です。パーセンティジにすると菅総理60.47%対小沢氏39.52%です。地方議員票は菅総理60対小沢氏40でした。議員票は予想に反し、菅総理が僅差でリードとなりました。議員票は小沢氏がリードすると考えていましたが、予想が外れました。申し訳ありませんでした。 今回のこれだけのポイント差がついたことについては色々と噂がありますが、どれもはっきりしないことですのでここでは申し述べません。 それにしても、今回、党首選になったのは、トロイカ体制+1(菅総理、鳩山前総理、小沢氏、輿石氏)の挙党態勢を構築するという話が壊れたことがスタートでした。菅総理はトロイカ+1を受け入れる用意があったのに、これに反対したのが前原国交大臣です。前原氏は「そんなことをするならオレが代表選に出馬してやる」と菅総理を脅し上げ、トロイカ+1は壊れました。こうして代表選が始まり、現職の菅総理が勝利を収めました。一番の利益を受けたのは選挙で勝った菅総理です。しかし、長期的に見ると、前原氏にもかなりの利益となります。 まず、トロイカ+1がいつまでも主導権を握っていると、自分たちには中々順番が回ってきません。それで、まず、トロイカ体制を崩壊させます。そのために鳩山氏が子どもの使いのように何度も往復して、「結局、何だったんだろう」ということになります。トロイカを分裂させ、まず鳩山氏に傷をつけ、復権がしにくくしました。次に小沢氏に代表選出馬を決断させるために、主戦論を小沢一派に流す。彼らはこれに乗ってしまいました。西南戦争時の薩摩の不平士族のようです。これで機が熟していないのに、小沢氏が出馬せざるを得なくなりました。小沢氏を担いだ人々の中に前原氏らの移行を受けた人々がいたはずです。 そして、菅総理を勝たせる。菅総理は選挙に勝って安泰のようですが、前原氏や仙谷氏ら凌雲会に生殺与奪の権を握られてしまいました。これで2011年3月の予算成立までは菅総理でいき、その後、政権運営の難しさや経済対策の不備などの理由をつけて前原氏か七奉行組の中から総理を出すと言うことになります。ここまでのシナリオはアメリカの了承も得ていると思います。前原氏が新幹線の売り込みに訪米しているのもそうした話をしているのかもしれません。また、ジャパンハンドラーズの有力者であるマイケル・グリーン氏が「菅総理でも政権は厳しい、小沢氏ではもっと厳しい」というような発言をしています。これは、軍事オタクで、ネオコンに考えが近い前原氏が総理になることを示唆しているのではないかと思います。前原氏なら、間違っても海兵隊グアム移転だの、アメリカと交渉だのとアメリカの軍部にとって嫌なことは全く言わないでしょう。また、平気な顔をして辺野古を強制収容するでしょう。 ここまで気が滅入る話を書きましたが、今回、数々の障害を乗り越えて、多くの党員、サポーター、地方議員が小沢氏に投票しました。議員も200名の人が小沢一郎と書きました。これはやはり、小沢氏の掲げたたいまつがこうした人々に受け継がれていったからだと思います。今日、2010年9月14日は日本のデモクラシーの確立が遠のいた日となりました。しかし、いつの日か、近い将来、デモクラシーが確立されることになるでしょう。 小沢氏がたとえ倒れることがあっても彼の掲げたたいまつをともし続けていきましょう。 2010年9月8日、鈴木宗男衆議院議員(新党大地)が受託収賄やあっせん収賄についての上告審で、最高裁判所は鈴木議員の上告を棄却するという決定を行いました。これによって鈴木議員は実刑判決が確定することになりました。懲役2年、追徴金1100万円という大変厳しい判決内容です。鈴木議員は異議を申し立てることができますが、最高裁が異議を棄却すれば万事休すとなります。異議が受け入れられる可能性はほとんどありません。
今回の決定は大変残念であり、怒りを覚えます。まず、民主党の代表選の最中に決定がなされたこと、これには作為を感じます。下の2つの記事にあるように、菅直人総理陣営は、この鈴木議員の上告棄却を代表選の選挙戦に利用し、小沢一郎議員を陥れることに利用しようとしています。選挙ですから激しいやり方にもなるでしょう。しかし、北海道の人々を代表して国会議員となっている、公党の代表を道具のように使うなど、やるべきことではありません。 この国の裁判がおかしいところがあります。日本では明治以来、いや大宝律令のころからそうかもしれないが、自白中心主義でありました。つまり、「罪を犯したことは罪を犯した本人が一番知っている。だから容疑者が罪を犯したと認める供述をしたら、それが最高の証拠となる」という考えで犯罪捜査、事情聴取が行われてきました。現在では自白は拷問を伴った事情聴取になるので、物的証拠を優先するようにとなっていますが、自白中心主義は残ったままです。 鈴木議員や鈴木議員の秘書、贈賄を疑われた企業の関係者たちに対して行われた事情聴取は異様なものでした。10時間連続で事情聴取を行ったり、病気を持っている人に対しての配慮が全くなされなかったり、「身柄さえ押えてしまえば、煮て食おうと焼いて食おうとこちらの勝手」という江戸時代でもないような、共産圏の秘密警察が行ったような拷問に近い取り調べが行われました。検察官や警察官は自分たちの正義に関する考えを持っているようです。それは悪いことではありませんが、それに合わないと、暴走してしまうようです。更に起訴した事件の99%が有罪になっているという異常な状況から「逮捕や起訴をしたら、何が何でも有罪までもっていくようにしよう」と無理なことをいろいろと行います。それは彼らが官僚だからです。 三権分立という言葉は中学校や高校の社会の授業で習います。司法、立法、行政はそれぞれ牽制しあって、暴走しないようにする、というものです。しかし、日本では三権分立ではありません。この三権を全て官僚が握っているのです。司法における3種類の職種である、裁判官、検察官、弁護士は全て官僚の支配下にあるのです。裁判官と検察官は法務省に属しています。彼らの昇進や転勤を決めているのは法務省の官僚たちです。彼らの意向に反することを検察官も裁判官も一切できないのです。裁判官で元々出世や都会暮らしなどに興味のない変わり種がいますが、彼らは上級審が行われる高等裁判所、最高裁判所の裁判官になることは一生ありません。また、弁護士たちの監督官庁は法務省です。監督官庁というのは恐ろしい存在です。逆らうことなどできません。 鈴木議員の話から外れましたが、最高裁の鈴木議員の上告棄却は日本の司法の出鱈目さを表していると思います。 次に、鈴木議員の失職は、日本の外交にとって最悪の痛手となるということです。鈴木議員はご存じのように、ロシアと太いパイプを持っています。そしてシベリアの資源外交にとって欠かせない存在です。更に言うと、先日も中央アジア、アフガニスタンを訪問し、現地の武装勢力に拉致されていたフリージャーナリストの常岡氏の救出にも尽力したことも知られるべきです。鈴木氏はこれから大変重要になるであろう、ロシア極東地域、中央アジアの各国に対する外交で力を発揮できる人物でした。これほど重要な人物を自分たちの私利私欲のために犠牲にした官僚たち、並びに民主党現執行部、内閣は日本国民のことなど全く考えていないことは明らかです。 鈴木氏には収監中、不当な取り扱い、虐待がないように願いますし、しっかり注視していきたいと思います。 (新聞記事転載貼り付けはじめ) ●「【宗男被告収監へ】「政治とカネから卒業しよう」江田前参院議長」 2010年9月8日付 MSN産経ニュース 民主党の江田五月前参院議長は8日の党代表選の菅直人首相陣営の緊急集会であいさつし、鈴木宗男衆院議員の上告棄却に関連し、「会派を一緒にしていたので私たちにとっては辛いが、やっぱり、政治とカネの問題は過去の問題ではない。もう政治とカネの問題は卒業しなきゃいかん」と強調した。 ●「【宗男被告収監へ】仙谷官房長官「政治の信頼を各議員が問うべき」」 2010年9月8日付 MSN産経ニュース 仙谷由人官房長官は8日の記者会見で、受託収賄罪などに問われた「新党大地」代表、鈴木宗男被告の上告が棄却され、実刑が確定する見通しとなったことについて「国民の政治に対する信頼はどういうものか。自らの胸にそれぞれの議員が問わなければならない」と述べた。 ●「鈴木宗男被告の上告棄却 実刑確定へ 近く収監 汚職事件で」 2010年9月8日付 MSN産経ニュース 林野庁や旧北海道開発庁を舞台にした汚職事件で、受託収賄やあっせん収賄など4つの罪に問われた、「新党大地」代表の衆院議員、鈴木宗男被告(62)の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は、鈴木被告側の上告を棄却する決定をした。懲役2年、追徴金1100万円の実刑判決とした1、2審判決が確定する。決定は7日付。 決定が送達されてから3日間は、異議を申し立てることができる。鈴木被告側が異議を申し立てないか、最高裁が異議を棄却することで、確定。確定すれば、国会法と公職選挙法の規定により議員を失職し、収監される。こうした規定で現職国会議員が失職するのはゼネコン汚職事件にからみ、平成15年にあっせん収賄罪で実刑が確定した元建設相、中村喜四郎衆院議員(61)以来。 裁判を通じて鈴木被告側は一貫して無罪を主張。上告審でも鈴木被告側は受託収賄罪は成立しないなどと主張した。 しかし、同小法廷は「北海道開発庁長官として、港湾工事の受注について特定業者の便宜を図るように北海道開発局の港湾部長に働きかけた行為は、長官としての職務に密接な関係がある」と指摘、「働きかけを行うように請託を受け、その報酬として金銭の供与を受けた行為が受託収賄罪に当たるとの判断は正当」と結論づけた。 (新聞記事転載貼り付け終わり) 本日、民主党のウェブサイト、ウィキペディア、各新聞などインターネットを使って、自分で民主党代表選に対する、各国会議員の支持候補を調べてみました。
今回の代表選は議員票は議員数×2のポイント数、地方議員票は100ポイント、党員・サポーター票は300ポイント(各小選挙区の総取り)となっています。議員数は衆議院:306名、参議院:105名の計411名ですから、議員票のポイントは822ポイントとなります。 地方議員、党員・サポーター票のポイント400ポイントの行方について考えていきます。まずそれぞれがどのような得票でポイントを獲得するかについて仮定してみたいと思います。 菅総理対小沢氏が70%対30%の場合、280ポイント対120ポイントとなり、差が160ポイントとなります。65%対35%の場合、260ポイント対140ポイントで差が120ポイント、60%対40%の場合、240ポイント対160ポイントで差が80ポイントとなります。これまでが可能性の高い仮定であると考えます。菅総理75%対小沢氏25%だと、300ポイント対100ポイントで、差が200ポイントとなります。また菅総理55%対小沢氏45%だと、220ポイント対180ポイントで差が40ポイントとなります。これら2つの過程は可能性の低い仮定であると考えます。 菅総理:小沢氏 ポイント 差 70%:30%=280対120=160 65%:35%=260対140=120 60%:40%=240対160=80 ========== 75%:25%=300対100=200 55%:45%=220対180=40 次に議員票によるポイントについて考えます。菅総理が45%で小沢氏が55%を獲得する場合、議員数はそれぞれ、185対226となり、数の差は41、ポイントの差は82ポイントとなります。菅総理40%で小沢氏が60%の場合、165対246となり、数の際は81、ポイントの差は162ポイントとなります。議員数の接戦が報じられていますので、有利と言われている小沢氏でも55%から60%くらいの獲得数になると思います。 菅総理:小沢氏 議員数 差 ポイント差 40%:60%=165:246=81=162 45%:55%=185:226=41=82 43%:57%=175:236=61=122 これらの仮定を考えると、小沢氏が議員票ポイントを60%獲得できたら、地方議員、党員・サポーター票は30%以上獲得で勝利できます。もし小沢氏の議員票ポイントが55%だったら、地方議員、党員・サポーター票は40パーセント以上獲得しておかねばなりません。 次に、私が調べた現時点での議員票の行方について書きます。民主党所属の国会議員は411名います。本日までに新聞やテレビの取材に対して支持を明言している議員たちを記事を一つ一つ確認して調べてみました。 私の調査では、2010年9月7日現在、次のような結果が出ています。菅総理支持:134名(衆議院議員:103名・参議院議員:31名)、小沢氏支持:150名(衆議院議員:116名・参議院議員:34名)、態度不明:127名(衆議院議員:87名・参議院議員:40名)、以上のようになりました。今のところは大接戦です。 小沢氏陣営は、76名から96名の支持議員を獲得しなければ勝利は望めません。間を取って86名獲得できるとすると、236対175となり、差は60、ポイント差は120ポイントとなります。その場合、小沢氏陣営は地方議員、党員・サポーター票ポイントは最低でも35%以上獲得する必要があります。 以上のことから、小沢陣営は議員票ポイント60%を何が何でも獲得しなくてはいけません。しかし、私の調査では現在150名の支持議員から更に96名を増やさねばなりません。これは厳しい数字です。ですから、最低限のラインとしては、236名、現在よりも86名を増やさねばなりません。こうなると、民社協会、横路グループの動向が重要になってきます。 小沢氏が先週から月曜日までテレビやインターネット放送に多く出演したのは地方議員、党員・サポーター票の獲得を狙ったものであることが分かります。そして、その狙いは成功しているように思われます。 小沢氏の生の姿を見て考えが変わったという声が聞かれるようになったからです。しかし、これまで小沢氏に接してきて、彼に対してネガティヴ・キャンペーンを張ってきたマスコミにしたら、ニュース番組という土俵を貸して、小沢氏に横綱相撲を取られてしまって嫌な気分でしょう。 後、1週間今度は議員たちに対する働きかけが強くなっていくでしょう。 ↓ツイッタ―でのつぶやきもご覧いただけると幸いです。↓ https://twitter.com/HarryFurumura 2010年9月1日に民主党代表選挙が告示され、菅直人総理と小沢一郎前民主党幹事長が立候補しました。その後、二度の共同記者会見(民主党選挙管理委員会主催と日本記者クラブ主催)とそれぞれのテレビ出演が行われました。
二度の記者会見、ならびにテレビ出演を通じて、私は小沢氏が知識、経験、考え方で菅総理を圧倒していたと判断します。このブログ上に二人の政見を読んで、それぞれに感想を掲載しました。お読みいただけると幸いです。 菅総理、小沢氏それぞれが選挙活動を行っています。支持する議員たちの集まりに出たり、演説をしたりというのが活動の内容です。菅総理も自分を支持する議員グループの一つである野田グループ(花斉会)の会合に出ました。そして、挨拶の中で、下に貼り付けた記事にあるような発言をしました。 「西郷隆盛は明治維新の回天には必要だったがその後必要なくなりああいう末路をたどった」という恐ろしい発言です。菅さんの歴史認識の問題ですから、西郷さんの末路云々は置いておきます。まぁ鹿児島出身者は西郷さんが好きな人が多いですから、菅さんの発言を好ましく思うことはありません。菅総理の発言を私が受け取って解釈すると次のようになります。 「政権交代までは小沢氏は必要だったが、それ以降は不要な人物だ。外様だし、使い捨てだ」 私はこのように受け取りました。私はトロイカ体制などという欺瞞に満ちた言葉を小沢氏は否定してきたと書きました。民主党の創設者である鳩山氏、菅氏は自分たちの宿願である総理になることができました。それは小沢一郎という名馬を手に入れたからです。私は民主党は3頭立ての馬車ではなく、2人の(無能な)御者が名馬に引っ張られる形で政権交代までたどり着いたと考えています。そして、菅総理の発言はいみじくも私の考えを補強してくれるものだと思います。 西南戦争は鹿児島にとっては悲劇であり、西郷さんをああいう形で死に追いやったことについて鹿児島の人間の多くが悲しみを持っています。それを軽々しく喩え話に使って、それも良く意味が分からなくてあとで出席者が解説するというのは政治家としての能力に欠けるのではないかと思います。 次に、仙石由人官房長官が重大な発言を行いました。仙谷氏は、「小沢内閣が成立したという仮定の話で、検察審査会の議決により強制起訴された場合に衆議院で民主党が賛成して内閣不信任決議案に賛成する可能性がある」という趣旨の発言を行いました。これは朝日新聞が故宮沢俊義東大教授の論文の一節を引用して、「衆議院は憲法75条の規定があるが、内閣不信任案を可決できる」と書いていることに対して質問され、仙谷氏が答えたものです。 ここでまず、衆議院の議決と検察による国務大臣の起訴についてどちらが優先されるのかという問題は法律学者たちの解釈に任せたいと思います。しかし、まず与党の議員が自党の代表である総理大臣が組織した内閣不信任案に賛成をする、ということは異常事態です。今まで、大平内閣、宮沢内閣(共に派閥は宏池会)でそれぞれ内閣不信任案が可決し、両内閣とも衆議院を解散しました。そして、1993年の宮沢内閣不信任案の可決の時は、小沢氏・羽田氏率いるグループが自民党を離党しました。自民党は下野し、55年体制が崩壊しました。 今回の仙谷官房長官の発言は大変重要です。まず小沢政権が成立した場合、野党が衆議院に提出する内閣不信任案に賛成する可能性があるということです。これは反党行為であり、もしこのような行動に出た場合、賛成した議員たちは民主党から離党しなくてはいけません。今回の代表選では小沢氏が負けたら民主党から離党する可能性があるというマスコミの悪意にあふれた報道がなされていますが、実態は全く逆で、菅総理が敗北した場合、自分たちは内閣不信任案に賛成するという最後っ屁をして離党すると総理の女房役が明言したのです。これは大変重要です。 そして、この仙谷官房長官の発言は、現在の民主党代表選挙に対して大きな影響を与えます。彼はつまりこういうことを言っているのです。 「小沢が勝ったら、不信任案決議をして党を割ってやる。そうしたら解散総選挙になる。それでも良いのか」 なんということでしょう。自分たちが勝つために仁義もなく、恐ろしいことを口走っているのです。これは脅しです。恫喝です。古来、内戦というのは激しいものとなりがちです。しかし、最後は同じ国民だ、民族だということで許し合うものです。しかし、仙谷氏の発言は殲滅戦を宣言しているものであり、内戦に核兵器を使おうと言っているようなものです。 小沢氏に破壊者、壊し屋、恐ろしいイメージを持たせようとマスコミは躍起になっていますが、実際は菅総理陣営の方が恐ろしいことを言っているのです。これは追い詰められての断末魔なのかと思いますが、断末魔というには早すぎます。選挙戦は後10日近く残っています。 二人の実態を見て、菅総理をまだ支持しようとする人々にはもう申し上げる言葉もありません。 (新聞記事転載貼り付けはじめ) ●「「小沢内閣」不信任に言及=訴追後も在職の場合-仙谷長官」 2010年9月3日付 時事ドットコム 仙谷由人官房長官は3日午後の記者会見で、民主党の小沢一郎前幹事長が首相に就任し、検察審査会の議決により強制起訴された場合、小沢氏が無罪を主張して首相の職にとどまっても、衆院で過半数を占める民主党などの賛成で内閣不信任決議案が可決される可能性に言及した。 仙谷氏は弁護士出身。民主党代表選では菅直人首相を支持している。仮定のケースについて法律の専門家の立場から発言したとみられる。 小沢氏は3日、起訴された場合の対応について「堂々と受けて潔白を主張したい」と、訴追に同意する考えを表明した。これに関し、「法廷闘争と首相の職務は両立できるか」との質問に対し、仙谷氏は、朝日新聞の記事に引用された憲法学者の論文が「衆院はいつでも不信任決議によって内閣を倒すことができる」と指摘していることに触れ、「そこに記載されていることに尽きる」と強調した。不信任案が可決されれば、首相は衆院を解散するか、内閣総辞職しなければならない。 論文は、故宮沢俊義東大教授の著書「全訂 日本国憲法」の一節。それによると、国務大臣は在任中、首相の同意がなければ訴追されないとした憲法75条に関し、衆院は内閣不信任の権限を持っていることを理由に「大きな弊害も考えられない」としている。 (2010/09/03-19:26) ●「「維新後、西郷さんの末路は…」首相、小沢氏を念頭?」 2010年9月2日付 朝日新聞電子版 菅直人首相は1日、代表選で自らを支援するグループの会合で「明治維新には西郷隆盛の力が必要だったけれども、明治維新以降、西郷さんはああいう末路を迎えた。これが大事だ」とあいさつした。出席者の中には、代表選を西南戦争に、小沢一郎氏を西郷にそれぞれなぞらえたとの受け止めもあり、小沢陣営からの反発を招きそうだ。 小沢氏について首相は、かねて政権交代への貢献を評価する発言を繰り返している。一方、西郷は明治新政府への不満を持つ士族に担がれ、政府を相手に起こした西南戦争で敗れて自ら命を絶った。 会合に出席した議員の一人は「首相は、民主党から小沢さんの政治的影響力がなくなって、新しい政党文化が生まれると言いたかったのだろう」と解説した。 (新聞記事転載貼り付け終わり) 民主党代表選にすっかり話題をさらわれてしまいましたが、自民党内でも大きな動きがありました。先日、山崎拓氏がオーナーを務める(お金や場所を提供すること)、山崎派が解散を検討しているという報道がありました。小選挙区導入と官邸の機能強化によって自民党の派閥はすっかり力を失いました。野党暮らしもそれに拍車をかけているようです。
本日、町村派の重鎮(元派閥会長)である森喜朗元首相が派閥に退会届を出す騒ぎが起きました。森氏と言えば、三塚博氏の跡をついで派閥の会長となり、自民党幹事長や通産大臣を務め、小渕元首相が病気で倒れた後、首相になりました。決して人気が高かったわけでもなく、また発言が奔放であったため、最後はジリ貧でした。しかし、首相退任後は、自派出身の小泉純一郎元首相を支え、派閥を隆盛させました。古いタイプの自民党の大物政治家です。残念なことに息子の森祐喜・前石川県議が飲酒運転で逮捕されるという事件もありました。最近は影響力が落ちていると言われていました。 今回の騒動の原因は、2010年8月に行われた自民との参議院議員会長を決める選挙です。これまで参議院議員会長は投票ではなく話し合いで決められていました。町村派に属する谷川秀善参議院議員が会長の有力候補でした。森氏としては早大の先輩である谷川氏を少しでも良いポストにつけたいと考えていました。自民党が過半数を持っているなら、参議院議長が最高のポストですがそれは望めないので、参議院議員会長は現在の最高のポストです。 しかし、参議院の若手議員を中心にこれまでのような人事決定に反対する動きが出てきて、選挙ということになりました。谷川氏の対抗馬は中曽根弘文元外相です。そして、中曽根氏の擁立に町村派に属する世耕弘成元首相補佐官ら5人が中曽根弘文前外相の推薦人になりました。それだけでなく、安倍晋三元首相も中曽根氏支持に動きました。森氏としては我慢の限界を超えた勝手な動きに見えたことでしょう。それは当然です。派閥の結束を一番に動く古いタイプの政治家から見れば、若手の動きは背信行為であり、そうした動きを許したら派閥は瓦解してしまいます。 そして、選挙の結果は、得票数が同数となり、くじ引きで中曽根氏が参議院議員会長になりました。森氏にしたら怒り心頭に達したことでしょう。森氏は自分の影響力が小さくなり、安倍晋三氏の力が強くなっていることに愕然としていることでしょう。また、もはや派閥という組織は時代に合わないということに改めて気づかされたのではないかと思います。 町村派の正式名称は清和会であり、福田赳夫元首相以来の名門派閥です。その源流をたどれば、佐藤栄作、吉田茂にまで行き着くということで保守本流意識の高い派閥です。そして、「角福戦争」以来、田中派―竹下派―小渕派―橋本派に対する恨みのような、田中角栄憎し・許すまじの感情を持ち続けてきた派閥です。清和会の敵対する相手は田中派でありました。 しかし、そもそも派閥の力が減退したのは森派の一議員で幹部クラスでもなかったような小泉首相の登場が原因です。また、自民党の減退を促進したのも森、小泉、安倍、福田と町村派(清和会)出身の自民党総裁・総理大臣たちでした。そして、何より、清和会が行った、田中派の流れである橋本派潰しによって全体として自民党の勢いは衰えていったと言えます。 清和会が事務所を置いていた赤坂プリンスホテルも閉館します。どうして赤プリに派閥の事務所があったかというと、清和会に創業者である堤康次郎が政治家時代に籍を置いていたからです。しかし、時代は移っていきます。 森氏の政界引退も近いかもしれない、と私は考えています。 (新聞記事転載貼り付けはじめ) ●「森元首相、町村派に退会届 「もう面倒を見られない」」 2010年9月2日付 朝日新聞電子版 自民党町村派相談役の森喜朗元首相が2日の幹部会で「もう面倒を見られない」と退会届を提出した。8月の党参院議員会長選で同派の対応が割れ、所属する谷川秀善氏が落選したことに対する不満を爆発させた。 出席者によると、森氏は会長選で、谷川氏支持で協力した額賀派と古賀派に「顔向けができない」と発言。「小泉政権以来、どれだけ派閥運営に苦労したと思ってるんだ」と怒り、退会届を机に置いて途中退席した。町村信孝会長が退会届を持って後を追いかけたが戻らなかった。幹部らは慰留を続けるという。 会長選で森氏は「派閥を壊しちゃいかん」と若手議員にまで谷川氏支援を要請。だが、「談合」と批判する同派の中堅・若手が中曽根弘文氏支持に動き、町村派の安倍晋三元首相も理解を示した。 中曽根氏が当選し、党内には「森さんの時代は終わった」との声も。同派中堅は森氏の動きについて「求心力を高めようとよくやる手だ」と冷めた見方を示した。 ●「自民町村派:参院会長選の処分うやむや 森氏が退会届」 2010年9月2日付 毎日新聞電子版 自民党町村派は2日、東京都内で幹部会を開き、同派の谷川秀善前参院幹事長が敗れた8月の参院議員会長選挙について「造反」議員の処分を協議した。しかし、同派会長の町村信孝元官房長官が10月に衆院補選を控えていることもあって、結論はうやむやに。業を煮やした森喜朗元首相は派閥の退会届を提出して退席した。与党時代に権勢を誇った最大派閥も求心力の衰えは隠しようがない。 参院会長選では、町村派から世耕弘成元首相補佐官ら5人が中曽根弘文前外相の推薦人に名を連ねた。さらに数人が中曽根氏に投票したとみられ、40票ずつの同数でくじ引きの末、谷川氏は落選した。ある幹部は「安倍晋三元首相が世耕氏らを通じ中曽根氏を支援した」と憤り、派内に疑心暗鬼が広がっていた。 幹部会出席者によると、陳謝した鈴木政二参院議運委員長に対し、森氏は「反省しているなら委員長を辞めるべきだ」と苦言。「おれが小泉、安倍、福田(政権)と陰でどれだけ苦労したと思っているんだ。もう面倒をみられない」と退会届を突きつけたという。 この間、安倍氏はほとんど発言しなかったが、会長選を巡る動きには「再起を狙っている」との見方がある半面、「自民党凋落(ちょうらく)のきっかけを作った張本人なのに」とあきれる声も少なくない。 森氏の退会届は町村氏が預かり、慰留している。町村派幹部は「犯人探しをすれば派閥が崩壊する。ほとぼりが冷めるのを待つしかない」とあきらめ顔。かつて同派に所属した山本一太参院政審会長は「処分は時代遅れでナンセンス」と酷評した。党内には「民主党代表選がメディアジャックしているときに、自民党はこんなニュースしかないとは」と嘆く声も出ている。【野原大輔、岡崎大輔】 (新聞記事転載貼り付け終わり) 菅直人総理の政見は、「元気な日本の復活を目指して(民主党代表選挙立候補政権)」というタイトルがつけられています。
最初に書かれていることは、「現下の円高・株安など経済情勢が厳しい中で代表選に立候補することになりました。私は、総理大臣として国政の空白を絶対に作らない、という覚悟で臨みます」です。菅総理は自分の決意をこの様に述べています。 ◆大変素晴らしい決意ですが、内閣総理大臣である以上、仕事をしっかりしていただくことは当然です。そのために国民は昨年の総選挙で民主党に投票したのです。「代表選があるけど僕、頑張ります」というのはいうべきではなかったと思います。 次に「立候補の決意」が書かれています。菅総理は、「従来の「役所のための行政」を駆逐する「国民のため政治」が必要です。今こそ「政治の力」が求められています。我々民主党は、昨年の歴史的政権交代で新たな時代の扉を開きました。いよいよ、国民が本当の意味で主体的に参加する民主主義、クリーンで開かれた政治を掲げて歩んでいく時が到来しました」と述べています。 ◆大変素晴らしい内容です。「国民のための政治」を行うという堂々とした宣言文です。そして、国民のための政治とは、「本当の意味で主体的に参加する民主主義」で「クリーンで開かれた政治」であると述べています。「本当の意味での」という言葉は菅総理のお得意のフレーズです。ですから、菅総理の発言をヴィヴィッドに伝えるために入れたと思います。しかし、ここで、国民の生活を良くする、守るという決意は見えません。理念は素晴らしいのですが、現在、厳しい経済に対処している現職総理が、理念ばかりを述べるのは浮世離れしていると言わざるを得ません。 続いて、「「雇用創造」と「不安解消」で元気な日本復活を目指す」というセクションになります。菅総理は「元気な日本の復活」のために、①「「雇用」を起点とした国づくり」と②「「最小不幸社会」」の実現を挙げています。「雇用が広がれば、所得が増え、消費を刺激し、経済が活性化します」と書いています。また「最小不幸社会」では不安を取り除き、全ての国民が安心して暮らせて、誰も排除されない社会を実現すると書かれています。 ◆まず、経済が拡大して雇用は生み出されるものであり、雇用を創出するためには景気刺激策を行うべきではないかと思います。最小不幸社会については理念としてとても素晴らしいものであると思います。小沢氏の挙げた「新しい公共」に近い考え方ではないか思います。 次に「「熟議」の民主主義で難局を打開する~「政局」より「政策」で臨む」というセクションがあります。「これ(引用者註:国の進むべき道を選ぶこと)を成し遂げる鍵は、民主党の中で、政党の間で、国民の意見を広く集めて議論を尽くす「熟議」の民主主義だと考えます」とし、「この努力を重ねれば、国会の「ねじれ」を乗り越え、国民の支持を得た合意形成が可能だと信じます」と書かれています。熟議の民主主義によって、社会保障費や消費税について徹底した議論をし国民の理解と納得を得るととしています。 ◆「熟議」という言葉は聞いたことがない言葉です。おそらく、英語では、deliberative/discursive democracyというと思います。熟議というのは多くの人々が討論をし尽くすという意味ではないかと思いますが、民主主義はそもそも討論をしつくすことが前提ですし、国民から負託を受けた政治家たちが議論をしつくすことが代議制民主政治体制の基本です。国民全員から意見を聞くことは無理な話ですから、ここでも理念は素晴らしいが、できないことは書かない方が良いのではないかと思います。 続いて、具体的な政策等を書いたセクションに移ります。「1.クリーンでオープンな民主党の原点へ」というセクションになります。ここでは3つのポイントを挙げています。(1)適材適所による全員参加で「挙党態勢」の民主党へ(全員が適材適所で活躍できる党運営の舞台=政策調査会)、(2)足腰の強い地方組織に向けた支援(党本部に事務局に地方組織強化・選挙支援チームを新設、党の資金は各地域の声を正面で受け止め、透明なプロセスを経て配分)、(3)クリーンな政治に向けた改革(企業、団体献金の禁止、衆議院80議席、参議院40議席の削減)です。 ◆まず、菅総理自ら「次の総理大臣を選ぶ選挙だ」と発言しておきながら、最初に民主党内のことを小沢氏にあてこすりをする内容のものを持ってくるのはおかしいと思います。最初に経済政策、社会保障政策が来るのが当然です。そして、その内容も失望するばかりです。①適材適所を強調しますが、そんなことは言われなくても当然です。そして適材適所の象徴が政調。政調は族議員の温床になるし、官僚と結びついて非公式な権力の行使の舞台となります。それよりは政治家たちを官庁のすみずみまで、局長クラスに任命することこそが政治主導であると思います。②地方組織の強化はもちろん重要ですが、ここでどうしてお金の配分の話になるのでしょう。これこそ小沢氏に対するネガティヴキャンペーンです。枝野幹事長は小沢代表下の資金配分は適正だったと語っていますし、幹事長時代のことなら鳩山氏はじめ党執行部全員の責任です。③議員定数の削減を述べていますが、これこそ菅氏が官僚に取り込まれている証拠です。政治家は官僚たちが悪事を働かないように監視することも仕事です。官僚たちは政治家の数が減って目が行き届かなくなることを望んでいます。その政治家の数を減らそうというのは間違いです。私は、議員の数は増やすべきだと考えます。 次に「2.「雇用創造」と「不安解消」を最優先に政策実現を本格稼働」というセクションに移ります。ここで具体的な政策を挙げています。(1)「雇用」を起点に改革を推進(新成長戦略を実行。「経済成長改革」、「財政健全化改革」、「社会保障改革」を行い、「好循環のサイクル」を回転させる。税制の抜本改革の実施に当たっては国民に信を問う。社会保障。納税者番号制度の導入に結論)、(2)一人ひとりの悩みに向き合って不安を解消する(介護制度改革。新型サービス3本柱。女性がん対策、子どもたちへのサービスの充実)、(3)地域主権の設計図を国民参加で描く(地域主権、国の出先機関の統廃合、住民同士の支え合いのネットワークづくりを「新しい公共推進会議」で応援。郵政改革法案については早期成立)、(4)2009マニフェストの実現に誠実に取り組む(子ども子育て支援、高校の実質無償化、年金制度改革、農家の個別補償制度を実施。財源の制約などで実現が困難な場合は国民に率直に説明し理解を求める)、(5)行財政の無駄削減は最優先で断行(業氏の無駄削減は財政健全化の大前提。行政刷新会議の活動を強化。公務員制度改革)、(6)「平和創造国家」を標榜する外交(現実主義外交。日米関係の深化。東アジア共同体構想の推進。普天間基地移設問題については沖縄の負担を軽減) ◆ここでも突っ込みどころがいっぱいあります。まず、地域主権を謳っている部分に唐突に郵政法案の早期成立を入れてあります。地域主権と郵政法案にどのような関係があるかを説明しなければ、取ってつけたように、忘れていたから後からつけ足したという感じを受けてしまいます。2009マニフェストの誠実な実行が菅政権では既に期待できないことは国民が良く知っているところです。それなら国民に説明をすべきですが、その説明も十分になされていない。現在の景気後退の状況の中で、財政出動が何よりも求められているにもかかわらず、「雇用を創出」というキーワードを押すだけ押して、結局言っていることは、財政健全化という矛盾する内容です。財政出動したら健全財政は望めません。財政出動と財政健全化のどちらが大切なのか、どちらが国民の生活のためになるのか、菅総理ははぐらかさずに明確に述べるべきです。そして、「消費税は上げなくてはいけないんだ」という財務省の考えが自分の信念でもあるならそれをはっきりと書くべきだと思います。 最後に「3.行政の縦割りを打破する官邸主導・政治主導の貫徹」というセクションになります。「以上の取組を、官邸主導・政治主導で進めます」とし、「官邸主導・政治主導を徹底するため、予算は総理大臣が直接指揮して編成します。国家戦略室は、局への格上げを念頭に、従来の垣根に囚われない自由な発想で政策を構想する組織に強化します」と述べています。 ◆国家戦略室の局への格上げは今年になり、仙谷由人官房長官の提案で取りやめになっています。それなのにまだ格上げに言及するのは国民を騙しているのではないかと思います。格上げするならそれに反対する仙谷氏を罷免すべきではないかとも思います。また、「官邸主導」という言葉が出てきていますが、これは大変危険な言葉です。橋本龍太郎首相時代に官邸の機能は強化されました。その恩恵を最も受けたのは小泉純一郎首相でした。小泉首相時代に滅茶苦茶な政治が行われました。政治主導と官邸主導は違うのです。日本の首相は国会の指名によって任命されるのですから、国会に対してきちんと責任を取るようにすべきです。 菅直人総理の政見は素晴らしいことが書かれている部分もありますが、まず、読ませ方が下手だということが言えます。もっと短く、簡潔に、箇条書きで書けるところは箇条書きで書けばもっと読みやすかったと思います。菅総理は、発言の中で、「まさに」、「ある意味」、「本当の意味で」など無駄な言葉を入れて話すために論旨がぼやけてしまうことが多くあります。今回の政見も発言同様、無駄な言葉があって分かりにくくなったのではないかと思います。 もっとはっきり言うと、菅総理の政見には官僚たち、特に財務官僚たちの主張がかなり入っていると思われます。仙谷氏と財務官僚で適当にでっちあげた文章ではないかと失礼ながら考えてしまうほど、私にとっては批判ポイントが多い文章でした。 菅総理はもう菅直人らしさを失っているのですから潔く退陣したらと考えます。総理大臣になり、これ以上の地位はないのですから。政治家としての晩節を汚すべきではないと私は考えます。 本日、民主党代表選挙が告示され、菅直人総理大臣と小沢一郎前民主党幹事長が立候補しました。午後4時からは、民主党選挙管理委員会の主催による菅氏、小沢氏両名による共同記者会見が行われました。その様子はNHKのテレビで放映されました。
記者会見の様子はこれからニュース番組でも流されるでしょうし、ネットではそのまま録画されたものが見らエルのではないかと思います。記者会見の様子を見た限りでは、小沢氏の優勢勝ちという感じを私は受けました。菅氏は小沢氏攻撃に汲々としていましたが、小沢氏は堂々と哲学と実際の政策を織り交ぜた話をしていました。 菅氏、小沢氏は立候補する際に推薦人名簿と政見を、選挙管理委員会にそれぞれ提出しました。それらは民主党のウェブサイトに公開されています。アドレスは以下の通りです(http://www.dpj.or.jp/news/?num=18809)。 今日は小沢氏の政見を読んで、その概要をまとめ、感想を述べます。明日は菅総理の政見の概要と感想を掲載します。 ========== 小沢氏の政見は、「「国民の生活が第一。」の政権政策」というタイトルがつけられています。 第一部は、「基本方針」です。 ここでは、「昨年の総選挙のマニフェストと政権交代の原点に立ち返り、総選挙マニフェストを誠実に実行することに全力を挙げる」と書かれています。小沢氏の基本姿勢は国民と約束したマニフェストの実行であることが分かります。そして、マニフェストを実行することで「全ての国民が安心して安定した生活を送り、日々の暮らしに夢と希望を取り戻すことができるようにする」と書かれています。 ◆この基本方針では、小沢氏が民主党代表選に勝利し、総理大臣になった際に政策を行う上で基礎となる考え方を述べています。それは、「国民の生活」を安定させるために、昨年約束した「マニフェスト」を誠実に実行する、というものです。ですから、小沢氏が何をするのかということは基本的に昨年の総選挙で民主党が示したマニフェストを見れば分かるということになります。 第二部では、「日本経済の再生」について5つの方策を述べています。 「①緊急経済対策用予備費2兆円の執行(住宅ローン供給の円滑化、エコポイントの延長、学校・病院の耐震化)、②急激な円高には市場介入を行う、③国の「ヒモ付き補助金」を地方への一括交付金とする、④高速道路の建設は都道府県が行う(国が建設費を支援する)、⑤上記の施策を行うことで地方の雇用創出、地方経済の活性化を行う」 ということです。 ◆今行っている景気刺激策に加え、公共事業を行うことで更なる景気刺激を行うことになります。ここで大事なことは、地方に対するお金は地方で使い道を決めてもらうということで、地方分権を進めるという点が重要です。国が「定食」のように使い方の中身を決めてしまうと無駄な支出が出てきてしまう、現場のことは現場、という小沢氏の考え方が良く表れています。小沢氏は民主党の幹事長時代、地方行脚をしていましたがそれはこうした現場主義を大切にしていたからです。 第3部は「国民生活の再生」について述べています。 「①年金制度の一元化により最低年金(7万円)と報酬比例年金の2階建てにし、国民健康保険、介護保険、生活保護は社会保障費としてまとめて地方に交付、②地域の中核的な病院と病院・診療所の間のネットワークを構築、③子ども手当は来年2万円に引き上げ、再来年から2万6千円を支給」 ということです。 ◆年金制度について具体的に踏み込んでいる点、社会保障費の地方交付を行う点は評価できると思います。社会保障費はこれからも増大していく分野です。ここに巨大な官僚組織が巣食い、お金の采配を振るうことになったら統制国家です。ですから、この部分でも地方分権を推進せねばなりません。また、子ども手当についてもマニフェスト通り、2万6千円にすることを謳っています。 第4部は、「地域経済・社会の再生」です。 「①「ヒモ付き補助金」の一括交付金化による地方分権(地方主権)の実現、②中核都市(起訴自治体)を中心に医療・介護・福祉のネットワークを整備、③中小企業への積極的な支援、④農家の個別補償の充実、⑤農林漁業の再生と中核都市の整備によって都市と自然の共生という形で均衡のとれた地域再生を実現」 ということです。 ◆この部分を読みながら、小沢氏の地方再生の姿勢は、田中角栄氏の『日本列島改造計画』の骨子によく似ているなぁと思いました。地方に中核都市を置き、その周辺をネットワークで結び、また中核都市を結ぶというのは田中氏のアイディアによく似ています。田中氏は各地に20万人規模の都市を置き、産業を誘致・育成して国土の均衡発展を行おうと主張しました。現在でも日本は東京一極集中であり、不均衡は是正されていません。農家に対する個別保障制度 にも言及し、小沢氏は日本経済をまず地方から刺激しようという政策をとるものと思われます。 第5部は、「行政及び政治の改革」です。 「①国家公務員の天下りは全面禁止、②公務員制度改革・国家公務員の定数を削減し、地方公務員への移転を進める、③国の地方支分部局は廃止、④独立行政法人、特殊法人、特別会計は必要分を除き、廃止あるいは民営化、⑤政府・与党の一体化を進めて内閣機能を強化し、国民主導の政治を実行、⑥国会も国民主導の仕組みに改める(例:官僚答弁の禁止等)」 ということです。 ◆ここは小沢氏の真骨頂であると思います。日本はこれまで官僚が権力をふるう国家でした。そして、現在もそれは変わっていません。菅総理は「官総理」と揶揄されるほど、財務省をはじめ官僚に籠絡されています。小沢氏はここで、「政治家が責任をもって決断する」態勢に変更しようと言っています。そして、官僚たちが権力を握り、邪魔をされないことをいいことにやりたい放題だったものを一掃しようとしています。これまでのやり方が良い、官僚に逆らうなんてとんでもない、既得権益があるという人たちは、ここの部分に一番反応し、怒り狂うはずです。 第6部は、「責任ある外交の確立」です。 「①日米同盟は最も重要な2国間関係であり、一層緊密な協力関係を構築。同盟関係は従属関係ではなく、対等のパートナーであるので、米国と共に今まで以上に役割及び責任を分担する、②日韓、日中関係は日米関係に次ぐ重要な2国間関係であり、さらに協力関係を深める、③日中韓3カ国の協力関係を前提として、環太平洋諸国も含む東アジア共同体構想を推進、④国連を中心とする平和活動に積極的に参加する、⑤米軍普天間基地移設問題は、沖縄県民と米国政府がともに理解し、納得し得る解決策を目指して、沖縄県、米政府と改めて話し合う」 ということです。 ◆ここでも重要なことがいくつか書かれています。日米関係について、重要であるが決して従属はしない、とはっきり述べています。今の日米関係は日本が属国としてアメリカ帝国に仕えるという構図になっています。小沢氏はそこからの脱却を訴えています。また、東アジア共同体構想についても、環太平洋諸国も含めると言っているのですから、これはアメリカの参加も拒まないということです。小沢氏は排除の論理を外交には持ち込まないということが分かります。普天間基地については、沖縄県民と米国政府が両方とも納得できるプランというのは難しいと思われます。しかし、アメリカ側の本当の意図や妥協できる条件をきちんと掴めば、それによって状況を打開できるのではないかと思います。日米交渉にも携わり、アメリカに人脈を持つ小沢氏なら普天間基地移設問題の状況を打開するのは可能ではないかと思います。 第7部は、「新しい公共」です。 「これまでの公共は「官」という意識が強く、中央政府に権限や財源が集中した。その結果、社会や地域のつながりが薄れ、 孤立しがちな社会となった。「新しい公共」は、人と地域の絆を作り直し、支え合いと活気がある社会を作るための自発的な 共同作業の場である。ボランティアや社会貢献活動を政府が積極的に支援する」 ということです。 ◆小沢氏と新しい公共というのはあまりつながりがないように感じます。恐らくこれは鳩山氏の考えを取り入れたものではないかと推察されます。新しい公共とは、多くの人々がボランティアや社会貢献活動に参加していくということです。これは、ロバート・パットナムの社会関係資本(Social Capital)という考え方が反映していると思います。社会関係資本とは、簡単に言うと、人々が地域活動(草野球チームでもママさんバレーでも書道教室でもウォーキングの会でも)に参加することです。こうした社会資本が充実していると、デモクラシーもうまく機能します。小沢氏はデモクラシーの深化を重要視する立場から、新しい公共も政策に取り入れたと考えられます。 全体として、小沢氏の基本姿勢である「国民の生活が第一」、「政治主導・国民主導」、「地方分権」から生み出された政策であることが分かります。国民の生活が第一というのは、景気刺激を行い、特に疲弊している地方で雇用を創出し、地域経済を活性化する政策を主張しています。菅総理は「雇用が良くなれば経済が良くなる」という発言をしていますが、これは逆です。景気を刺激して、それから雇用が生み出されるのですから、景気刺激策を行うことは重要です。そして、このような財政出動、景気刺激策がデフレ対策になります。デフレ対策というと日銀をいじめることだと思っている人々もいるようですが、日銀による金融政策をいくらやっても景気は良くなりませんし、デフレ状態からの脱却もおぼつきません。 地方分権ですが、官僚が持っている権限や予算を地方公務員(彼らは粋がって地方官僚などと自称しているそうです)に移行したのでは意味がありません。使い道を決めるのは選挙によって選ばれた地方議会の議員たちであり、首長たちでなければなりません。地方分権が進むことで日本のデモクラシーはより良いものになって行きます。 小沢一郎という政治家はデモクラシーの確立(democratic consolidation)を求める希代の政治家であるということが政見からも分かります。 本日、2010年8月31日午後5時15分から菅直人総理と小沢一郎前幹事長が民主党本部で会談を行いました。その後、両者はそれぞれに明日告示される民主党代表選挙に立候補することを表明しました。明日から約2週間にわたり選挙戦が戦われることになります。
今日の午後まで、鳩山由紀夫前首相が仲介し、菅総理と小沢氏の一騎打ちが起こらないような状況になるのではないか、という希望的観測がマスコミで流れていました。小沢氏の出馬に対して批判的なマスコミも、話し合いによる出馬取りやめになるのは密室政治だという批判をしていました。午後5時15分に菅・小沢会談がセットされたという話が出ると、そういう話が広がりました。しかし、実際は、小沢氏は出馬を貫き、菅氏も受けて立つということになりました。 それぞれが記者に語った発言を見ていくと、キーワードは「挙党態勢」です。小沢氏以外の民主党の政治家たち(鳩山氏、輿石東民主党参議院議員会長、菅直人総理)は挙党態勢をポストに絡めて話していました。具体的な職責の名前は出てきませんでしたが、小沢氏以外は、「小沢氏にポストを与えることが挙党態勢である」と考えて行動していました。しかし、小沢氏は「自分は何か取引をしてポストなり手厚い処遇をしてもらうつもりはない」と断っています。小沢氏は挙党態勢という美名の下で、ポストのやり取りや影響力の保持を求めて奔走する政治家たちを許さず、正々堂々と戦う道を選びました。小沢一郎という大政治家は、は挙党態勢と言うまやかしを自分にも周囲にも許しませんでした。これは日本人離れした行動であると私は思います。 興味深いのは、小沢氏は選挙への出馬について具体的な理由を何も述べていません。「こういう政策をしたいから」ということは明日述べるのでしょうが、まず小沢氏が述べたのは「皆さんのご推挙をいただいて出させて頂きたい」と述べています。これは、自分の一身は自分を担ごうとしている議員たちに預けた、という西南戦争時の西郷隆盛のような心境であることが分かります。あとは、小沢氏に西郷のような結末を迎えさせるかどうか、周囲の努力にかかっています。 菅総理は「小沢氏と会って話をして良かった。協力体制を再確認した」と述べています。しかし、もし自分が負けて、小沢氏が総理になった場合、自分も協力するかどうかについて語っていません。「小沢さんは協力してくれると言っている。良かった」ということを繰り返しています。そして、自分は政権運営を始めて数カ月で、これから霞が関改革をしていくということを明言しています。霞が関改革、いちばん難しいことをさらって言ってのけました。任期中に官僚制度改革ができたらそれだけで名宰相ですが、財務省の口車に乗って消費税増税を言うようになった菅総理に改革ができるとは思えません。 鳩山前総理が支持をするので小沢氏は今回代表選挙に出馬すると決めたのです。ですが、最後まで挙党態勢だ、トロイカ体制だということでブレていました。この点から、鳩山氏が今晩小沢氏を支持すると表明していますが、最後までそれが完遂されるのか、一抹の不安を覚えます。選挙期間が2週間ありますが、私が攻める側なら、敵の一番弱い部分をターゲットにします。小沢陣営の中で一番切り崩されやすそうなのは鳩山氏であり、鳩山グループです。 これから2週間、目が離せない日々が続きます。 (新聞記事転載貼り付けはじめ) ●「「熟慮の結果、出馬する決意」 小沢氏あいさつ全文」 2010年8月31日付 朝日新聞電子版 民主党の小沢一郎前幹事長が31日夕、党本部で菅直人首相との会談後、党代表選への出馬を表明したあいさつの全文は、 以下の通り。 「明日から始まります代表選挙につきましては、先般、申し上げたとおりのことでございまして、不肖の身でありますが、代表選挙に皆さんのご推挙をいただいて出させて頂きたいという決意をいたしましたということを申し上げたわけでございますが、ま、その後、皆さん、ご存じの通りの経過でありまして、特に鳩山前首相が、この時にやはり、挙党一致の態勢をとって力を合わせて今日の危機的な状況、特に経済の不透明な状況を乗り越えて、克服していかなくてはならないと。ま、そういうお考えの下に、再三にわたって菅総理とお話をなさったわけでございます」 「明日、告示を控えまして、今日も、鳩山前総理と輿石会長と私と、昨夜の菅総理との会談の経過をお聞き致しました。昨晩は、(菅首相は)鳩山総理の提案に対して、大変、自分もそのように思うということで、話し合いを持つことに積極的であったということでございましたが、本日、一晩明けてから、ちょっと、話し合いを持つことは密室批判を受けかねないので、そういうことには、やめたいと。やりたくないという趣旨のお話があったという趣旨のことでございましたが、いずれにしろ、やはり、挙党一致の全員野球をするためには、民由合併以来、私にとりましては、特に、鳩山、菅両先生、輿石先生と力を合わせて今日まで頑張ってきて、そして、政権も国民皆さんから付託されたと。こういう状況の中での、今日でございますので、やはり、その原点に立ち返って、話し合いをしましょうというのが、鳩山先生、そして、また、輿石先生のご趣旨だったと思います」 「ま、今日も、3人の会合の場で、菅総理に、こもごも、鳩山先生と輿石先生からお話し下さいましたけれども、やはり、話し合いをして、挙党一致の態勢をつくるというような形は、とるべきではない、というお考えであったようでございます。私は直接、そばにいましたけれども、お話ししたわけではありませんが、そういう経過の中で、菅総理の方から、いずれにしても、小沢と2人で話をしたいと。ま、こういうことが鳩山前総理を通じて、お話がありました」 「そのお話に従いまして、先程来、今まで話をして参りました。まあ、合併以来のことやら、総理としての激務についての、色んなお話やら、ま、私も、サミットなど若い時にかいま見て参りましたので、大変でしょうということのお話をいたしましたが、その中で、まず、菅総理の方から、合併以来のお互い力を合わせて、ここまで来た、というお話し頂いて、今後も協力して欲しいと。こういうことでございました」 「もちろん私は、協力しない等ということは、菅内閣成立して以来も、一度も言ったことないし、どんなことでも、協力をして参りたいし、今後も、お互いが力を合わせて、せっかく政権交代を成し遂げたんだから、協力をしていかなくてはならない。その気持ちは変わりありませんということを、申し上げました」 「ま、今回の代表選は、党規約に定められた任期満了による民主的ルールにのっとった代表選でございますので、それは、正々と、お互いに頑張って、そして、また、今後とも、いかなる場合でも、力を合わせて頑張りましょうということで、いま、終えてきたところでございます」 「いずれ、明日、記者会見がまた、あるということでございますので、そのときに自分の主張やら、政策やら、申し上げるつもりでございますし、十分な時間を取ってあるようでございますので、今日は、今までの経過と、そして、先般申し上げましたように自分自身、随分、決断をするまでに自分に問いかけながら、熟慮した結果でありますけれども、大勢の仲間の皆さんにご推挙頂いて、代表選挙に出馬する、という決意をしたところでございます」 「本当に微力の不肖の身でありますけれども、仲間の皆さんのお力添えを頂きながら、そして、報道の皆さんにも、ご指導頂きながら、きちんと正々と選挙戦に臨んで参りたいと。そのように考えておるところでございます」 「以上、若干、長くなりましたが、経過の報告と私の出馬の決意を改めてお伝え申し上げまして、ご報告、ごあいさつに代えます。どうぞ、よろしくお願い致します。ありがとうございました」 ●「「人事・条件とか一切ない」首相、小沢氏会談で」 2010年8月31日付 読売新聞電子版 菅首相が31日に党本部で記者団に語った発言は次の通り。 今、小沢前幹事長と2人で話をいたしました。お互いにこの間協力してこの党を政権にこぎ着けた中で、私も(発足後)3か月の政権をしっかりこれからもやっていきたいということを申し上げました。「これからも協力し合ってやっていこう」と申し上げたら、小沢前幹事長も「それはもちろんだ。どういう立場にあろうとも、お互いに協力してやっていこう」(と言った)。選挙は選挙としてお互いにしっかり戦って、しかし、終わった後にはかつてと同じように協力していこうということで、お話を終えることができました。 本当に多くの人に心配をおかけしましたけれども、いよいよ明日から代表選が始まる前に小沢さんと直接お話ができて、今後この選挙の結果いかんにかかわらず、協力をし合ってやっていくという基本において一致ができたことは大変よかったかなと思っております。 私としてはこれから今の政権を日本の本当の改革に向けて本格稼働させる、そのために代表選もありますが、その間も首相という仕事については優先して、同時に代表選にも臨んでいきたいと考えております。 ――代表選の回避に向けた話も出ていたが、一転して2人とも出馬されるのは小沢氏からポストを求めるような働きかけがあったか。 小沢さんの方から今日の場で、何か人事とか条件とか、そういうことは一切ありません。この選挙の結果いかんにかかわらず、協力をしっかりしていこうというお話でありまして、小沢さんとお話をするのはあの代表選の時以来でありますので、この間、鳩山さんにも色々ご苦労いただきましたが、私としては非常にすっきりした気持ちです。 ――今の会談の中ではなかったが、以前にポストに関しての話はあったのか。 色んな、ほかの方から色んな表現で、お話があったことはありますが、それはあくまでそれぞれの方の考え方を伝えただけですので、小沢さんからの話ということでは、直接の話では今日を含めて一切いたしておりません。 ――党内は分裂すると思うか。 いえいえ、選挙が終わればその結果いかんにかかわらず、協力してやっていこうということで2人とも握手をして別れましたんで、どういう結果になろうとも、民主党がまとまって政権を応援していくことができると考えています。 (新聞記事転載貼り付け終わり) 本日、菅・鳩山会談が午後8時から行われました。その後、2人が一緒に記者からの質問を受けました。その中で、ある記者が、「軽井沢以来の“騒動”をどのように総括するか」と、鳩山由紀夫前首相に質問しました。「騒動ではありません。代表選です」と鳩山氏は答えました。しかし、今回、小沢氏が代表選への出馬を取りやめたら、まさに「騒動」でしかありません。今回の代表選を巡る動きは鳩山氏が中心であり、鳩山氏の揺れ動く姿がその本質でした。
鳩山氏はずっと菅直人総理を支持していました。「総理を短期間で交代させるべきではない」とか「民主党員は菅総理を支えるべきだ」などと鳩山氏は発言してきました。しかし、軽井沢の鳩山氏の別荘での懇親会に小沢一郎氏が出席して以降、菅総理支持から一変、小沢氏への支持を表明しました。そのときに使ったのが「挙党態勢」という言葉です。 簡単に言うと、挙党態勢というのは、「今の菅政権は反小沢一色である。しかし、それではいけない。小沢氏を重要ポストで処遇すべきだ」ということです。それができないのなら、小沢氏を支持して代表選に出馬させる、というのが鳩山氏の行動です。そして、今夜話し合いの結果、トロイカ体制の重視ということになり、挙党態勢が築かれる可能性が出てきました。それで小沢氏の代表選出馬もなくなる可能性が出てきました。 鳩山氏と菅氏がそろって記者からの質問に答える姿を見て、「民主党はこの二人によって作られ、政権を奪取した。小沢氏は道具として使われただけだったのか」という思いに駆られました。二人は政権を奪取できたのは小沢氏のおかげ、と殊勝なことは言っていますが、その入れ物を作ったのは私たちであるという強烈な思いを持っていることが分かります。また、輿石東氏をトロイカ+1に招聘する、というようなことを菅総理は言っています。民主党歴で言えば、輿石氏はほぼ結党以来のメンバーです。小沢氏は輿石氏と一緒になって初めて自分たちと同等だ、というのが菅氏の姿勢です。菅総理は、小沢氏はあくまで「外様」なのだということを強調したいようです。 小沢氏は鳩山氏が支持をするので出馬すると述べました。その鳩山氏が「党内融和・挙党態勢を菅氏が約束してくれたので代表選に出馬しないでくれ」と言ったら、原理原則を大事にする小沢氏は出馬を取りやめるでしょう。そして、もうそうなったら、鳩山氏に責任があるにもかかわらず、小沢氏に対しての非難が強まることでしょう。出馬取りやめは代表選での敗北と同じく小沢氏にはダメージとなり、政治生命を失うことでしょう。小沢氏は政界から引退することになるでしょう。それでも構わないのです。小沢氏は言ってみれば、「外様」であり、「使い捨て」でしかありません。小沢氏を総理にする義理もありません。 ここ数日の動きを単純に考えてみると、鳩山氏は次のように考えていると思います。「小沢は使い捨ての外様だ。民主党は自分たちが作った船である。小沢を使って政権を奪取して、自分たち(鳩山、菅)は総理になれた。民主党は与党になれた。人数も増えた。それも小沢の働きだ。この頃、私の存在を菅が軽視しているように見える。ここで私の存在感を示しておかねば。それには小沢を使うのが一番だ。小沢を使って菅に脅しをかけておこう。しかし、民主党が割れるようなことあると困るから、小沢はいい加減なところで引っ込めさせないと。小沢などより、民主党が与党の地位にあり、自分が影響力を持つことが大切だ」 もし上記のようななことではないのなら、小沢氏は代表選に出るだろうし、鳩山氏は、自分が引っ張りだしたのだから小沢氏の勝利のために努力するでしょう。明日の動きでどういうことかはっきりするでしょう。 (新聞記事転載貼り付けはじめ) ●「首相と鳩山氏、挙党重視で一致 31日に菅・小沢会談へ」 2010年8月30日付 朝日新聞電子版 9月1日に告示される民主党代表選をめぐり、菅直人首相は30日夜、首相公邸で鳩山由紀夫前首相と約1時間会談した。両氏は小沢一郎前幹事長も加えたトロイカ体制を重視して政権運営を進めることで一致した。鳩山氏は首相と小沢氏の会談を31日に設定する考えを示しており、小沢氏の対応が焦点だ。 代表選をめぐっては、首相が「脱小沢」路線の徹底を目指し、挙党態勢を掲げた小沢氏との一騎打ちの構図が強まっていた。ただ、首相が鳩山氏とともに「トロイカ体制の重視」を打ち出したことで、直接対決が回避される可能性が出てきた。 会談終了後、首相と鳩山氏は公邸前で記者団とのやり取りに応じた。鳩山氏は「経済的にも円高などで大変対策が急がれている。こういう時こそ挙党態勢を築くことが重要だ」と強調。さらに「挙党態勢とは、小沢先生が(民主党に)加わってからいわゆるトロイカ体制で今日までやってきた、その原点に立ち戻ること」と語った。 菅首相は3氏のほかに輿石東参院議員会長の名前を挙げた上で、「基本的な考え方はまったく異存がない。その体制を大事に考えて活動を進めていくという鳩山さんからの提案に同意した」と述べた。 鳩山氏は「私が責任を持って明日(31日)、菅氏と小沢氏による会談の仲介の労を取りたい」と表明。小沢氏が2人の提案を受けて代表選の立候補を取りやめるかどうかを問われると、「出る、出ないの話は(首相と小沢氏の)会談が行われる時に決められる話であり、私がうんぬんする話ではない」と語った。 一方、挙党態勢確立に向けて、「脱小沢」路線の仙谷由人官房長官や枝野幸男幹事長の更迭論が取りざたされていることについて、首相は「そういう具体的なことは話していない。少なくとも鳩山氏から伝えられたことはまったくない」と否定。小沢氏の処遇については「ポストとか一切話はしていない」と述べた。 会談終了後、鳩山氏は小沢氏に対して、首相とのやり取りを伝えた。31日に首相と鳩山氏、小沢氏、輿石氏の4人で会談が行われる方向だ。 首相と鳩山氏の会談は、鳩山氏がロシアから帰国した29日に続き2日連続となった。鳩山氏は30日昼、国会内で小沢氏、輿石氏と会談。その意見交換を受けて首相との会談に臨んだ。 首相と鳩山氏の会談について、党内では「鳩山さんの努力の結果、いい方向へ向かっている」(奥村展三党総務委員長)との好意的な受け止めがある一方、「今さらトロイカ体制というのは理解に苦しむ」(村越祐民衆院議員)との声もある。首相の代表再選を支持している前原誠司国土交通相グループでは「明日の会談を見てグループとしての対応を決める」(幹部)との声が上がっている。 (新聞記事転載貼り付け終わり) アメリカの外交専門誌である「フォーリン・ポリシー」誌にロン・ポールのティーパーティー運動論が掲載されています。それを訳出してみました。短い文章なのですが、少し分かりづらい印象です。
私なりに解釈してみます。「ティーパーティー運動の指導層は既存政党である米共和党に組み込まれつつあり、既存政党に対する批判を行っていない。財政赤字を垂れ流す政府の在り方を批判せず、また、海外に展開していることも批判していない。それではいけない。ティーパーティー運動はアメリカの伝統的なスタイルに立ち返ることだ。それによって支持も増える」以上の様なことだと思います。 ティーパーティー運動はリバータリアン的な運動でありますが、色々なグループが参加しています。ですから一枚岩ではありません。また、サラ・ペイリン女史も参加しており、共和党の一部のような捉えられ方をしています。私の考えでは、このティーパーティー運動もやがて偏狭な人種差別団体というレッテル貼りをされて、ペイリンの弱点となるのではないかと思います。しかし、ロン・ポールが主張するような路線を維持できればまだまだ勢力は保てると思いますが、ロン・ポール自身が党派的な動きが苦手なのでどっかでひっかけられるのではないかと思います。 それでは拙訳をお読みください。 ========== ティーパーティー運動の外交政策(A Tea Party Foreign Policy) 勢力を増しつつある草の根運動であるティーパーティーは国内で大きな政府と戦おうとしない。それどころか海外に米軍を展開し、アメリカ帝国を維持させる政策を支持している理由(Why the growing grassroots movement can't fight big government at home while supporting it abroad.) フォーリン・ポリシー誌(Foreign Policy) 2010年8月27日 ロン・ポール(Ron Paul) 私はアメリカにおける中央集権化に反対している。そして、私は大きな政府に反対するティーパーティー運動のような草の根運動が共和党の一部になってしまうことを憂慮している。私は最近の共和党がティーパーティー運動の指導層に影響を与えて、共和党の政策を支持させようとしていること、そしてティーパーティーの指導者たちが共和党に勇んで参加しようとしていることに失望し、心配をしている。共和党はティーパーティー運動に参加している人々の目を閉じたままにし、自分たちの政策を変更しないで済むように努力しているのだ! ティーパーティー運動に参加している多くのアメリカ人が憤りを感じている。彼らはティーパーティー運動が大きな政府に反対していないどころか、海外におけるアメリカの動きを支持していることに気づいている。ティーパーティー運動では、現在のアメリカ政府が財政上の責任を果たさない一方で、世界中を占領し、苛めて回っていることについて話すことはない。ティーパーティー運動では、政府が抱える財政赤字と国内消費の減少について語ることはない。また、アメリカ政府がアメリカ帝国を維持するために世界120カ国以上に700以上の基地を展開していることから目を背けている。私たちは自然保護や貧しい地域のプールにかかる予算である僅か数千ドルを削減したことは賞賛するが、アメリカ国防予算については全く目を向けない。アメリカの国防予算は、アメリカ以外のすべての国の国防予算を総計した額よりも大きい。 アメリカの外交政策は幻想を基礎にしている。そして私たちは幻想を基礎にした外交政策に対して莫大なお金を支払っている。アメリカ政府は外国からのお金を借り、また紙幣を大量に刷っている。それによって海外に米軍を展開させている。アメリカは海外で帝国を維持するために莫大なコストを支払っている。しかし、国内の地域社会は疲弊し、不況は続いている。 私はティーパーティー運動のような草の根運動を盛り上げることができる機会が数多くあったと考えている。ジョージ・W・ブッシュ大統領政権下に始まった市民の自由の侵害とイラクとアフガニスタンの戦争を民主党が止めると約束しながら果たせなかったことを強調すればティーパーティー運動は盛り上がると私は考えている。財政と道徳を健全化するには、アメリカの伝統な外交のスタイルである民間による外交と政府の不介入主義に回帰するしかない。私はティーパーティー運動の将来を楽観視している。何よりティーパーティー運動に参加する人の数は増え続けているのだ! (終わり) 小沢一郎氏の民主党代表選(2010年9月1日告示、9月14日投票)への出馬表明以来、マスコミは菅直人総理と小沢氏の動向を詳しく伝えています。菅陣営では、ベテランの江田五月氏が菅総理の選対本部長に、石井一氏が本部長代理に就任しました。江田氏は参議院議長を勤め上げ、本来、菅氏の下風に立つような人物ではありません。そんな人物を選対本部長などという汚れ仕事をやるべきではありません。実際には石井一氏が活動をするのでしょう。石井氏は一歩間違えば転落してしまう、危険な政界を生き抜いてきた知恵と度胸のある政治家です。石井氏はこれまで小沢氏に近い立場で活動してきました。しかし、今回、菅総理の選対本部長代理に就任しました。これは何か裏があります。先月の参議院議員選挙前、石井氏の自宅に泥棒が入り、現金1,000万円が入った金庫が盗まれました。このことも含めて考えると、石井氏は菅総理を支持するように脅しを受けてそれで菅総理支持に回ったものと思われます。小沢氏からすると、自分の近くで活動していた、老練な石井氏が菅総理陣営に加わったことは痛手だと考えていると思います。
今回の小沢氏の出馬は多くの人々に驚きを与えました。私は今回の出馬を小沢・鳩山による従米路線の現執行部に対するクーデターであると考えています。そして、今回のクーデターの成功は鳩山氏の働きにかかっています。今回、小沢氏は出馬表明の際、「鳩山氏から支持を受けたので」という趣旨の発言を行いました。鳩山氏が支持しなければ、小沢氏は出馬しない可能性もあったような内容の発言です。ですから、小沢氏が出馬表明した以上、鳩山氏は小沢氏勝利に向け渾身の努力をしなければならない立場になりました。それではつい先日まで菅総理支持を表明していた鳩山氏が小沢氏支持に回ったのでしょうか。その理由になるかもしれない記事を以下に貼り付けました。菅氏は鳩山氏に対して、「最高顧問会議をつくるので、そこで小沢氏と一緒に活動してくれ」という提案をしました。鳩山氏はこれに対して激怒したのではないかと思います。以下の記事では、小沢氏が名誉職の提示に激怒したと書いてありますが、小沢氏は菅氏の提案など黙殺したはずです。 鳩山氏は世俗を超越したような飄々とした態度を取ることもありますが、おそらく、相当なプライドを持っている人物です。民主党を結党した時、資金を用意したのは自分だし、小沢氏をうまく利用して政権交代を成し遂げたのも自分だという相当な自負を鳩山氏は持っていると思われます。それなのに、今や菅氏(と仙谷氏)に伝書鳩並みに扱われ、何も実権のない立場に追いやられるというのは鳩山氏には耐えられない扱いだったのではないかと思います。それで小沢氏を担いで現政権に攻撃を仕掛けることになったのではないかと思われます。 早速、菅総理と小沢一郎氏の動向がマスコミによって詳しく報道されています。小沢氏は民主党の支持組織に挨拶回りをし、菅総理は大田区の工場を視察して回りました。マスコミは、小沢氏は「組織頼み」であり、菅氏は「民意頼み」であると分析しています。菅総理の従米、庶民いじめの政策をもってどうして「民意頼み」ができるのか分かりませんが、マスコミは完全に菅総理支持ですから、世論は菅総理支持ということになるのでしょう。はっきり言って、マスコミが行う世論調査は信用できませんし、それを使った研究や分析も信用できません。そして、こうしたレッテル貼り(レイべリングと英語では言います)の報道がこれから2週間もなされたら、大変なことだとも思われます。 これから9月14日まで目が離せない日々が続いていきます。 (新聞記事転載貼り付けはじめ) ●「菅陣営、選対本部長に江田前参院議長」 2010年8月28日付 読売新聞電子版 民主党代表選への出馬を表明した菅首相と小沢一郎前幹事長の陣営はともに、来月1日の告示に向けて準備を進めている。 菅陣営では、石井一副代表が首相官邸で首相に会い、31日に設置する選挙対策本部の陣容を協議した。本部長には菅グループの江田五月前参院議長が就き、石井氏が本部長代理を務める。 江田氏の本部長就任については「三権の長を経験した議員が政争の前面に立つのは望ましくない」(ベテラン議員)という指摘もあったが、前原国土交通相、野田財務相らの各グループも合わせて束ねられる重鎮として就任が決まった。 菅陣営は、首相が挙党態勢構築を拒んだとけん伝されていることに警戒感を募らせている。首相に近い寺田学首相補佐官は27日のTBSの番組で、「官房長官を代えろ、幹事長を代えろ、という話が裏で来る中で、人事で手を握ってまとめていいのか疑問だ」と語った。 一方、小沢氏はこの日、新人議員らとの会合を重ねている山岡賢次副代表と国会内で会い、「(小沢陣営は)連合軍だから、まとまってやらないといけない」と結束を求めた。鳩山グループの会合では、ロシアを訪問中の鳩山前首相の帰国後に改めて対応を協議することを決めた。鳩山氏は会合中にグループ幹部に電話し、「首相から2、3回電話があった」と語ったという。 ●「小沢氏「幻の最高顧問」 首相の戦略誤算 民主党代表選」 2010年8月28日付 朝日新聞電子版 民主党代表選をめぐる駆け引きの中で、「脱小沢」路線の転換の証しとして重要ポストを求めた小沢一郎前幹事長側に、菅直人首相はギリギリの局面で「最高顧問会議」の新設を提示していた。鳩山由紀夫前首相とともに小沢氏に最高顧問として加わってもらうという構想だが、小沢氏側はこれを拒絶。全面対決へと突き進んでいった。 「最高顧問会議をつくります。そこに小沢さんと鳩山さんに入ってほしい」 小沢氏が出馬表明する前日の25日夕、鳩山氏を首相官邸に迎え入れた菅首相はこう提案していた。首相は「最高顧問会議」の具体的な権限は示さず「ある程度重要な役割を持たせる」とだけ説明した。鳩山氏は「『脱小沢シフト』を小沢さんは快く思っていない。真剣に協力を求めることが必要かもしれない」と述べ、官邸を後にした。 翌26日朝、鳩山氏は小沢氏と会談して首相の構想を説明したが、小沢氏は拒否。もはや仲裁は不可能と悟った鳩山氏も、小沢氏に「全面的に協力する」と答えた。 首相側近の寺田学首相補佐官は27日のテレビ番組で「(小沢氏側から)『官房長官を代えろ、幹事長を代えろ』という話が裏で来ていた」と明かした。水面下で小沢氏側が権力に直結する重要ポストを求めていたという証言だ。 小沢氏自身を重要ポストで処遇すれば、「脱小沢」路線で走ってきた政権が崩壊しかねない。「最高顧問」という名誉職を与えることで小沢氏の顔を立てる、という苦心の案だった。 だが、小沢氏に近い党関係者は「小沢氏を棚上げしようとしているだけだ」と反発。首相は鳩山氏との会談後「小沢さんは最高権力者でないと納得しない。個別のポストを与えてすむ話ではないんだ」と、周囲に漏らした。 小沢氏との全面対決は、首相を支える側近らには誤算だった。再選戦略の裏方役を務める仙谷由人官房長官は最近まで、「政治とカネの問題を抱える小沢さんは代表選に出られない」と周囲に繰り返していた。小沢氏の「傀儡(かいらい)」候補なら首相は勝つ。無投票再選すらある。代表選後も引き続き菅―仙谷ラインで実権を握れる、と踏んでいた。 それだけに、小沢氏本人の立候補は驚きだった。中でも「想定外」(仙谷氏周辺)だったのが、鳩山氏が早々に小沢氏支持を表明したことだ。26日夜に開かれた仙谷氏が所属する「非小沢」系議員グループの会合では、鳩山氏への不満が噴出した。 首相自身はそれでもまだ、鳩山氏に働きかけて党内混乱をやわらげる望みを失っていないようだ。26日にロシアに向かった鳩山氏に、首相は2度も電話を入れた。29日の帰国後に再び会談する方向で、正式な立候補表明は、それ以降の31日にする考えだ。 だが、見通しは明るくない。小沢氏の周辺は、すでに全面対決で走り出している。その一人はこう語る。「首相は爆弾のスイッチを押した。変な妥協はできない」 ●「民主代表選:世論重視 VS 組織固め」 2010年8月28日付 毎日新聞電子版 事実上選挙戦に突入した民主党代表選(9月1日告示、14日投開票)は27日、出馬を表明している菅直人首相(63)と、小沢一郎前幹事長(68)の選挙戦略の違いが早くも鮮明になった。連合や日本医師会など団体へのあいさつ回りに費やし、足元を固めようとする小沢氏。街頭に飛び出し、中小企業を視察して円高対策の声明を発表した菅首相。集票力のある「組織」に軸足を置く小沢氏に対し、菅首相は政策重視で「世論」に訴える--という構図だ。小沢氏は国会議員票で先行し、菅首相が「クリーン政治」への同調の和を広げて巻き返しを狙う。 ◇菅首相、露出増で巻き返し 小沢氏、あいさつ回りに汗 菅首相は27日、中小企業の多い東京都大田区を訪れ、円高対策を発表。記者団から代表選の取り組みを問われても「首相の仕事を最優先していきたい」と強調した。28、29日も地方視察を予定。現職首相の強みを生かし、メディアへの露出で世論に働きかける。 30日に合同選挙対策本部(江田五月本部長)を発足させる菅陣営だが、「圧倒的に出遅れている」(若手議員)。「政治とカネ」問題を抱える小沢氏への厳しい世論が頼みの綱だ。報道各社の世論調査で首相支持の声が高まり、地元に戻った議員が小沢氏批判の強さを感じ取れば、情勢は変わると期待する。 「小沢的政治手法」からの脱却を訴え世論を味方につける戦略だが、「やり過ぎると党分裂につながる」(菅グループ幹部)とのジレンマも抱える。蓮舫行政刷新担当相は27日夜、BS朝日の番組で、野党が求める小沢氏の証人喚問について「ねじれ(国会)だから野党の数で通る。(政治とカネに厳しい)国民の反応からすれば逃げ切れない」と語った。小沢氏側には、菅首相側が野党と連携して小沢氏を証人喚問に追い込むのではないかとの疑念も募る。 その小沢氏は27日、東京都内の全国郵便局長会(全特)、日本医師会、日本歯科医師会を駆け回った。全特の柘植芳文会長から郵政改革法案の早期成立を求められ「そういう立場(首相)になったらしっかりやります」と応じた。 陣頭指揮を執った07年参院選や09年衆院選と同様、まずは組織・団体から固める手法だ。従来、自民党支持だったこれらの団体が党員・サポーター票への影響力を持つわけではないが、次の選挙に不安を募らせる国会議員に対し、集票力のある団体との緊密な関係を印象づける効果はありそうだ。 小沢氏は27日、都内の連合本部を訪ね、古賀伸明会長とも会談した。「2人がガチンコで戦うと組織が割れる」と激突回避を訴える古賀氏に対し、小沢氏は「鳩山さん(由紀夫前首相)に仲介をとっていただいたが、首相はそういう意思がないということだった」と説明。古賀氏が政治資金問題で明確な説明をするよう注文すると、小沢氏は「代表選となれば当然、テレビ(討論)や会見もあるので、いい機会だ。きちっと自分の言葉で説明したい」と自信を示した。 ◇連合「また裂き」懸念 ただ、連合など支持団体側は有力者2人の激突に戸惑う。組織がまた裂きになるだけでなく、民主党分裂も懸念される激しい選挙戦が見込まれるからだ。 支持労組に党員・サポーター集めを頼る国会議員も多く、労組の意向は議員票と党員・サポーター票の両方に影響する。それだけに、労組系の旧社会、旧民社党系も旗印を鮮明にできない状態が続く。鳩山グループも27日、約20人が集まり、告示ギリギリまで激突回避の仲介努力を鳩山氏に求めることを確認。羽田孜元首相のグループも約15人が集まったが結論は出ず、自主投票の方向となった。【野口武則、念佛明奈】 (新聞記事転載貼り付け終わり) 2010年8月26日午前、小沢一郎元民主党幹事長が、鳩山由紀夫前総理大臣との会談の後、来月14日に投票が行われる民主党代表選挙に出馬する意思を明らかにしました。小沢氏は「鳩山氏が支持をしてくれるということなので、出馬をしたい」と発言しました。鳩山氏は「小沢氏には私の一存で民主党に入っていただいた。その経緯から、支持をするのが大義である」という発言をしました。党内は一気に政局へと進むことになりました。
小沢氏の出馬表明に対し、新聞、テレビの小沢氏バッシングは酷いものです。昨日の正午過ぎのワイドショー番組から、「小沢氏は政治とカネの問題についてきちんと説明せよ」、「小沢氏は、首相になって、検察からの起訴を免れるために出馬表明をしたのだ」などという小沢氏をこきおろす報道や解説が行われました。そうした小沢氏のイメージを悪化させることを目的とした報道は現在も続いています。土日にはまとまった時間を使った報道番組がいくつもありますが、そろって小沢叩きを長い時間を使って行うでしょう。 私は自分の拙い思考能力と経験から、「今年9月の民主党代表選挙には出馬すべきではない」と考えてきました。その理由として、①民主党の党内がまとまっていない、②小沢氏に近づいている議員たちの中には裏切り行為を働く人間たちがいる、③国民の多くが小沢氏に拒否感を持っていると私は考えていました。しかし、今回、小沢氏は出馬表明を行いました。 今回、ポイントとなるのは、小沢氏が、「鳩山氏の支持があるので出馬する」という趣旨の発言です。小沢氏はこれまで、自分のグループの議員たち、特に松木謙公議員、山岡賢次議員から再三の出馬要請を受けながら態度を明らかにしてきませんでした。しかし、今回、鳩山氏との会談で決心が固まったかのように出馬を表明しました。鳩山氏と小沢氏は昨日午前8時からの会談で、「現在の従米路線で、国民の生活について顧みることのない現執行部に対してクーデターをしかけよう」ということで一致した のではないかと思います。 鳩山氏は小沢氏を道連れにして総理大臣を辞任しました。鳩山氏の辞任にはアメリカの意向が大きく絡んでいることは明らかで、アメリカによって辞めさせられたと言えます。そして、後任の菅総理は、仙谷、枝野、玄葉各氏とともに、クーデターで、政権を奪取しました。そして、従米的な政策を実行しようとしています。 今回、鳩山氏が勝負に出ました。小沢氏は鳩山氏に引きずられた感じはあります。しかし、国民生活の危機、日本経済の危機という状況で、今回、従米勢力にクーデターを仕掛けることで、流れを止めようとしたのだということだと思います。 心配なのは、投票日まで2週間以上も時間があることです。この間に仙谷氏や玄派氏がどのような巻き返しや、切り崩しを行ってくるのか注視しなければならないと思います。 (新聞記事転載貼り付けはじめ) ●「菅氏と小沢氏、全面対決 民主代表選、多数派工作活発化」 2010年8月27日付 朝日新聞電子版 民主党代表選(9月1日告示、14日投開票)は菅直人首相(党代表)と小沢一郎前幹事長による一騎打ちの構図となることが26日、事実上固まった。小沢氏は党内の議員グループ幹部に支援を要請、首相も新人議員と懇談するなど両陣営ともに多数派工作が活発化。両氏は財政再建や外交・安全保障面で姿勢に違いもあり、代表選は告示前から党内を二分する様相だ。 首相は31日に記者会見を開き、正式に立候補表明する予定。小沢氏も週明けに記者会見する方向で調整している。 党内では小沢グループが最大勢力の約150人。これに対し、首相側は菅グループ約50人に加え、前原誠司国土交通相グループ約40人、野田佳彦財務相グループ約30人の計約120人が核になる。両陣営がその他の鳩山グループ(約60人)、旧社会党系グループ(約30人)、旧民社党系グループ(約30人)、羽田グループ(約20人)の支持を奪い合う構図だ。 小沢氏は26日、鳩山由紀夫前首相との会談後、都内の個人事務所に移動。集まった小沢グループの議員に「鳩山グループ、旧社会、旧民社の各グループのほか、自民党を一緒に飛び出した羽田(孜)さんのグループとの話し合いを今日は優先させてほしい」と語った。 その言葉通り、横路孝弘衆院議長、西岡武夫参院議長ら党内の実力者に電話で相次ぎ協力を要請。その後、羽田孜元首相のほか旧社会党系グループの赤松広隆前農水相、旧民社党系グループの中野寛成元幹事長らを直接訪ね、それぞれ支持を訴えた。 一方、首相は同日、首相官邸で新人議員14人と懇談。首相は「再選したら、命をかける覚悟ですべての時間を費やす覚悟で臨んでいく」と強調。首相は新人議員の一人ひとりと握手し、別れ際に右拳を上げながら「頑張ります!」と笑顔を振りまいた。 首相は同日夜、鳩山氏が小沢氏支持を表明したことについて記者団に「直接話をする機会が今日はなかったので、あまり憶測でものを言わないでおきたい」と強調。「今は円高をはじめ経済的に厳しい状況にある。経済対策の基本方針の道筋を作り上げ、正式な出馬会見を開きたい」と語るにとどめた。 その後、首相は同日夜、寺田学、阿久津幸彦両首相補佐官ら側近と会食。その席で「国民は菅直人を選ぶのか、小沢一郎を選ぶのか。日本国の総理大臣を選ぶわけだから、最終的にはそれが問われる」と語り、世論の支持を前面に掲げる姿勢を示した。 両陣営の多数派工作に対して、党内では情勢を見極める空気もある。大畠章宏衆院議員ら鳩山グループの幹部ら16人は同日、都内で会合を開いたが、首相と小沢氏のどちらを支持するかは絞り込めなかった。旧民社党系グループも結論を先送りした。 代表選では「脱小沢」路線の是非や「政治とカネ」の問題とともに、政治主導のあり方や税制、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題が争点になりそうだ。小沢氏は、7月の参院選で消費増税を打ち出し、昨年の衆院選マニフェストを修正した首相を批判。普天間問題でも沖縄県内への移設を決めた日米合意を批判しており、大きな論点とする構えだ。 (新聞記事転載貼り付け終わり) 2010年9月14日に行われる民主党代表選挙について、今のところ、菅直人総理だけが明確な出馬表明をしています。これまで、小沢鋭仁環境相や海江田万里代議士が出馬を検討してきましたが、明確な出馬表明はなされていません。また、旧民社党系グループが独自候補擁立を模索していましたが、この動きもなくなりました。マスコミがいろいろと騒いでいますが、実際には、大した動きがありませんでした。
今日、2つの新聞が小沢一郎前民主党幹事長が9月の代表選に出馬することを検討と報じています。その他の新聞はこうした直接的な報道をしていません。せいぜい、小沢氏が鳩山由紀夫前首相が率いるグループの研修会に参加したということくらいです。小沢氏が代表選に出馬を検討と直接報じたのは、読売新聞と産経新聞の2紙です。この2紙はとりわけ民主党や小沢氏に対して批判的であり、アメリカとの関係が深い新聞です。この2紙が、小沢氏に対して直接取材をした訳でもなく、小沢氏も何か直接発言した訳でもないのに、代表選に出馬するのでは、という話になってしまっています。 「いや、周辺の議員たちから取材したのだ」というかもしれませんが、伝聞で大変重要な話を報道するべきではありません。民主党代表選挙は首相を選ぶ選挙でもあります。ですから、その取り扱いは慎重でなければなりません。 問題は、両方の記事に出てくる「小沢氏の周辺」という表現です。これは側近議員を示していることは間違いないところです。小沢氏の側近議員と言えば、山岡賢次氏、高嶋良充氏、奥村展三氏、樋高剛氏、松木謙公氏、三井辨雄氏などが挙げられます。この人々は小沢氏が幹事長時代には仕事ができましたが、今は逼塞を命じられているような状況です。彼らとしては現状を打破するために仙谷・枝野・菅体制を打破したい、少なくとも揺さぶりをかけたいと思っているはずです。それで、「小沢氏が代表選に出馬を検討している」と受け取られかねない話を記者たちにしたのではないかと思います。 小沢氏は今のところ、代表選に出るべきではないと考えます。それは日本にとっても小沢氏にとっても良いタイミングではないからです。小沢氏は検察から常につけ狙われ、検察審査会の結果を待たねばならない状況です。出馬を明確にした後、事情聴取でもされたら、選挙には勝てない、イメージはますます悪くなるという最悪の結果になってしまいます。そのような状況を反小沢系は狙っていると思われます。ですから、今は動くべきではありません。また、菅総理は体調が悪いようですが、内閣が発足して2ヶ月ちょっとでの交代は意味がないように思われます。 小沢氏の側近たちは自分たちの利益のために小沢氏を使ってブラフをかけようとしているようですが、どうかそれだけはしないようにお願いしたいと思います。 (新聞記事転載貼り付けはじめ) ●「民主代表選、小沢氏が出馬を検討」 2010年8月19日付 読売新聞 民主党の小沢一郎前幹事長は18日、9月の党代表選について、小沢グループ以外からの幅広い支持が得られることを条件に出馬を検討する考えを周辺に伝えた。 菅首相はすでに出馬の意向を明らかにしており、小沢氏は党内の動向を慎重に見極め、来週にも最終判断する見通しだ。 出馬の条件として、小沢氏は具体的に、党内最大の約150人を擁する小沢グループを固めたうえで、「(鳩山前首相グループや)旧民社党系や旧社会党系の支持が得られるなら考えてもいい」と周辺に説明した。 また、小沢氏は同日、長野県軽井沢町で19日に開かれる鳩山グループの研修会に出席する意向を鳩山氏側に伝えた。小沢氏はこの場で、自らの出馬を支持する声がどの程度広がるかを見極めたい考えとみられる。 周辺は、小沢、鳩山両グループ、旧民社党系、旧社会党系などとの連携により、国会議員の過半数の支持を固められると判断。政策としては、自ら策定に携わった昨年の衆院選政権公約の実現を訴えるほか、参院選で大敗した菅執行部では次期衆院選で勝利できないと主張するとみられる。 ただ、鳩山氏や旧社会党系の輿石東参院議員会長は、挙党態勢構築を条件に首相続投支持を明言している。また、小沢グループ内にも、小沢氏の政治とカネの問題に対する世論の批判が厳しいことなどから、出馬に向けた環境整備は容易でないとの見方がある。 ●「小沢氏、代表選出馬検討へ」 2010年8月19日付 MSN産経ニュース 民主党の小沢一郎前幹事長が、9月の党代表選(9月1日告示、同14日投開票)への出馬を検討していることが19日分かった。複数の小沢氏周辺が明らかにした。小沢グループを中心に、小沢待望論が高まっている。周辺によると、小沢氏は菅直人首相が政権交代時の公約見直しを進めていることに危機感を募らせているという。 (新聞記事転載貼り付け終わり) 現在、兵庫県西宮市にある阪神甲子園球場では全国高等学校野球選手権大会が開催されています。ベスト8が出そろい、これから佳境に入っていきます。甲子園大会は夏の風物詩となっています。高野連に対して言いたいことがありますが、今回は、本当に悲しい話がありましたのでこれについて書きたいと思います。
現在、沖縄県代表の興南高校は好投手島袋君を擁し、勝ち進んでいます。沖縄県代表のチームの試合となると、沖縄民謡や歌謡曲が数多く演奏され、大変にぎやかです。今年は、沖縄民謡の中でも多くの人々に知られている「安里屋ユンタ」も演奏され、沖縄らしさを存分に楽しむことができます。 しかし、以下の記事にあるように、沖縄を代表する名曲中の名曲「ハイサイおじさん」が2回戦から演奏されていません。これまで「ハイサイおじさん」の軽快なリズムと指笛の高音はまさに沖縄県代表チームの象徴とも呼べるほど全国に定着しています。 この「ハイサイおじさん」が「教育的指導」によって演奏されないようになったというのです。以下の記事によると、今年7月に沖縄の地元紙に「ハイサイおじさん」の歌詞が酒ばかり飲んでいる近所のおじさんをちゃかす内容で高校野球にふさわしくない、という内容の投書が寄せられ、興南高校野球部OB会が使用自粛を決めたというのです。 これは何と底意地の悪い、投書でしょう。この投書を行った人はおそらく「ハイサイおじさん」のできた経緯も知らず、そこに込められている意図を理解できなかったのでしょう。ちょっと深読みをすると、投書された内容と時期を考えると、この「ハイサイおじさん」を作った喜納昌吉氏(当時、改選を迎えた民主党参議院議員)に対するネガティブ・キャンペーンとも言えます。 「ハイサイおじさん」は1976年、喜納昌吉&チャンプルーズが発売した名曲です。その内容はある少年と近所に住むどうしようもないおじさんの掛け合いです。それを沖縄方言で表現しており、沖縄方言を知らないとその内容は理解できません。しかし、アップテンポなリズムを聞いていると、体が動いてしまうという曲です。 この「ハイサイおじさん」は表面上は、朗らかで、だらしない感じがしますが、その裏には悲しい話があります。この曲は、喜納氏の実体験を基にしています。彼の近所にどうしようもないおじさんが住んでいました。その人は遊郭や盛り場をほっつき歩いてばかりいる、ダメ人間になりました。それは、そのおじさんが全てを失ったことのショックのためでした。そのおじさんの奥さんが沖縄戦の凄惨な経験を経て、精神に異常をきたし、戦後、自分の娘の首を切断して殺害するという悲しい事件を起こしてしまいました。それ以降、そのおじさんは酒浸りになってしまいました。 こうした背景を知れば、単純な馬鹿馬鹿しい内容の歌ではないことが分かります。そして、歌詞にはそこはかとない悲しみが漂っていることも分かります。そして、そうした悲惨な背景を持ちながら、アップテンポな曲調であることの重みが分かるはずです。 だいたい、「教育的指導」などということは抑圧でしかありません。これは戦時中と何が違いますか。そしてそれを利用して「自粛」などをする。本当に情けない話です。 違う見方をしたら、「ハイサイおじさん」だけを教育的指導で取り締まるのは不公平です。恋の歌も教育的に良くないでしょうから(不純異性交遊を助長するでしょうから)、高校野球の応援には使ってはいけないということになります。それなら国語の古典の時間に万葉集や古今和歌集を勉強することも不可です。国語の教科書に村上春樹の作品の抜粋が掲載されていますが、あれはどうなのでしょう。「教科書に載るほど立派な作家さんなら他の作品も読んでみよう」ってなったら、どうするんですか。夏目漱石はどうですか。『それから』とか『こころ』は教えて良いんですか。森鴎外の『高瀬舟』は?漢詩に酒を飲む内容の物はいっぱいありますが?アホらしい。 今回の話は本当に恐ろしく感じました。「教育的指導」の名の下で、沖縄歌謡曲の名曲が否定されました。 (新聞記事転載貼り付けはじめ) ●「【甲子園・夏】あの名曲…応援歌「ハイサイおじさん」が教育的指導で消された」 2010年8月18日付 MSN産経ニュース 2010.8.18 12:27 甲子園球場(兵庫県西宮市)で開かれている第92回全国高校野球選手権大会で、準々決勝進出を果たした興南高校(沖縄)のアルプススタンド応援席から、沖縄代表の定番応援歌「ハイサイおじさん」が、ピタリと消えた。理由は、酔っぱらいおじさんを扱った歌詞が高校野球にふさわしくないという“教育的指導”。興南高校は18日の準々決勝第2試合に登場するが、おなじみのメロディー復活を求める声は根強い。 1通の投書きっかけ…全国のファン復活望む声 「ハイサイおじさん」は、約30年前に沖縄で生まれた歌謡曲。25年ほど前、沖縄出身で兵庫県尼崎市内の中学校で音楽教諭をしていた羽地靖隆さん(62)が、甲子園に出場した沖縄勢を応援するため、生徒たちと演奏したのが始まり。独特のリズムが人気となり、沖縄県勢共通の応援曲となった。 ところが今年7月、地元紙に、「遊郭を遊び歩く酒飲みおじさんをからかう原曲の歌詞が、高校野球にそぐわない」という内容の投書が掲載されたことから、興南高校野球部OB会が使用自粛を決めた。 代わりに用意されたのが「ヒヤミカチ節」。戦後の沖縄を元気づけようと作曲され、祝い事で流れる地元ではおなじみの民謡だ。「アップテンポな曲調や前向きな歌詞が応援歌にふさわしい」と、野球部OBの仲村智(ち)成(せい)さん(51)が提案。アレンジや練習が間に合わず、甲子園が“初登板”となり、羽地さんも演奏の指導に力をこめる。 1回戦ではこの新曲の準備が間に合わず、「ハイサイおじさん」が一度だけ流されたが、2回戦からは演奏されず、大会期間中は使わない方針。 ただし、全国のファンや興南高校応援団から「新曲もいいが、ハイサイおじさんをやらないのは寂しい。リズムだけでも残してほしい」との要望は強く、興南高校の教諭も「生徒から演奏したいという声はある」という。 仲村さんは「『ハイサイおじさん』をやるかやらないかは出場校次第だが、『ヒヤミカチ節』も慣れてくると思う。こちらも沖縄代表の応援歌になってほしい」と期待をこめる。 (新聞記事転載貼り付け終わり) ●「中央アジアにおける新しいシルクロード(Central Asia's New Silk Roads)」
2010年8月12日 ニューヨーク・タイムズ紙論説欄(インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙論説欄から転載) パラグ・カンナ(PARAG KHANNA)筆 モンゴルのウランバートルから。アフガニスタンで新たに発見されたリチウム鉱脈は、海に面していない中央アジア地域で見つかる他の天然資源と同じ運命をたどるだろう。欧米諸国が見つけて開発するが、それらをコントロールするのはアジアである。 シベリアの木材、モンゴルの鉄鉱石、カザフスタンの石油、トルクメニスタンの天然ガス、アフガニスタンの銅鉱石は新しく建設された中国向けの輸送ネットワークを通じて中国国内に運ばれている。こうした資源が世界最大の人口を抱える中国の急速な経済発展を支えている。 中国は現在、急ピッチで中央アジア地域に道路、鉄道、パイプラインを建設している。こうした社会資本は欧米諸国にもチャンスを与えるし、中央アジア諸国にも経済発展の機会を与える。19世紀に繰り広げられたグレート・ゲーム(Great Game)を、天然資源を巡ってこの21世紀でやることなどない。欧米諸国は中国の国内発展を支援するようにすべきだ。欧米諸国は、中国の地方政府を指導することで、繊維製品や農産物の輸出を増やすことに貢献できる。また欧米の先進諸国は、多くの天然資源輸出国が陥った「資源の呪い(resource curse)」に中国がかからないように輸出品の多様化を進めることにも協力できる。 中国は海に面していない中央アジアを海につなげるために社会資本の整備を進めている。欧米諸国は新しい建設される、東西を結ぶシルクロード(East-West Silk Road)を成功させるように動く必要がある。この新しいシルクロードは石油を運ぶためのものとなる。 カスピ海沿岸の油田からカザフスタンを通る石油パイプライン、トルクメニスタンからウズベキスタンとカザフスタンを通る、最近完成した天然ガスのパイプライン、ロシア国内を通る道路や鉄道の建設計画などこの地域の社会資本の整備は着々と進んでいる。これらの道路やパイプラインは、パキスタンのグワダルの天然の良港にまでつながっている。中国は中央アジアを大国間の緩衝地帯から東西を結ぶ回廊にしようと努力している。その証拠が中央アジア地域の社会資本整備に中国が深く参画していることである。中国政府の指導者たちは、ユーラシアを中国の経済発展に必要な天然資源を大量に埋蔵している地域だと見ている。 中国が中央アジアとアフリカに進出していることを新しい植民地主義ではないかと疑いを持って見る必要はない。欧米諸国の各企業は、中国が建設した道路、鉄道をいかに利用してそうした地域で成功を収めるか、戦略を練るようにすべきだ。中国と競争するのではなく協調していくことが重要だ。中央アジアで中国と協調するためには、社会資本建設に多額の投資を行うこと、地図上の役に立たない、恣意的な国境を超える新しい線(道路やパイプラインなど)を引くことである。道路やパイプラインは経済的利益を中央アジア、中国、欧米各国にもたらす。 中央アジアの社会資本プロジェクトで最も重要なものはまだ建設されていない、トルクメニスタン―アフガニスタン―パキスタン―インド(TAPI)天然ガスパイプラインと、イラン―パキスタン―インド(IPI)天然ガスパイプラインである。TAPI天然ガスパイプラインについて言えば、アフガニスタンの治安情勢が確保されないために建設が進まない。TAPI天然ガスパイプラインに投資しようという投資家は数多くいるし、アジア開発銀行も融資をしようとしているだけに残念だ。TAPI天然ガスパイプラインが建設されることでアフガニスタンの人々には職を与えることができるし、エネルギー不足が続いているアフガニスタンとパキスタンに安いエネルギーを供給することができる。米軍はアフガニスタンで軍事戦略を進めているが、その戦略の中にパイプライン建設など経済開発プロジェクトも含めるようにすべきだ。 イラン―パキスタン―インドIPI天然ガスパイプラインについて言うと、アメリカは建設に反対しているが、イランとパキスタンは建設を始めることで合意に達した。 アメリカ政府が気づくべき、最も重要なことは、イランを孤立化させると近東と中央アジアをつなぐ架橋がなくなってしまうということだ。ヨーロッパ各国も中国もこのことにきちんと気づいている。ヨーロッパはナブコ・パイプラインを建設し、中国が融資を行って建設が進められている北部アフガニスタンからイランへと続く道路を建設している。ヨーロッパや中国派こうしてイランを孤立化させるのではなく参加させることで地域を安定させようとしているのだ。 中央アジア諸国の地方政府では天然資源を発見しても精製も輸出もできない。欧米諸国が開発に参加することで関係する国々全てに利益が出るようになる。アフガニスタンは、鉱山技術をほとんど持っていないが、中国、オーストラリア、ロシアの企業群がアフガニスタン国内の鉱山開発を進めることができる。モンゴルでは外国企業による鉱山開発がここ20年ほどにわたり続いており、その結果、モンゴルはミネラルの輸出を急増させ、経済発展が加速している。モンゴルは鉱山技術以外にも欧米諸国の知識を利用している。モンゴルはノルウェイの真似をして、開発危機を設立し、ミネラル輸出で得られる利益を国民に還元している。またペルー人の高名な経済学者であるヘルナンド・デ・ソトをモンゴル政府が招聘している。デ・ソトは所有権と小規模開発の専門家であるが、彼の指導のもと、国内の整備を行おうとしている。モンゴルは新しいシルクロードの重要な部分を構成している。 中国もロシアも今や中央アジアを自国の裏庭だと見なしてはいない。その反対で、中国とロシア両国は欧米諸国が現在中央アジアで十分な役割を果たしていないと不満を持っている。欧米諸国は19世紀から中央アジアで様々な活動を行ってきたのに、現在、その動きが低調だというのだ。しかし、そんなことはない。シェブロンと中央アジア諸国に派遣されていたアメリカの大使たちはリーダーシップを発揮して、バクー―ティビリシ―ジェイハン・パイプラインを建設した。その当時、ソビエト連邦は崩壊し、コーカサス地方は不安定な状況にあった。 中央アジア地域に展開している欧米諸国の軍隊は、中国が融資をしたいと望んでいる天然資源開発プロジェクトや社会資本整備計画を防衛することに集中すべきだ。特にアフガニスタンに駐留しているNATO軍や中央アジア諸国と協定を結んでいるアメリカ軍はそのようにすべきだ。アフガニスタンにあるアイナク銅鉱山はすでに欧米の軍隊が守備している。アフガニスタンでは前述したとおり、リチウム鉱脈が発見された。中国は携帯電話と電気自動車の電池を製造するためにリチウムを求めている。それならば、NATO軍はこの鉱脈の守備も行うべきだ。 中国は中央アジア地域を貫く道路やパイプラインなどの社会資本の建設を積極的に進めている。ペルシア湾岸地域の自由貿易港であるドバイは、繊維製品など中央アジアの製品をヨーロッパやアメリカに輸出する港として生き残ることができる。欧米諸国が中央アジアからの製品にかける関税を引き下げたら、中央アジアの経済は多様化し、天然資源の輸出だけに頼るようなことはなくなり、資源の呪いを避けることができる。そうなると、中央アジア各国で非エネルギー部門における雇用も増加する。その結果、海に面していない中央アジアで最も必要な2つのことが実現する。それは安定と相互のつながりの深化である。 グレートゲームの遺産とも言うべきものに、この地域での「戦略的三角形」をどのように形作るかという考えがある。アメリカ―中国―インド、アメリカ―インド―アフガニスタン、アメリカ―中国―イランなどの可能性が考えられる。しかし、こうした対立を前提にした考えは中央アジアにとって何の利益ももたらさないどころか、害悪となる。中央アジアが栄えた時代、この地域は全ての方向に開かれていたのだ。長年にわたり、カイバル峠は侵略者と犯罪者にとって中央アジアへの玄関口となってきた。現在、カイバル峠はアフガニスタンに駐留するアメリカ軍の補給路となっている。カイバル峠を通っているのはアメリカ軍に雇われたマフィアたちである。しかし、できるならば、カイバル峠は色とりどりの民間トラックがホーンを鳴らしながら通って欲しいものである。 中央アジアの経済発展と安定は、中国の投資と中東地域の富によってもたらされる。シルクロードは歴史上常に、相互利益のための双方向の通路として機能してきた。デュランドラインと呼ばれるパキスタン・アフガニスタン間の国境線は半世紀にわたり何の利益ももたらさなかった。石油を運ぶ新しいシルクロードは中央アジアに将来、多大な利益をもたらすだろう。 パラグ・カンナ:ニューアメリカ財団上級研究員。著書に『三つの帝国の時代』(講談社刊)がある。 Tags:パラグ・カンナ
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