お待たせしました、と朝晩は涼風が吹く。秋が来た。猛暑を打ち払ってやってきた。今年ほど待ちわびたことはなかった
▼一日千秋の思いで今も待ちわびているものが、ちまたに二つある。スポーツ界の話だ。一つはプロ野球・福岡ソフトバンクホークスのリーグ優勝。2003年を最後に途絶えている
▼03年は日本一にもなった。あれから7年が過ぎ、思い出は半ばセピア色。04年以降は1位でレギュラーシーズンを終えながらプレーオフで敗退したり、いろいろあった。いつか必ず、とファンは歯がみして待ち続けてきた
▼もう一つはサッカーのアビスパ福岡だ。J1(Jリーグ1部)時代は「J2(2部)に落ちそうで落ちない」不思議なチームとして広く知られた。そんな話も今は昔。2度目のJ2降格という苦渋を味わって4年になる。いつかまたJ1に、とファンは信じて待ち続ける
▼大分トリニータが今季はJ2に落ちたためJ1に九州勢はいない。J2は日程の約3分の2を終え、アビスパ福岡が3位、ロアッソ熊本が6位、サガン鳥栖が10位、などとなっている。3位までがJ1に昇格する
▼復帰を目指す福岡、初の昇格を目指す熊本、鳥栖…。九州のサッカーファンはそれぞれの郷土のチームの応援に一段と力が入る。一方、九州唯一の球団として声援を集める野球のホークスは既に最後の戦いに入った。吹き始めた秋風をわびしいものにはしたくない。
=2010/09/16付 西日本新聞朝刊=