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フランス:「ロマキャンプ解体せよ」政府指令書が発覚

 【パリ福原直樹、ブリュッセル福島良典】少数民族ロマの国外「追放」政策で批判を浴びるフランスのサルコジ政権が、「ロマのキャンプを最優先に解体せよ」との内容の指令書を各警察に出していたことが分かった。欧州連合(EU、加盟27カ国)の行政府・欧州委員会は14日、仏が「欧州市民の域内移動の自由」と、民族・人種による差別禁止を定めたEU法に違反しているとの疑いを強め、法的措置を警告した。

 ロマ支援団体「市民権と援助・団結」が入手した仏内務省の文書(8月5日付)は「3カ月で(国内の)不法キャンプを徹底解体すべきで、最優先対象はロマのものだ」と各警察に指示。また「不法滞在者を即座に国外送還する」「ロマの不法キャンプ新設も防ぐべきだ」ともしている。

 同文書には不法キャンプの現状や撤去、新たなキャンプの発生状況などの記入票が添付され、警察に克明な報告を求めてもいた。また別の文書(8月9日付)では、各警察にキャンプ撤去の進ちょく状況を細かく報告するよう強調している。

 この文書について、仏人権団体などが「ロマを差別的に扱っている証拠」と反発。これらの批判を受け、オルトフー仏内相は13日、「ロマを最重点に」などの文面を削除した「訂正文書」に署名した。一方、「仏はロマを特別視していない」と主張してきたベッソン移民相は、文書の存在を「知らなかった」と言明。だが「移民相が指令内容を知らないはずがない」(野党第1党・社会党)との批判を招いた。

 欧州委はこれまで、仏のロマ送還措置について合法性の判断を先送りしていたが、今回の文書が明るみに出たことで方針を転換。レディング副委員長(司法・基本権・市民権担当)は14日、「第二次世界大戦後、欧州で少数民族という理由だけで退去させられる事態が起こるとは思ってもみなかった」と指摘、法的措置の手続きを「開始せざるを得ないと思う」と述べた。数日中に合法性に関する最終判断を下し、2週間以内に法的措置を取るかどうかを決める。

毎日新聞 2010年9月15日 10時44分

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