【ウィーン樋口直樹、テヘラン鵜塚健】ウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)の定例理事会で、イランのソルタニエ大使は15日、日本の核能力を危険視する演説を行い、天野之弥事務局長に対し、日本が保有する核物質の量や貯蔵場所などを次回の理事会に報告するよう要請した。
ソルタニエ氏は演説で、日本のプルトニウムや濃縮ウランについて「重大な懸案だ」と指摘。これに対する「日本政府の十分な説明と正当化」が必要との持論を展開した。
イランは今年6月の理事会で日本の核能力を危険視する演説を行ったが、天野氏への要請は今回が初めて。理事会の決定ではないため、拘束力はない。日本側は、IAEAとの追加議定書やプルトニウム保有量の自主的な報告などによって、核物質の転用や未申告が無いことは明白だと反論。「イランは自国の義務の履行に集中すべきだ」と述べた。
毎日新聞 2010年9月16日 10時25分