中国に本拠を置く世界有数の大手家電メーカー「ハイアール」は、これまで販売していなかった大型の冷蔵庫や洗濯機などを新たに販売して日本市場に本格的に参入し、今後、日本の大手メーカーに対抗して市場シェアの10%の確保を目指すことを明らかにしました。
ハイアールは中国・山東省に本社がある大手メーカーで、いわゆる白物家電の販売台数で世界有数の企業ですが、日本では、平成14年から主に1人暮らしの人向けの小型の冷蔵庫や洗濯機などを販売してきました。そして、これまでの販売を通じて日本の消費者の間にブランドが浸透してきたとして、新たに、家庭用の中型以上の商品も日本で販売し、本格的に参入する方針を明らかにしました。このうち洗濯機は、国内では最大級の布団も洗うことができる全自動洗濯機をことし12月に発売するほか、数年以内に容量300リットルを超える中型以上の冷蔵庫や、家庭用のエアコンなども投入する方針です。いずれの商品も日本の大手メーカーのものに比べて機能を絞り込むなどして販売価格を2割から3割程度安くするとしており、5年後には冷蔵庫や洗濯機の日本でのシェアを今のおよそ3倍にあたる10%以上に引き上げたいとしています。実現すれば、日本の大手メーカーに次ぐ規模となります。ハイアールでは「高い品質を求める日本の消費者の支持を得ることでグループの世界での企業価値をいっそう高めていきたい」と話しており、迎え撃つ国内の家電メーカーを巻き込んで販売競争が激しくなりそうです。「ハイアール」が日本に本格参入する方針を示したことについて、国内の家電大手の間では、販売競争が激しくなる可能性もあるとして警戒する意見も出ています。ある大手電機メーカーからは「ハイアールの本格参入は消費者の選択肢が広がるという点でよいことだと思う。省エネの性能などで選ばれる商品作りに、引き続き力を注ぎたい」とする声があった一方、別の大手電機メーカーからは「技術の面で力をつけてきたハイアールの商品が次々と量販店の店頭に並ぶようになれば、日本メーカーにとって脅威になる可能性は否定できない」とか、「割安を売り物にするハイアールの本格参入で、価格競争が一段と激しくなることも予想される」という懸念の声もあがっています。家電業界に詳しい、JPモルガン証券の和泉美治シニアアナリストは「日本の家電市場は品質などについて消費者の要求が高く、競争の激しい市場なので、ハイアールがすぐに日本のメーカーの脅威になる可能性は小さい」と指摘しています。そのうえで、ハイアールが世界市場で売り上げを伸ばしていることなどから、和泉シニアアナリストは「使いやすさや省エネ性能など、製品力を強化して日本の消費者に受け入れらる製品が出てくると、今後、脅威になる可能性がある。また、会社側としては、日本市場でもまれることで海外での評価を高めるねらいがあるのではないか」と話しています。