2010年9月16日1時23分
【ローマ=南島信也】国連食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)は14日、栄養不足の状態にある飢餓人口が昨年より約1億人減り、2010年は9億2500万人になると予測する報告書を発表した。FAOによると、減少に転じたのは15年ぶり。新興国を含む途上国の経済成長や、08年に高騰した食糧価格が下落したことが主な要因という。
1969年に統計を取り始めた飢餓人口は、09年に10億2300万人と過去最悪の数字となった。FAOは今回の報告を受けて、「飢餓人口は依然として高水準にある」との認識を示したうえで、ロシアの干ばつによる小麦生産量の減少や禁輸措置などの影響で穀物価格が高騰すれば、飢餓状況が悪化する可能性を指摘した。
地域別の飢餓状況は、最も多いのがアジア・太平洋地域で5億7800万人、次いでサハラ以南アフリカの2億3900万人、中南米5300万人となっている。ディウフFAO事務局長は「栄養不足の子供が6秒に1人の割合で死んでいる。飢餓は最大の悲劇であり、容認できない」としている。