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2010/09/08

逮捕、勾留された件

マジ災難に遭った。殺人未遂とかいう仰々しい逮捕状が出て逮捕されたけど、ほぼ丸3週間の留置所暮らしの後、不起訴処分で無事に釈放された。ある意味非常に貴重な経験をした。経緯とか、色々思ったこととか、留置所生活のあれこれとかを以下に記す。

【事件の経緯について】

■殺人未遂?
ぼくはいつものように一人で車に乗っていたのだけど、交通トラブル(詳細は省略)から相手4人が信号待ちで停車中のぼくの車を取り囲んだと思ったらあっという間にフロントガラスが割られたので、これはヤバイと思って車を動かして逃げようとしたら相手の一人(=フロントガラスを割ったヤツ)が車のボンネットに乗っかって来て、このままじゃ逃げられないから止まったところ相手が車から下りたのだけど、車を動かして乗っかって来たときか、止めて下りたときかに、どこかを打撲したらしい。診断書では全治不詳とやらだし、その後警察が来るまで辺りをうろついて恫喝を繰り返していたので、大した怪我ではないはずではある。で、ぼくが車を動かして小なりとはいえ相手に怪我をさせたという行為が殺人未遂の容疑を掛けられた次第。

ただ普通の感覚からすると、全体としてぼくの方が器物損壊の被害者だろう。留置所で同室だったおじさんとか、その後頼んだ弁護士(当然私選を頼むお金は無いので、国選。この辺りは後述)にこの事件のことを話したら、そういう反応だった。

■正当防衛?
あるいは緊急避難に当たるかと思いきや、担当検事が取調べのときに語っていたところによると、緊急避難は要件が非常に厳格らしい。より緩い正当防衛にしても、完全に認められるには、例えば、相手が角材などの武器を持っていたり(この場合素手だった)、ぼくの方で車を動かすときに警音器を鳴らすなり(しなかった。そんな悠長なことやってられる状況でもなかったし、相手は警音器よりうるさく怒鳴っていたりしたからいずれにせよ意味無いと判断したわけだが)、という辺りが最低限必要だったみたい。なので過剰防衛になってしまう。

ところで、殺人未遂で立件されるには殺意の存在が必要なのだけど、それを躍起になって認めさせようとしたのは当初取調べに当たった糞お巡りだけで、検事は取調べ時に状況話したときすぐに殺人未遂は無理と思った模様。ただその場合でも、傷害には当たる、とのこと。検事だから、ぼくを何らかの罪に問いたいがために正当防衛が完全に認められるケースではないとか言っているのかとも思ったが、その後頼んだ国選弁護人もほぼ同じ見解で、傷害について裁判で争って無罪を勝ち取るのは厳しいだろうとのことだった。

■じゃあ相手の器物損壊罪は?
警察は何もせず。国選で付いてくれた弁護士さんの前に当番弁護士と話したのだけど、その人によると、警察は喧嘩両成敗なんてことはしない、そうな。びっくり。そういうもんなのか。喧嘩両成敗というのは、こちらの殺人未遂あるいは傷害と、あちらの器物損壊と。とはいえ実際に警察の動き方を見ているとその通りで、喧嘩のどちらか狙った方のみを成敗する方針みたい。

警察がいかに器物損壊事件の捜査をサボったかというと、以下の通り。逮捕されてから留置所では暇だったりするので六法借りて刑法読んだりしていたのだけど、器物損壊は親告罪であることに自分で気付いて、担当刑事に告訴したいと伝えたら、丸一日後に呼ばれた。ちなみにこの時点でおかしくて、確か「犯罪捜査規範」という警察官が則るべき規程に、こういう場合は被害者に告訴を促すべき、とかいうのがあるはず(そのとき読んでいた分厚い六法にあった。今手元にある10年前にちょっと法律を勉強したときに買った六法にはその法規は掲載されていないので正確な条文は不明)。さらにおかしいのが、このとき書いた書類のタイトルが被害届。なんか変だなあと思っていて、後で当番弁護士呼んだときに訊いたら、やっぱり被害届と告訴状は全くの別物とのこと。前者は署内で放置もあり得るわけだが、後者は検察に持って行くことになっている。ぼくが告訴したいと言っているのに被害届にしたのは明らかに器物損壊事件の捜査をしたくないからで、無知に付け込まれたというところ。それが分かって再度、被害届じゃなくて告訴したいと言って、また丸一日経ってから告訴状を書いたのだけど、そのときに、この前も告訴したいと言ったはずだけど、と述べたら、(被害届も告訴状も)捜査始める上でどっちも変わらないから、とかゴニョゴニョ言っていたが、これは上記の通り嘘。

なんであっちじゃなくこっちを(まずは?)攻めたかというと、こっちの方が重い罪状に問えるから、としか思えない。つまり点数稼ぎだろう、と考えている。器物損壊は「3年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料」(刑法第261条)で、国選弁護人によるとそれだけでは滅多に逮捕も起訴もされないそうな。壊された物の損害賠償は民事でどうにかしろ、ということらしい。他人の物を壊すことなど屁でもないチンピラにとっては良い世の中だ、法曹界というものは。で、殺人未遂(同203条)は、殺人(「死刑又は無期若しくは3年以上の懲役」(同199条))から単純に半分に減軽されるとすると、無期若しくは1年6ヶ月以上の懲役、となる。

■不起訴?
なんで不起訴になったかというと、相手の器物損壊とこちらの殺人未遂改め傷害の刑事処分とをバーター取引で無し無しにするような合意書を作って検察に出して、それに従い相手の被害届とこちらの告訴を取り下げた。要は示談。これは検事の書いた筋書きで、ぼくの国選弁護人が相手方のところへ行って相手の署名押印をもらってきた。

担当検事と初めての取調べのとき(不起訴処分の言い渡しと2回しか会っていないが)、結構ぼくに同情的で、裁判になると傷害で有罪になるのは間違いないので、前科付けたくないのなら、相手との示談を成立させれば不起訴にしてやる、そのために弁護士雇え、とのことだった。面倒な裁判をやりたくない、という理由もあるだろうけど、これでぼくに前科付けるのはかわいそう、というのもあった模様。あと、大したことない事件だし、あとは民事で適当に処理してくれということらしい。なので、仮に合意書が取れずに起訴されたとしても、略式裁判になり、勾留切れる日にそのまま裁判やって罰金刑になって終わり、という感じだったはず。とはいえ担当検事はそれも多分やる気なくて、裁判のための調書とか取ってなかったはずなんだけど。ぼくの調書取らずにそのまま裁判とかあり得ないわけで。というわけで国選弁護人によると担当検事は相手方の説得を図ったりもしていたそうで、合意書取って刑事は終了、というのに賭けていたみたい。

ちなみに民事の方はぼくは、釈放されてから、少額訴訟制度を使って手続きした。相手も怪我して仕事休んだとか、担当検事やこちらの国選弁護人にごちゃごちゃ言っているようだが、多分嘘だろう(国選弁護人談)。

■弁護士?
逮捕されると資力申告書とかいうのを書かされて、一定の資力(貯金等が50万円以上)があると国選弁護人は頼めないとか言われる。なので私選を頼むしかないのかと思っていたのだが、これは微妙に勘違いだった。この点、とりあえずすぐに当番弁護士と面会するなりして正確な理解を得ておくべきだったな。以下、まだ間違いがあるような気がするがぼくの理解は次の通り。つか、Wikipediaに解説(国選弁護制度 - Wikipedia)があるのでそれに依拠しつつ記述する。次の段落における「」による引用はWikipediaから。

まずぼくは今回、殺人未遂という「法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を越える懲役若しくは禁錮に当たる」に該当する罪に問われて逮捕、拘留中だったので、被疑者国選弁護の対象となる。「資力が基準額(50万円)以上の場合には、弁護士会に対し私選弁護人選任申出の手続をしなければならないことも、任意的弁護事件における被告人の国選弁護人選任請求と同じである(刑事訴訟法37条の3)。」とあるので一見国選弁護人は頼めないみたいだけど、実は、私選弁護人選任申出の手続を一度して、その申出が拒否されれば、国選弁護人を頼める(基本的に無料で)。その申出の拒否だけど、私選弁護人候補として来た当番弁護士によると、私選弁護の費用が合わないという理由でも良い、というか、そんな細かい理由は記入しないので、当番弁護士に来てもらって、拒否してもらえばそれでいい。まあつまり一旦私選弁護人選任申出をして弁護士に一度来てもらって適当に拒否してもらえば、国選弁護人が頼める、という運用になっている。なお、そもそも弁護士会で私選弁護人候補を紹介出来ないという場合もあるけど、それでも良い。

ちなみに、上で書いた当番弁護士は、正確には私選弁護人の当番弁護士で、一般的に言う当番弁護士制度の当番弁護士とは形式上は違うのだけど、実質的に同じ人だったりするみたい。実際に、同室だった被留置者のおじさんは接見交通禁止処分が出ていて家族などとのやり取りも出来なかったため当番弁護士をそのまま私選弁護人として雇ったみたいだけど、その弁護士はぼくの私選弁護人選任申出に応じて来た人と同じだった。ついでに、その弁護士はあまり感じ良くなかった。

どのように感じが良くなかったかというと、幾つかあるのだがとりあえず一つ上げると、私選弁護人候補だったわけで、事件の概要を話した後、これを不起訴に持って行くのに私選だとどれくらいの弁護士費用が掛かるか訊いたら、最初に、着手金50万・成功報酬50万、と言った。はあ?って反応したら、最大限に負けて30万・30万、これ以上安くはならない、ということだった。50万・50万は、後で頼んだ国選弁護人の反応では、ちょっと高過ぎで、30万・30万ならまあ相場というところみたい。ついでに、国選弁護人に「身体を拘束されている方に」という冊子というかA4で6ページくらいのものをもらったのだけど、そこには15万・30万が「東京三弁護士会の当番弁護士センターの目安」とされている。

なお、この弁護士選任手続のスピード感は、他の諸々に比べて、意外と早かった(まあ被疑者の権利を守るため、当然と言えば当然だけど)。朝、私選弁護人選任申出をして、その日の夕方に私選弁護人候補が来て、上記のやり方を教えてもらってから、翌朝すぐに国選弁護人の選任請求を行い、確かその昼過ぎに裁判所から国選弁護人選任通知書が来て、その夜に国選弁護人が最初の面会に来てくれた。丸二日。

■警察、検察の取調べを受ける際の参考資料
上記「身体を拘束されている方に」は見付からないが、他にもらった2つはネットにPDFがあった。
被疑者ノート
取調べを受ける心がまえ
同室のおじさんは上記当番弁護士から被疑者ノートしかもらえなかったらしい(それもあって、あの弁護士への評価は低い次第)。ぼくがもらった「取調べを受ける心がまえ」を見せてあげたのだが、大分参考になったみたい。覚えてないことは曖昧なことを言わずにはっきりと覚えていないと言うべき、とか、確かに具体的な心がまえが記述されている。この辺りは一般教養として知っておいた方がいい。でないと糞お巡りの適当な調書で冤罪に嵌められる虞がある。ぼくはこの辺り、警察は糞であるとなんとなく理解していたので、最初の、殺意をやたら認めさせようという取調べでも自分の供述を曲げなかったけど、気が弱い人だと厳しいんだろうなあ。つか、否認していても逮捕出来ちゃうわけで、最初の数日は痴漢冤罪を描いた『それでもボクはやってない』て映画のことが思いだされた。あとカフカの『審判』。

【留置所生活について】
ぼくが入ったところの話。他も同じかは不明。

■概ね退屈
刑務所あるいは噂によると拘置所よりは全然緩いようで、だらだら過ごせるけど。刑務所はともかく、拘置所はそんな厳しいのかな。起訴されているかどうかの違いで、まだ推定無罪の支配下に居るためそんな酷い扱いは受けるはずはないと思うのだが。拘置所暮らしも一度体験してみたかったところ。

退屈なのは取調べなどが殆ど入らないため。上記同室のおじさんは事件の特性上毎日午前と午後、さらに一諸だった期間の半分以上の日で夕食後も取調べが入っていたけど、周りを見ていてもそういうのはまれみたい。単純な事件だと、刑事の取調べが週にせいぜい2回、検事の取調べが週に1回か2週に1回、とか。ぼくの場合は刑事が調書作ったのは、逮捕前に1、逮捕直後に身上書と逮捕容疑に対してのものを1、終盤に1、の3回のみ。あとぼくが被害者の事件で上記の通り、被害届と告訴状で各1回計2回取調べがあったけど、それはまあ別。検察には、逮捕の翌日に勾留請求もらいに行くので1、その1週間後くらいに担当検事(勾留請求するのとは別の場合が多い模様)の取調べで1、の2回のみ、というか前者は取調べではないので実質的に1回のみ。

■一旦逮捕されるとまず20日間は出られない
万引とかのしょぼい事件でも、最初の10日間の勾留はほぼ自動的に延長されて、20日間留置所に身柄を拘束されることになる模様。税金の無駄遣いとしか思えない。上で書いたのとは別のおじさんはそんな感じだった。万引した店の出入禁止だけで釈放されたみたい(ちょっと頭が弱いみたいで四六時中独り言を言っていて、かなり支離滅裂なんだけど、そこから再構成して理解した限りでは)だけど、三食昼寝付きで20日居たみたい。

あと、勾留請求はまずされる。逮捕容疑をどんなに否認しても、つまり今回のぼくの場合のように、普通に考えて殺意なんて立証のしようが無い(つかそもそも存在しない)のが明白なように思えるものであっても、それを捜査するためにか、検事は必ず勾留請求を出すみたい。その後裁判官がその請求をチェックすることになっているけど、そこも実質的にはスルー。ついでに、逮捕の翌日にこれらの手続きで会った検事も判事も女性だったのが少し驚きだった。

痴漢冤罪の話を上で書いたが、一旦逮捕されると立件が怪しいようなものでも20日ほど出られなくなり社会生活を破壊されるので、名刺を置いて立ち去るとかのやり方で逮捕されないようにするべきというTIPSをどこかで見た記憶があるが、本当にそうだと思った。

■一々手錠掛けられる
留置所の外に出るときには基本必ず手錠を掛けられる。つまり取調べなどのときには、同じ警察署の中だろうと。外部の人の目に触れるような場面(検察から裁判所への建物を歩いて移動するときとか、警察署のガレージに保管された車の見分のときとか)はカバーみたいなので一応覆う。

それ以前に、一番最初、取調べ室で逮捕されて早速その場で手錠嵌められて、5m先の留置所ですぐに外したのには笑った。逮捕したったどー、とかいう儀式なのだろうか。

■一々警官が大勢
不起訴処分の言い渡しで検察行ったときはぼく一人だけだったのだが、警官は運転手と両隣に一人づつで3人張り付いていた。それで半日だから、人件費は結構なものになるな(一人日給2万として3万とか)。まあそのときは特別で、普通の取調べで検察に行くときはマイクロバスで幾つかの警察署を回って4人くらいの警官で10人近くを運んだりするわけだが。

同室の面倒な犯罪のおじさんはどこやら街中に実況見分に行ったみたいだけど、20人とかの警官がブルーシートで見分の様子を通行人などに見えないようにしていたそうな。この人件費もすごい。おじさんは午後から行ったようだけど、警官どもはそれ以前から準備とかしていたようだし。

普段見掛けるときなんかも警官は大体二人組で行動しているわけだが、数をたのみにした組織なんだなあ、と改めて思った。

■検察調べのときは退屈で最悪
上記の「普通の取調べで検察に行くときはマイクロバス」とかいう場合、一諸に行っている他の被疑者の調べが終わるまで待たされる、みんなで一諸に帰るために。そして検察の中にある待機所は何も無い。10時前に着いて、17時とかに出発する感じみたいだけど、その間、大体取調べは検事の都合で適当な時間に1時間くらいあり、それ以外の6時間ほどは、12時の昼食を除いて、ぼーっとしているしかない。留置所は本などが読めるだけマシ。

■日課
都道府県警あるいは署によって違うのかもしれないけど、次のような一日。

・7:00 起床
2房くらいづつ布団片付け、房の掃除(トイレと、箒と雑巾でそれ以外のところ)。歯磨き、洗顔。共用と自分の合わせ本を3冊までと、自分のノートや便箋、それと毛布を房に入れられる。房に入るときは一々ボディチェック。以後、特に何も無ければ夜まで房内で過ごす。

・8:00 朝食
パン3枚にジャムとマーガリン、牛乳か3日に一度くらいはコーヒー牛乳。

・8:30 運動
とはいえ運動場は5m四方くらいなので、本当の意味での運動は出来ない。外の空気を吸えるという程度の位置付けの時間。タバコを吸う人はこのときのみ2本まで吸えるみたい。月水金は髭剃りと爪切りが出来る。共用の電動カミソリと爪切りがある。一人30分までで、別に短くてもいい。同時に2-3人づつなので、長いときは全体が終わるのに3時間近く掛かる。全員が運動終わってからボールペンが配られる。

・12:00 昼食
仕出し弁当。おいしくない、というか、得体の知れない料理が出たり、やたらしょっぱかったり、まずい部類。食べ終わる辺りの時間からNHKのラジオが流れる。ニュースは朝のを、多分内容チェック後に、流していた。土日はチェックが面倒なのかラジオでなく音楽のみ。朝は無いけど(つか牛乳飲んどけという話か)、昼と夜はお茶が出る。おかわり可能。水が良ければ、看守が水道の水をついでくれる。

・15:00 お茶
自弁購入(バラエティーパックとかチョコレートセットが1500円とか2000円で売っていた)、あるいは差し入れのお菓子等をこの時間に食べられる。

・17:30 ボールペン回収
日課表には正式には載っていなかったが、ここでボールペンが回収される。

・18:00 夕食
昼食と同様。昼のニュースが流れたり。

・20:00 就寝準備
朝と同様、2房くらいづつ。本など自分の荷物を出して、布団を中に入れた後、看守が部屋と布団のチェックを毎日していた。その間、歯磨きと洗顔。全体が終わってから点呼。

・21:00 消灯
朝7時まで10時間もあるわけで、すぐに眠れるわけないので、2-3時間は無為の時間を過ごさざるを得ない。

■留置所内では番号で呼ばれる
個人情報保護法の関係か昔からかは不明。昔からかな、名前が他の被疑者に知られるとあまりよくないわけで。

■時計が無い
時間は看守に訊くしかない。意味不明。朝早く起きてしまったとき、大声で時間訊くわけにもいかないので、頑張って二度寝するべきなのか起きたままでいいのか分からないのが辛い。

■毛布、布団
何故か上記の毛布はずっと房に入れておける。ぼくは座布団、昼寝時の枕として使っていた。一応ちゃんと洗っているようで、釈放されるときシーツなどと一諸に出した。

ついでに布団、掛け布団と敷き布団が1枚づつ、薄い。偽畳のクッション性の悪さもあり、体が痛くなる。シーツ・布団カバーは、何故か勾留が決まってから支給される。つまり逮捕当日の宿泊時はそれら無しで布団に入らないとならない。意味不明。交換は、20日の間には無かった。もっと長く入っているとすることがあるみたいで、交換している人が居た。

■連絡は手紙のみ
つか誰も住所なんか覚えてないわ。当たり前だけど留置所入るときに携帯とかは預かられる。なので完全に孤独。今回幸いなことに、逮捕時にとりあえず会社に連絡してもらったのだけど、その日のうちに服の差し入れなどを持って上司が来てくれた。感謝。

あと覚えている住所は実家だけだけど、余計な心配掛けたくないのと、世知に長けていないから色々と使えないだろうので、連絡しなかった。

手紙書くのも、日課に書いた通りボールペンが手元にあるのが昼前から夕方までと時間が限られている。取調べが入るときなどは書く時間が無くなる。毎日取調べだった同室のおじさんとか、全く書く余裕は無かった。

■差し入れ
上記の通り、入ってすぐ上司がTシャツとアンダーパンツ2セットとジャージを持って来てくれた。なので元々着ていたのと合わせて3セットだが、これだとちょっと足りない感じだった。上記の風呂と洗濯のタイミングだと、風呂上りにきれいな服を着るためには、一着3-4日着ている感じになる。

なので、もし知り合いが逮捕・勾留された場合、差し入れでは肌着類を3セットくらい入れた方がいい。毎日替えられるように7セットとかでもいいけど、ロッカーの容量が限られているのであまり沢山あってもきついかも。ロッカーは25*50*50くらいのサイズだった。まあ留置所の外の、財布や携帯を預けているところに下げておいてもらえばいいんだけど。

あと服はジャージのパンツを2-3本、冬はジャケットやトレーナーも2-3枚かな。それから、中で紙などはもらえないので、メモ取ったりするようにノートがあった方がいい。手紙を出すなら便箋、封筒、切手を数枚。自弁購入だと届くまで時間が掛かるので、最初に差し入れしてもらうのが良いと思われる。

ちなみに、ジャージとかに紐が付いていると、それは抜かれる。紐にはやたら神経質みたい。靴の紐も入所時に抜かれるのだけど、勾留中自分の靴を履く機会なんて皆無なので、意味不明なんだけど。自分の靴は財布なんかと一諸に預かられているみたい。勾留中は常にレンタルの健康サンダル a.k.a. Health Sandalを履いている。護送車に乗って検察に行ったりするときも。

■自弁購入
入所時に預けた現金から支払う形で物品購入が出来る。書籍は第5希望まで出してうち3冊。その他はリストから選ぶ方式で、かなり限られたものしか入手出来ない。服は下着類だけなので、その上に着るジャージなどは差し入れしてもらうしかない。あとは菓子類、ノートや便箋・封筒、切手、歯ブラシ、など。それと、注文が土曜、届くのが物品が翌週の木曜、書籍が同金曜と、非常に遅い。

基本的に最低限必要なものは借りられるようになっている感じかな。タオル、朝と夜の洗顔で使うセッケン、セッケン入れ、歯ブラシ、歯磨き粉、風呂のときのシャンプー、最低限の着替え(肌着類も一着くらいは借りれるみたい)、といった辺り。

■風呂は5日に1回、洗濯は週に1回
風呂は月→金→水→月→…、というローテーションで、運動の後に一人18分で入って行く。取調べなどで9時過ぎに出る人は順番を先にしてもらえたりする。一度に入るのは2人づつくらいで、普通の家庭にあるようなサイズの浴槽に同時に入るようなタイミングにはあまりならない。洗い場は2つと別に立って使えるシャワーが1つあった。湯量豊富で意外と快適だった。

洗濯は2房くらいづつ曜日を変えているみたい。運の良い房は洗濯と風呂が同じ日になるが、そうでない場合はいつ着替えるか、綿密な計算が必要になる。洗濯物をカゴに出せば、乾燥と畳むのは看守でやってくれた。

他に定期的なイベントとしては、散髪もたまにあるみたい。月一とかなのかな。一度やるか訊きに来たけど、丸1週間後、もう出ているはずのときの実施だったので頼まなかった。あと健康診断、これも月一とかかな。入っている間一度あった。体重と血圧測って聴診器当てるだけ。逮捕から1週間後くらいだったが、体重は3kgほど減っていた。

■房の定員は基本3人みたい
広さは4畳+トイレで5畳分くらいが横並び、幅25cmくらいの板のスペースが縦に通してある。歯ブラシを入れておくところを見ると1つの房に3人まで入れる仕様らしい。非常時には4人入れるっぽい施設(予備の歯ブラシスペース)もあったけど、使わないんじゃないのかな。ぼくが入っている間は殆どの期間で1房平均2人、最大2.8人とか。

畳は偽のビニール製ので、寝るときとかやたら暑かった。おまけに鉄格子に掛けられた細かい網や、プライバシーを若干保護するために下から高さ20cmのところから60cmほどの高さで渡されているアクリル板のために、風が入らず非常に暑い。エアコンだけでなく扇風機でもあればいいのだが。

トイレは房内にあって、便器は噂通り金隠しが無いものだった。換気がいいみたいで匂いは気にならない。あと扉は上が斜めに切られていて首が吊れないようになっていた。トイレットペーパーはロール式のでなく、30年近く前まで田舎では使われていた30cm四方くらいのちり紙だった。

■共用本
暇潰しは置いてある共用本を読むくらいしかない。他に一度物品購入で雑誌を2冊買ったけど、すぐに読み終わってしまった。つかもう1冊希望出したけど、しょぼい本屋なのか見付からないとのことだった。つか、買った雑誌は『山と渓谷』『岳人』、見つからなかった本は『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか』なんだけど。

で、共用本は40冊くらい、活字の本、主に小説が置いてあった。同室になった、上記の二人とは別のおじさんは東京のどこかの留置所にも入ったことがあるようだけど、そこには漫画も置いてあったし量ももっと沢山あったらしい。

それと、六法全書と国語辞書は別に借りられる。

久し振りに小説を沢山読んだが、やはりそういう「お話」のご都合主義が気に喰わない。よく出来たものはそれほど気にならずにさくさく読めるが、出来の悪い推理小説とかは読んでてイライラする。なのでノンフィクションとかビジネス本とかを最近は好んで読んでいたのか、と改めて思った。フィクションだと、必ずしもフィクションではないけど、私小説的なものの方が楽しめる感じ。映画なんかだと「お話」の粗さも気にならなかったりするのだけど、やっぱり活字はイメージを自分の中で作りながら読むから、その作業を妨げるような変な要素があると読んでて辛い。

それから、軽い小説は時間潰しにならないなあ、とも。赤川次郎とかは出来はいいけどさくさく読め過ぎてしまう。2時間も潰せない。

読んだ本は後で読書メーターに登録するかも。

あ、本の栞代わりで紐が付いているものがあるけど、そういうのは全て切られていた。自弁購入の本も、付いている場合は切られてから渡されるみたい。あんな紐で何をどうする虞があるというのだろう。

■新聞
産経新聞が、房内を順繰り回って来る。順番が後の方だと夕方とか夜になったりする。記事はチェックしているようで、被留置者に関係があるものとかは切り抜いている模様。

■留置所内の規律は意外と緩い
駄目なはずだけど、隣の房と大声で会話していたりする。しかもヤクの話だったりして。つか入っていたのは覚せい剤とか関係が比較的多かったみたいな様子。

んー、とりあえずそんな感じかな。

ちなみに釈放されてから真っ先にやったのは炭酸飲料を飲むこと。その後車をレッカーで自宅近くのディーラーまで持って行ってもらった。でもってスクーターで自由を満喫すべくプチトリップ。車の修理が上がるまで3日くらいなので、軽く北に向かって結局月山の辺りまで。羽黒山の石段を登って上まで行って、これで出羽三山全て登頂(今年の5月に山スキーで月山湯殿山に登ってあった)。ご利益があって、いいことあるといいなあ。

【追記】
書こうとして忘れていた。

■看守は無知
日常的なルーティン以外の手続き関係については業務に密接に関わるはずの事柄でもあまり知識が無いし、にも関わらずやけに高慢な態度を取り自分が正しいのだと押し通そうとするクズも結構な割合で居るという例。まあ看守に限らずノンキャリアのオマワリなんて大体みんなそうだろうけど。

当番弁護士呼ぶ手続きと、私選弁護人選任の申出の手続きとの違いを理解しておらず、後者についてそんなことは出来ないと言い放ったぺーぺーのヤツが居た。その後、そのやり取りをちらっと聞いていたらしいぺーぺーよりはシニアなのが、さっきのどうなった、と訊いてきて、こういうのがあるはずだが無いと言われたけどあるはずなのでさらに自分で調べる、とか答えたら、その手続ならこれだよ、と申請の紙を見せてくれた。

さらに続きで、実際に私選弁護人選任の申出をして私選弁護人の候補が来るとき、初回相談は無料のはずなのだが、有料のはずと言い放った別のシニアな看守が居た。これは取り付いだよりジュニアなのがまともな感覚の持ち主で、契約もしてないのにいきなり有料なわけないよね、ということで翌日弁護士会に確認してくれて、無事初回相談は無料という回答を得て来てくれた。

両方とも目的は果たせて、結果的には良かったのだが、でも自分の考えは正しいと強く信じられない人にはきついところ。

ついでに、看守は、まあ他の警官も大体そうだがそれにも増して、基本タメ口だった。被留置者は60歳とかの人も居たりするが、20台半ばと思われるぺーぺーもタメ口で喋っている。ただ看守でも、一人だけ(10人弱担当が居た中)ですます調で話す人も居たので、そういう態度を取ることが決まりというわけではなくて、業務を円滑に進めるにはどうすべきかは個々の判断なのだろう。

もう一つついでに思い出したのだが、警察署内ではそういう態度だが、検察庁内の取調べ待合室やその前後(検事のところに連れて行ったり)では、警官全員ですます調で喋っていた。「じゃ手錠付けるからねー。きつくないー?」→「では手錠付けます。きつくないですか?」。内弁慶なのね、と。

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コメント

おーおー、なんだかスゴイ事になってたのネ。
ツーか上司偉い。
今度、コースで会いましょう。
基本は楽しくネ。

投稿: masatosi | 2010/09/15 23:10

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