これはブログでなくHP(基本事項の記載完了)です。本HPには桜井淳の水戸事務所・カリフォルニア事務所・ニューヨーク事務所の(1)業務内容(2)日米大学での作業内容(3)米国活動内容(4)学術セミナー開催案内等を掲載しています。各項を順序よく読むと(a)事務所業務内容(b)桜井経歴・哲学・著書(c)学術セミナー内容(d)米国での活動内容等が分かります。著作権・情報のオリジナリティを確保するために本HPのコピー・引用・電子媒体へのリンクは禁止します。事務所への連絡はアメーバ会員に手続きすれば右欄の「メッセージを送る」によって誰にでもできます。このHPのUSA版も公開中です。毎月、メルマガ「桜井淳&事務所スタッフの作業内容」を発行しています。
「原発のどこが危険か」(朝日新聞社、1995)__「原発事故の科学」(日本評論社、1992)
「新幹線「安全神話」が崩れる日」(講談社、1993)___「崩壊する巨大システム」(時事通信社、1992)
以下は桜井淳の2010年(CY)に発表する論文です(①②③は受理済み、④は作成中)。
①米科学社会学学会口頭発表単独1件(Criteria of National Project on Domestically Developed Power Reactors and Nuclear Cycle Technology in Japan and Proposal of a New Evaluation Model)(2010.8.26-28)
②科学技術社会論学会口頭発表単独1件(物理学者アルビン・ワインバーグが提案したトランス・サイエンスの歴史構造)(2010.8.29)
③Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Application and Monte Carlo 2010口頭発表連名ファーストオーサー1件・報文集論文1編(Monte Carlo Research Activities Performed in Special Research Committee of Atomic Energy Society of Japan)(2010.10.17-20)
④欧州科学技術論連合論文誌"Social Studies of Science"原著論文単独1編(Criteria of National Project on Domestically Developed Power Reactors and Nuclear Cycle Technology in Japan and Proposal of a New Evaluation Model)
世界でも代表的な二大科学技術社会論論文誌("Social Studies of Science"と"Science, Technology and HumanValues")の内容を調査しました。前者と後者とも、創刊以来、各々約1500編の論文が掲載されています。
それら約3000編の論文を読んで気づいたことは、日本人の寄与が少ないということでした。連名まで含めれば、5名になりますが、単独ないしファーストネームは、たった、ひとりだけでした。そのひとりとは東大大学院人文社会系研究科の松本三和夫先生です。松本先生は、日本科学技術社会論学会会員ですが、他の4名は、そうではなく、哲学や社会学が専門ではないかと推察されます。日本の社会科学の研究者が書いた論文のうち、海外の代表的な学会論文誌に掲載された例は、極めて少なく、なかなか実現困難なようです。原因は、テーマの国際性、もうひとつは、文学作品のように痒い所に手の届くような英語表現ができないことにあるように思えます。
松本論文は、表題The Uncertain But Crucial Relationship Between a 'New Energy' Technology and Grobal Environmental Problems : The Complex Case of the 'Sunshine' Project, "Social Studies of Science", Vol.35, No.4, pp.623-651(Aug.2005)です。
それは、5章からなり、注約50箇所、引用文献約50編からなる20p.の原著論文です。内容は海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion ; OTEC)プロジェクトの政策的破綻の歴史的・構造的分析です。英語表現は、文学や社会科学のそれというよりも、むしろ、理工系論文のようになっています。文章表現的には、略語を多用し、英語表現的には、関係代名詞を多用しています。英語表現が特に巧みというふうには感じませんでした。
内容的には、8割が文献からの事実関係の引用になっており、考察は少ないように読み取れます。それにもかかわらず、なぜ、掲載されたかと言うと、それなりの理由が見出せます。松本先生は、いきなりその論文を書いたのではなく、まず、「知の失敗と社会」(岩波書店、1999)において、国際的に通用するテーマと位置づけられるOTECについて、約40p.まとめており、しっかりした文献調査と論理構成ができていました。それを基に英文論文を書いたのです。「知の失敗と社会」の執筆から"Social Studies of Science", Vol.35, No.4, pp.623-651(Aug.2005)掲載まで、少なくとも、数年かかっており、それなりの準備と努力が払われていたと推察されます。テーマ設定とまとめの手順については大変参考になりました。
原研での勤務経験から得た問題意識を整理して、"原子力開発の構造分析"をして、科学技術社会論学会論文誌「科学技術社会論研究」に2編の原著論文が掲載され、2編の原著論文が投稿中ですが、さらに、国際的に通用するテーマである"原子力ナショナル・プロジェクトの評価法"の原著論文をまとめることができる段階に到達しました。その論文を"Social Studies of Science"に投稿予定です。松本先生の話では「査読者が多かった」ということでした。世の中の学会論文誌では、普通、2-3名の査読者ですが、特に多いということは、5名くらいでしょう。審査が特に厳しいのでしょうが、不可能ではなく、挑む価値は十分にあるように思えます。
STS研究者を名乗るには"Social Studies of Science"か"Science, Technology and HumanValues"に複数の原著論文が掲載されていなければならないように思えます。日本のSTS研究者は、哲学・科学史・社会学の出身者であり、それらの分野で実績があるものの、国際的に通用するSTS学会論文誌での実績がありません。日本のSTS研究者は、まだ、試行錯誤の段階と位置づけられます。