自殺→事故死 保険金“死の方程式”崩した仲間の告白
2010年08月21日18時43分 / 提供:産経新聞
【衝撃事件の核心】
平成19年冬、東京・奥多摩の沢に身を投げた男性がいた。一度は事故と判断されたが、約2年半後の今年8月、生命保険金詐欺事件として新たな展開を迎えた。逮捕された元暴力団幹部らは警視庁の調べに対し否認を続けているが、犯行は身寄りのない男性にカネ目的で近付いた「貧困ビジネス」だったとの見方が強まっている。結婚、養子縁組、生命保険、自殺…。完全犯罪にみえた“死の方程式”は、ある男の告白でほころんでいった。
■「哀れな事故死」と片づけられていた
東京都の最西北端に位置する奥多摩町。日原渓谷や山々が連なり、雄大な自然が広がる首都圏のオアシスには、多くの観光客が訪れる。同町から檜原村へと通じる通称・鋸山林道。林業関係者や登山客らが行き交う細い林道沿いには、急峻(きゅうしゅん)ながけが続き、ガードロープを隔てて、数十メートル下を清流が流れている。
19年2月21日午後。鋸山林道入り口から数百メートル登った山中では、倒れた車いすの傍らで茫然(ぼうぜん)自失となった男の姿があった。
車いすの男に付き添っていた男性が、がけに転落する「事故」が発生したのだ。
「父親が、がけに転落した。車いすのブレーキがゆるんでしまい、(父親に)車いすがぶつかった。弾みで転落してしまった」
駆け付けた警視庁青梅署員に車いすの男はこう説明した。ガードロープを超えて約25メートル下の沢に転落した“父親”の男性は救急隊に救助されたが、4日後の同25日、外傷性くも膜下出血で死亡した。
亡くなったのは、職業不詳の大沢菊夫さん=当時(61)。身寄りのない大沢さんは、養子縁組を結んだ車いすの“息子”を押し、林道を散歩していた。
大沢さんの転落死は、車いすの“息子”の説明や周囲の状況から事故と判断された。“父親”の哀れな転落死は人々の記憶から次第に薄れ、そして消え去っていった。
■多額の生命保険金に加入
転落死から約2年後の21年冬、1人の男が青梅署を訪れ、衝撃の事実を告白する。
「あれは、事故ではない。自殺だった」
こう説明したのが当時、車いすに乗っていた“息子”だった。“父親”の死を悲しんでいた姿は、迫真の演技だったのだ。
“息子”の告白を受けて警視庁は再捜査に乗り出し、約2年前の「事故」の目撃者捜しから始めた。
「さくのロープに腰掛けていた男性が、後ろ向きにがけ下に落ちていった」
ほどなくして見つかった目撃者の女性の証言は、“息子”の「自殺だ」という告白を裏付けるものだった。この女性は、当時、乗用車ですぐそばを通りかかっていたのだ。
22年8月、警視庁捜査1課は女性の証言などから大沢さんの死は「自殺」と断定した。他殺を事故死と見せかける事件はこれまでにもある。だが、他殺でなく自殺であれば犯罪にはならないのに、なぜ事故を装わなければならなかったのか。
その理由は大沢さんにかけられていた計約3千万円の生命保険だ。自殺であれば契約年数が満たず支払われない可能性がでてくるためだ。
「分け前がもらえなかった」。青梅署に告白した“息子”はこの保険金の受け取りをめぐり、別の元暴力団幹部夫婦とトラブルになっていた。そのため事件の全容を語ったのだった。
捜査1課は19年3月に支払われた保険金約960万円の請求理由を偽っていた詐欺容疑で、元暴力団幹部、阿久津好男容疑者(68)と妻のタツ子容疑者(58)、車いすの“息子”の男(46)の3人を逮捕。“息子”は、阿久津容疑者と同じ暴力団の組員だったが、健康上の理由で即日釈放された。
■カネ目的で増殖した“異様”な家族たち
捜査の過程では、大沢さんと3人の“異様な”人間関係が浮き上がってきた。
関係者などによると、大沢さんは埼玉県内に住み、昭和36年から平成2年まで同県内のバス会社に整備士として勤めていた。退職後は家族と別れ、ホームレス生活をしていたとされるが、阿久津容疑者らと知り合うまでの詳しい生活実態は明らかになっていない。
大沢さんが3人とかかわりを持つようになったのは16年だったとされる。
路上で生活していた大沢さんに「生活の面倒を見る」と持ちかけたのが阿久津容疑者だった。以降、大沢さんは埼玉県坂戸市に住む阿久津容疑者宅に身を寄せるようになった。
その後の生活は、「善意」だけでは割り切れないもので、大沢さんは約2年間で妻や子供など新たな“家族”を次々と得ていくこととなる。
16年11月、大沢さんは阿久津容疑者に紹介された東京都奥多摩町に住む70代の認知症の女性との婚姻届を提出、それまでの「高橋」から姓を「大沢」に変えた。同月、大沢さんは約2千万円の生命保険に加入し、12月には、車いすの男を“息子”とする養子縁組を結ぶ。
翌17年4月には、タツ子容疑者も大沢さんの“娘”となる養子縁組を結び、同年7月には、今回の逮捕容疑となった約960万円の生命保険にも加入した。
これら計約3千万円の保険金の受取人となったのはいずれも、タツ子容疑者だった。
「阿久津容疑者は初めからカネ目的で大沢さんに近付き、虎視眈々と機会を狙っていたのだろう。阿久津容疑者には多額の借金があったようだ」
捜査関係者は阿久津容疑者がすべてを計画したとの見方をしている。
■暴力?信頼? 自殺に追い込まれた男性のナゾ
「大沢さんが自殺した後で、車いすとぶつかったと説明すればいい」
車いすの“息子”は、阿久津容疑者からこう指示されたと供述しているという。阿久津容疑者は大沢さんの飛び降りを“演出”できる場所を下見。事件当日は現場近くの病院に入院する女性の「お見舞い」という口実まで作って入念に準備を進め、大沢さんらを現場近くまで車で送ったとされている。
だが、「自殺」はあくまでも本人の意思。大沢さんが当日の現場で確実に自殺する根拠はなく、阿久津容疑者の自信はどこからくるのか疑問だ。
「阿久津容疑者は大沢さんに日常的に暴力を振るっていた」
“息子”はこう供述。阿久津容疑者が大沢さんを精神的に追い込んだ上で自殺させた可能性が高まっている。その一方で、大沢さんは阿久津容疑者を信頼しきっていたとの情報もあり、阿久津容疑者の“意向”を受け入れ自ら死を選んだのか、真相は不明なままだ。
「自由に暮らしていた大沢さんが暴力を振るわれる場所に居続ける必要があるのか。『なぜ、自殺したか』の解明がこの事件のカギになる」(捜査幹部)
阿久津容疑者らが別の「貧困ビジネス」に手を染めていた疑いもあり、警視庁は全容解明に向けて捜査を進めている。
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