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■生殖補助医療の実態に沿った法整備に向けて、野田さんはどんな活動をしていますか?

野田 民主党の小宮山洋子さん、自民党の山際大志郎さんらと超党派で勉強会をつくりました。来年の通常国会に、議員立法での法案提出を目指しています。生殖補助医療は原則自由、患者主体で行えるとする特例法です。生まれた子供は、法的に実子とできる。「本人が納得して責任を取るなら、国はそれを止めません」という原則に基づいて、今、素案をつくっている段階です。社会が(実態を)許容しないのは法がないから。法があれば社会は許容します。

■産みたい人が産める社会に、という考えに基づいて、少子化対策についてもご自身のマニフェストで提言しています。

野田 少子化対策の議論で典型的なのは、アメリカ型を取るのかフランス型を取るのか。アメリカは移民をたくさん受け入れて、少子化対策はしていない。でも結果的に移民が子供を増やしたので少子化対策の必要はなくなりました。国として少子化対策を打ち出してきたフランス型の方が、日本の実情には合っていると思います。

フランス政府は、子供を産むモチベーションのある人に産ませてあげよう、という社会の機運をつくりました。子供を産んだ人が豊かに暮らせるよう、3人産んだら児童手当を月10数万円程度出す、といった経済支援をしています。お金があれば、ベビーシッターを頼んだり、やりたいように子育てができる。その源泉にある発想は、「保育の社会化」を促そうということです。

■日本の場合、財源はどうするのですか。

野田 「子育て保険」をつくろうと提案しています。介護保険と同じように、国民が月額数千円ずつ負担して、子育てにかかる費用の何割かを賄うのです。子育ての費用をみなで負担すれば、子供を持たない人が世間から非難されることもなくなるでしょう。

消費税は一般財源なので特定目的に使えない。また、現在の予算の配分の仕方を変えるのは不可能に近い。保険方式が、少子化対策として最も現実的だと考えています。資源を持たない日本の財産は、人です。その人が減っているのだから、日本人は少子化問題を他国よりさらに深刻に捉えた方がいい。生殖補助医療に関する法整備を急いで進めたいと考えるのも、少子化問題が現実的な危機として迫っている今、産みたい人が産める体制をつくるべきだと考えるからなのです。

野田聖子議員へのインタビューは今回が最終回です。

長田 美穂

1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。全国紙記者を経て99年2月よりフリーに。

著書に、時代を代表する商品を素材に消費社会論を展開した「ヒット力」(日経BP社)とその新装改訂文庫版「売れる理由」(小学館文庫)、現代の少女の心の病をテーマにした「問題少女」(PHP研究所)、昭和のアイドル史を写真と共に綴った「アグネス・ラムのいた時代」(共著、中央公論新社)がある。月刊誌、週刊誌に寄稿多数。

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