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野田聖子議員に聞く:代理出産は認めるべき

2006年12月1日

(聞き手:長田 美穂=フリーライター)

 「代理出産」に対する関心が高まっている。不妊のカップルに代わって、第三者である女性が子供を出産する方法だ。タレントの向井亜紀さんとプロレスラーの高田延彦さん夫妻が、米国人女性に代理出産を依頼。生まれた双生児の出生届の受理をめぐって、向井さん側と東京都品川区が裁判を継続している(関連記事)。50代後半の女性が実の娘に代わって代理出産するケースも明らかになり、注目を集めた。

 日本の民法は、分娩した女性を、生まれた子供の『母』としている。このため、向井さんも50代後半の女性の娘も、法的には、生まれた子供の『母』となれない。東京都品川区が、向井さんが提出した出生届の受理について争うのもこのためである。実母に代理出産を依頼した女性は、生まれた子供を養子として向かえた。

 「代理出産」をはじめとする高度生殖補助医療の技術が進歩するにつれ、現行の法体系と現実とのずれが目立つようになってきた。この点について、野田聖子・衆院議員に話を聞いた。野田氏は、自らも不妊治療を体験。政治家としては、高度生殖補助医療への理解と法整備を訴えている。

■向井亜紀さんが米国人女性に代理出産を依頼し双生児が生まれました。子供たちの出生届けの取り扱いについて、議論が起きています。子供たちを実子と認めるかどうか、裁判は最高裁に舞台を移しました。代理出産について野田さんはどう考えていますか。

野田 聖子議員

野田 向井さんが悪いことをしたとは全く思っていません。誰にも迷惑をかけていないのだから。

この問題について語る前に、私自身の個人的な経験を先にお話しします。

私は自然には妊娠できない体です。でも体外受精、顕微受精なら子供を授かる可能性があると医師に診断され、人工授精の不妊治療を5年間受けてきました。

通常の人は、妊娠とは、セックスして受精・着床するものだという前提で考えます。しかし私のように生殖補助医療を受けている人間であれば、それ以外にも妊娠の手段がいくらでもある事実を知っています。体外受精や顕微受精もあれば、代理母による出産もある。死後凍結精子を使った受精、出産だって選択肢の1つです。

日本には世界に冠たる高度生殖補助医療の技術が既にある。患者が主体的に、自己責任で自己決定して選んだ道です。なぜ第三者が目くじらを立てて批判するのでしょうか。

理由は、誰が『母』か、法律に明記されていないからなんです。民法の不備です。民法は100年前、明治時代の判断基準でつくられました。100年前にはDNA鑑定も高度生殖補助医療もなかった。目で見て、子供を産み落とした人を『母』とする解釈が正しいとされた。でも今は飛躍的に科学が進歩した。これに法律が追いついていない。速やかに今の時代にあった法律をつくるべきです。

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