特 集

 

 拉致黙殺の一点張り

 ですから、そうした動きは決して国民を守るということではありません。そのいい例が拉致家族の問題です。朝鮮戦争以降の拉致被害者は14万2953名と公表されていますが、身内が拉致されていながらその中に名前が見つからない家族の訴えには、まったく聞く耳を持たずで調べようともしません。
  私は以前から、拉致された人数は100万を超すとみられる理由を発表しています。それほど多く被害者がいるにもかかわらず、また日本が拉致被害者とその家族を保護している現実を参考にするでもなく、北朝鮮の指令に同調しながら黙殺の一点張りです。しかも人民を奴隷にし、餓死させている北朝鮮の政権を尊重している。それはもはや救出ではなく、拉致被害者とその家族を敵と見なしているといえるでしょう。
  そしてそれを正当化するために、歴史を歪曲し、北朝鮮を擁護し、空想と空理空論で徹底した反日・反米教育に熱中しているのです。なぜそのようになるのか。それは、権力者の動きをみれば分かります。近くでいえば、それが前大統領であり、それを現大統領も引き継いでいるということです。
  韓国では、李光洙が指摘しているように、虚言、騙すことが上手でないと、人気があっても大統領には当選しないのが実情といえます。前大統領は元来、共産主義者で死刑宣告の前科もあり、北朝鮮の金日成政権と密着し、骨の髄から北朝鮮の金政権支持者であることは周知の事実です。そういう彼が俄に「中道右派」だと虚言を吐くと、騙されることを好む朝鮮民族がたちまち彼に投票し大統領に当選しました。

  韓国の大統領は、法を無視してもかまわないほど専制的大権力を持っています。それが`帝王的大統領cと称される所以です。いうならば法治国家ではなく、人治国家ということです。
  その権力で、従来の死刑囚や北朝鮮のスパイ、日本人拉致の犯人、辛光洙までも釈放して北に帰したり、すでに潰れかけていた北朝鮮よりの全教組(教職員組合)に数十億ウォンの大金を支援して再興させたりしています。そうやって親北朝鮮政策をとりながら、国定教科書も書き直させ、放送局の支配層を全員親北朝鮮寄りに整理しました。
  すなわち絶対権力を持った元首が、敵国と内応し、国民と国家・財宝を主敵に提供し、徹底した嘘と騙しで敵の傘下に安住する。これは、前にも述べたように韓民族の宿痾であり、国難ということができます。そういう問題が韓国にはあるということを歴史が示しています。

日本の集会で韓国の拉致被害者
救出を訴える 2年前の9月16日


 韓国の本当の敵は中国

 その第一回目の受難は、西暦660年の百済の滅亡と、668年の高句麗の滅亡でしょう。これは金春秋(統一新羅の太宗武烈王)の売国的行為によるものです。
  第二の反逆は、先に述べた1392年、世界に誇る文化的祖国・高麗を亡ぼし、主敵の属国になり下がった太祖・李成柱によってなされました。
  第三の国難は、第二次大戦の終戦時におけるスターリンの走狗たちによる北朝鮮占領で、百万単位の虐殺者と、餓死者を出し、1000万の離散家族を発生させました。そういう北朝鮮の政権に阿諛追従し、太陽政策という美辞麗句で、主敵に大量殺人・核武装の資金と情報を提供して、反米・反日を内面から教育している金・蘆政権は第四の国難とも言えるでしょう。
  昔からこの国は、3000名の群衆が団結すれば政権を取れると言われています。これが北朝鮮工作の細胞が幅を利かせる理由でもあります。北朝鮮の現状は、2000名の核心部隊が組織力を持って2000万人民の生殺与奪権を握っている。それをいま、韓国にも応用しようとしているのです。
  歴史を直視せず、やみくもに「反日」を叫ぶのは、北朝鮮の思うツボです。そういうことに早く気づかなければなりません。
  さらに問題にしなければならないのは中国です。韓国は中国との戦いで結構勝利していたのですが、負けたことによって中国の言いなりにならざるを得ませんでした。それで保護下に置かれ、ただ命令に服従することを強いられました。しかも、そこを発展させるというようなことはしません。
  日本が台湾や朝鮮でしたように、インフラ整備とかいろんな設備をして学校を建て無料で教育させたようなことはしないわけです。一千年経っても一切そういうことはしないでしょう。それはロシアも全く同じです。要は隷属国家のままにしておいて、何の発展もさせないということです。
  そういう意味で、韓国、朝鮮の本当の敵は中国です。もちろん私は、中国に対して敵愾心を持てということではありません。地政治学的にそうなっているし、また歴史が証明しているところです。
  なのに、韓国も北朝鮮も、ロシアも中国もいい国、悪いのは日本、アメリカというわけですから話にならない。日本がやったいいことを、なかったことにしているのです。すなわち歴史の歪曲です。


 強い者に弱く弱い者に強い

 ならばこれを、どう解決していくかということになります。その第一は、歴史を直視することです。歴史ですから時代が変わり人が変われば、その見方にも違いがでてきて当然でしょう。でも歴史の事実はねじ曲げないという冷静な目で見ることです。それが根本にないと正当な評価ができないばかりか、お互いが協力しようにも協力できないからです。
  それに大事なのは、主張すべきは主張するということです。その意味で現在の日本は、残念ながら失格と思います。私が言いたいのは、こういう時にこそ日本にしっかりしてほしいということです。日本が朝鮮半島にしっかりと対処していかなければ中国が干渉してきて、李朝を属国にしてきたように北朝鮮や韓国を抱き込んでしまう恐れがあるからです。現実に高句麗の歴史問題も出ています。中国は自分の国の歴史だということですから、領土も自分のものだということになります。
  それは韓国に対してだけではありません。日本の領土である尖閣諸島を、自分のもののように言ったり、沖縄も自分の国だと思っています。台湾についても自分の領土だと譲りません。
  朝鮮半島、台湾までが中国の支配になったらどうなるでしょう。アメリカがいるから、そうはならないという考えもありますが、やはり日本は日本で考えていかなければならない問題です。アメリカと同盟を結んでいる立場からも考えることは重要なことです。中国は日本の生命線であるシーレーンも自分の管轄下に置きたいと狙っています。そうなれば日本の産業は成り立たなくなり、日本の経済力は急激に衰退するでしょう。
  ですから今のうちに日本は明治時代の武士道を覚醒させて、しっかりと韓国と手を組んで中国と対処してほしいのです。これはアジアの安定のためにも大事なことです。
  日本が強くなって韓国と手を組むとどうなるか。終戦前、満州で中国で活躍したのは日本人よりも韓国人でした。平均して中国人より韓国人の方が強さを発揮し、中国に対して強く出ました。日本が明治時代の日本軍隊のように強くなると、韓国、朝鮮の人は日本人以上に日本人になるのです。今の台湾において、日本人より日本人の生き方を伝承しているという事実。昔の日本人は、それほどに誠を尽くして現地で働いたということです。その意味するところは、併合自体が侵略でもなく略奪でもなかったということです。
  儒教、朱子学というのは、あくまで事大主義ですから、強いものには巻かれろ、逆に弱いものは踏んでもかまわないということです。大人の前では、いつもきちんとしているけれども、弱いものとか子供の前では威張る。これは中国でも同じことです。ですから日本が強くなって、中国にそして韓国に対処するようになれば、そこからはじめて対等な付き合いが始まることになるのです。日本が弱気で下手になって対応するので、中国も韓国も逆に強く出てきて、嘘のことでもそれを理由に自分の要求を突き付けてくるわけです。


 ソウル遷都は滅亡の運命

 小泉首相も小泉首相です。蘆溝橋に行って謝罪している。謝罪する必要はありません。日本がやったわけではないのです。撃たれた兵隊は、秋田の部隊で秋田にいます。私はインタビューして資料を取っています。
  中国のいう歴史認識の共有は、中国のいう通りにしろということです。そんなことはすべきでないし、できるはずもない。支那事変というのは、日本が中国共産党と戦った防共戦です。これをはっきりと認識しなければなりません。向こうはアジア、中国、日本を共産化しようとしていた。背後にはソ連のコミンテルンの野望がありそれと日本は戦った。日本の軍隊がいたからこそアジアは、日本が敗れるまで共産化されなかった。日本が敗れたために中国も満州も朝鮮も共産化されてしまった。
  それを知っている人は世界にいなかったわけではありません。ローマ法王のピオ11世はよく分かっていた。支那事変が始まった年の10月にメッセージを出しています。全世界の3億5千万のカトリック信徒に対して、日本の支那事変は侵略戦争ではない。共産党と戦っている。共産党が存在するうちは、全世界のカトリック教会、信徒は日本軍に遠慮なく協力せよといっています。だからこそ戦後マッカーサーが靖国神社を解体しようとしたときに、カトリックのビッター神父、バーン神父は反対した。
  靖国神社の近くに白百合学園という女学校があります。靖国神社の前を横切るときに生徒は頭を下げる。どうしてかと気になっていた。それはローマ法王にお伺いをたてたら頭を下げるようにと指導があったという話でした。
  結局中国共産党は戦争を一番望んでいた。昭和7年、満州事変の2年後に対日宣戦布告を出しています。昭和9年にも同じようなものを出しています。蒋介石の国民党軍と日本を戦争をさせて、その間に自分たちの勢力を伸ばして中国を共産化するという戦略だったわけです。
  支那事変が始まった後、毛沢東が出した指令があります。日本との戦争では、七分の力をもって党勢を拡大せよ、二分の力をもって国民党と妥協せよ、残りの一分の力をもって日本と戦争せよというものです。
  中国は共産党政権です。その共産党と防共戦を戦った日本の歴史観が合うわけがないでしょう。そういうことを日本は中国にはっきりという。それで初めて同じ土俵に上がることができるのです。日本は、論争の土俵に上がるまえから頭を下げているわけです。