終戦の瞬間、バックネット裏の中年男性が警備員に詰め寄った。「何で代えたんや! 聞いてこい、お前!」。虎党のフラストレーションはMAXに達していた。1失点だったエース久保を六回で降板させたあげく、中継ぎ陣が崩壊し、首位陥落。真弓監督がふるったタクトが勝利を逃した。
「久保はあと1イニングいけた? いや、あの辺で切ろうかな、と思っていた。(アクシデントかの問いに)いや、大丈夫。久保田でも球児でもいけたんで。藤川は準備していた? もちろん」
指揮官は計画通りであったことを明かした。しかし、「今までいい投球をしていた」という2番手・福原が先頭・畠山に同点弾を浴び、さらに連打で一、三塁としたところでKO。緊急登板した久保田が、川端に勝ち越し打を献上した。渡辺&桟原らも痛打を許し、終盤で計6失点。ボロボロだった。
チーム勝ち頭の12勝をあげているものの、わずか81球での降板となった久保は「ムダな四球が多かった。内容もよくなかったということでしょう。フラフラしてしまいましたしね」と自己責任を強調したが、久保投手コーチは「継投失敗。大失敗。私の責任です!」。クラブハウスへと続く通路で自嘲気味に言い切った。いくらざんげしたとしても…こぼした星は帰ってこない。
先発陣で首脳陣は頭を抱えていたが、絶対的守護神の藤川へつなぐ架け橋にも苦労している。今季の七回の失点総数は「76」。先発陣が崩れやすい四回の「86」に次ぐ、ワースト2位だ。久保田に至っては前カードの中日戦(スカイM、甲子園)の登板を回避した。体の一部への張りなどが考えられるが、台所事情は苦しい。久保は中5日で16日の横浜戦(横浜)→21日からの中日3連戦(ナゴヤD)へ挑ませるための“温存策”にしても、1点リードの場面で防御率7点台の福原に託さねばならない現状は厳しい。中継ぎ左腕も不在でコマ不足は否めないが、だからこそ、真弓監督の取捨選択が重要となる。勝負はまだ先と、今度を見据えるがゆえに目の前の星を落としてしまうのは、本末転倒だ。
山口投手コーチも「久保降板は早かった? そうやな」と認めた。勝負は下駄を履き、鼻緒を確かめるまではわからない。首位から陥落したが、巻き返しのチャンスは中日より7試合多い、21試合もある。ナインの背中を押す虎党は、もう2度とこんな失敗は見たくない。(阿部 祐亮)