医師の不足や偏在化に対応するため、野呂昭彦知事は14日の会見で、県医療政策室内に10月1日、医師確保対策チームを設置するとともに、11年度から研修医研修資金貸与制度を始めることを明らかにした。また、地域医療は極めて厳しい状況にあるとして、軽症患者は救急病院を受診する前にかかりつけ医に相談することを求める緊急談話を発表した。
対策チームは医師免許を持つ職員を含む約10人で構成、県内の病院の医師求人情報を収集し、ホームページや医学雑誌などで全国に情報発信する。また、県内勤務に関心を持つ県外在住の医師に対し、県内での勤務を働き掛ける。
研修資金貸与制度は、県内の病院に勤務する初期臨床研修医と後期研修医など三重大学医学部付属病院や県内中核病院で知事が指定した研修プログラムを受けている専門研修医を対象としている。貸与の受け付けは13年度までの3年間とし、初期臨床研修医の貸与枠は年間約20人で、年150万円を2年間を限度に貸与する。専門研修医の貸与枠は年間約10人で、学会参加費など30万円を含む年330万円を4年間を限度に貸し付ける。
初期臨床研修医は貸与終了の翌年度から3年間、専門研修医は貸与年数の1・5倍(うち2年間は知事が指定する病院勤務)の期間、県内の救急医療機関で勤務すれば貸与金の全額が返還免除される。県は、15日開会の県議会第2回定例会に対策チームの活動費として約1056万円を盛り込んだ補正予算案と貸与金返還免除のための条例案を提出する。【田中功一】
〔三重版〕
毎日新聞 2010年9月15日 地方版