これまで中立政策に伴う軍備の自立性、極寒の独特な運用環境に適合させるための独自のニーズなどから独自開発を基本とし、「サーブ35ドラケン」や「サーブ37ビゲン」などの戦闘機を国内開発してきた。
新戦闘機「JAS39グリペン」の開発に当たってもこの考えが踏襲され、独自開発としてスタートとしたが、戦闘機の開発には多額の経費を要するため、結果的には外国から約60%の技術導入注(EU諸国40%、米国20%)を行い、事実上は国際共同開発に近い形となった。
注:英国からレーダー(派生型)、主翼、中胴、脚系統、脱出装置、油圧系統、空調系統等、米国からエンジン、飛行制御系統、INS、HUD、ジェネレータ、仏からは燃料系統、独は油圧系統の一部、そのほかチェコ、ポーランド、ハンガリー、南アフリカなどから部品などの供給を受けている。
1995年、主契約会社のサーブ社は英国のブリティッシュ・エアロスペース社とJAS39輸出のための合弁企業を設立、スウェーデンのエリクソン社は2005年「JAS39」用火器管制レーダーの製造会社である英国のマルコーニ社を買収し、国際的な企業統合が進んでいる。
2001年2月、国防省防衛取得委員会は「スウェーデンの防衛装備取得は国際共同開発への参画によって実行する」との長期戦略を発表し、装備の安定供給と価格低減のため従来の方針を大転換している。
国際共同開発事業への参加を政府に義務づけた韓国
韓国空軍の「F-15」戦闘機〔AFPBB News〕
韓国は1987年に国際共同開発事業への参加と技術導入のための計画樹立を政府に義務づける「航空宇宙産業開発促進法」を制定し、長期戦略に基づき「KT-1」や「T-50」の開発を行っている。
1980年代後半に開発着手したプロペラ練習機「KT-1」は韓国空軍向けの85機のほか、インドネシア、トルコに約70機の受注に成功し、今後、東南アジア、中央アメリカにその発展型150機を売り込む計画である。
「T-50」は米国のロッキード・マーチン社の技術支援を得て韓国が開発したジェット練習機であり、生産分担は米国55%、韓国44%(残り1%は第三国)と、ほぼ対等のビジネスモデルとなっている。
韓国空軍向け82機のほか、ロッキード社と協同して欧州諸国用の練習機や米国の「T-38練習機」後継機として売り込みを狙っており、2030年までに3000機以上の需要が見込まれるとも言われ、航空分野で大躍進を狙っている。
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