全国の小中高校生による暴力行為の発生件数が09年度、過去最多の6万913件(前年度比2・2%増)に上ったことが14日、「問題行動」に関する文部科学省の調査で分かった。小学校は前年度比9・7%増と最も大きな伸びを示し、小中ともに過去最多となり、暴力行為の低年齢化傾向がみられた。国私立も調査対象に加えた06年度から、3年連続の増加となっている。
調査は、国公私立の小中高3万8389校を対象に実施した。
小学校の暴力行為は7115件。加害児童数は前年度比12・4%増の6814人で、06年度の学年別加害児童数と比べると、各学年とも約2倍近くになった。中学校の暴力行為は4万3715件(同2・2%増)。高校は1万83件(同2・9%減)だった。暴力行為が校内で起きた学校は全体の23・7%(同1・1ポイント増)だった。
発生状況別にみると、生徒間暴力が3万4277件(同5・6%増)で過半数を占めた。対教師暴力が8304件(同2・3%増)、見知らぬ人らへの暴力が1728件(同0・2%増)と人への暴力は増加し、器物損壊は1万6604件(同4・2%減)に減少した。
前年度から調査を始めた被害者が病院で治療を受けたケースは4件に1件の割合で、1万1708件(同9・8%増)に上った。
暴力行為が増えた理由について、文科省は(1)感情のコントロールができない(2)コミュニケーション能力の不足(3)規範意識の欠如--などを挙げた。さらに「十数年前は集団で連携して暴力を振るうことが多かったが、最近は1人で行う傾向が表れている」と分析した。
いじめについては、特別学校を含む計3万9942校を調べた。認知件数は7万2778件(同14%減)で小中高のすべてで減少。このうちインターネットが関係した「ネットいじめ」は、3170件(同30%減)だった。
しかし、文科省は「技術の進歩で見つけにくくなっている面もある」と引き続き注視する方針。また、いじめの早期発見に向けて、全学校で児童生徒にいじめについて尋ねるアンケートを実施するよう求める通知を初めて出した。
自殺した児童生徒は前年度より29人増え、中高生165人。小学生はゼロ。いじめが原因とされたのは2人だった。【本橋和夫】
毎日新聞 2010年9月15日 東京朝刊