鹿児島県が、同県阿久根市の竹原信一市長が専決処分した市の予算には法的問題があるとして、予算に盛り込まれた農業農村活性化推進施設等整備事業について、市が申請した農機具購入補助金約435万円の交付決定を先送りしていることが14日、分かった。補助金を活用する予定だった農家は「農作業に支障が出る」と困惑している。
県と市によると、阿久根市内の二つの農業生産組合が農薬散布機と稲刈り機の購入を計画。予算計約1300万円のうち県が3分の1、市が6分の1を補助し、残額は利用者が負担するとの内容で、市が6月に事業計画書を県に提出。県は7月1日、補助金の適用を内示していた。
ところが、竹原市長は同7日付で、議会を招集しないまま同事業の補助金を含む本年度一般会計補正予算案を専決処分。同20日、県に補助金の交付を申請したが、県は同2日に竹原市長に議会の早期招集を是正勧告していたこともあって、伊藤祐一郎知事は「明らかに違法」と不快感を表明。同23日には、2度目の是正勧告をした。
交付を決定しない理由について、県財政課は「違法な専決処分である状況を踏まえ、検討している。交付するか、しないかの結論はまだ出していない」と説明している。
市によると、昨年の同事業の補助金交付は7月14日に申請し、3日後には県の決定を受けた。
竹原市長の専決処分で副市長に選任された仙波敏郎氏は「県が市長リコール(解職請求)運動を応援していることの表れで、あるまじき行為。市民が泣くような行政をしていいのか」と県を批判している。
=2010/09/15付 西日本新聞朝刊=