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【プロ野球】坂本7本目先頭打者弾 巨人1番で最多29号2010年9月13日 紙面から
◇巨人5−1広島獣の目が光った。初回だ。坂本が真ん中直球を振り抜くと、打球は左中間席に一直線。巨人の1番打者として、2004年の仁志を超える歴代トップの29号。今季7本目の先頭打者アーチだ。この一撃で勢いに乗り、5位の広島相手にキッチリ3連勝。逆襲態勢に入ってきた。 「詰まったけど、よく伸びてくれた。(7本目は)たまたま1打席目に出た、という感じ。本塁打を狙う意識はない。30発に王手? そんなことを言っている季節ではない。チームが勝つためにどうすればいいかと考えている」 本塁打の話題に表情を変えなかった若武者が、「そっちの方がうれしかった」と口元を緩めたのは6回の2点タイムリー二塁打だ。2死一、二塁から山口の左前打でつながった満塁機。外角低めを右翼線にはじき返すダメ押し打は、原監督を「ヒットゾーンが広がってきた。良い兆候だと思う」と喜ばせた。 敵のスキを逃さない。狙った獲物には食らい付く。そんな坂本の野性は脚にも隠されている。「カモシカのように弾力のある筋肉をしている」と話すのはターニー・トレーニングコーチ。チーム唯一の全試合フルイニング出場を続けることができるのも、優れた脚筋力があるからだ。 負けられない戦いが続く中でたたき出した貴重な3打点。G党の歓喜を全身で浴びた坂本はお立ち台で声を上ずらせた。「選手は誰ひとり(優勝を)あきらめてない。一戦一戦、集中していきます」。明日なき戦いは、17試合も残っている。獣の目は、4連覇へと続く狭く、険しい道のりだけを見据えていた。 (井上学)
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