岩隈　今オフメジャーへ　ポスティングを視野

　ダルに加え、パのもう一人の顔もメジャーへ！　楽天のエース・岩隈久志投手（２９）が、今オフにポスティングシステム（入札制度）を行使しての、メジャー移籍を視野に入れていることが１２日、分かった。大リーグ関係者によると、岩隈はすでに、代理人の団野村氏と接触。野村氏は情報収集に着手しているとの話もある。岩隈はポスティングの可能性について「選択肢として、ないわけではない」と、前向きに検討していることをにおわせるコメント。シーズン終了後の去就が注目される。

　岩隈がこのオフ、メジャーに挑戦する可能性が出てきた。そのシナリオは、すでに動き始めている。野茂英雄（元ドジャースなど）らのメジャー移籍を橋渡しした代理人の団野村氏が仕掛け人となっているという。

　大リーグのある代理人は、本紙の取材に対してこう語った。「野村氏は岩隈のポスティングでの移籍を見込んで、メジャー球団の情報収集をしているようだ。（メジャーの）球団側から、われわれに事実確認の連絡があったから」。岩隈は楽天との契約が来季まで残っている。今年の６月１１日に国内ＦＡ権を取得したが、海外ＦＡ権を取得できるのは、順調にいって来季中となる。今オフにメジャー移籍するには、楽天にポスティングを認めてもらうしか選択肢がないのが現状だ。

　楽天の米田球団代表は「ポスティングに関する話はしていない。岩隈投手は球団にとって大事な選手だし、先発の柱」とコメント。ただ、日本の球団にとってポスティングは非常にメリットのあるシステムだ。最高入札金が旧所属球団にそのまま入るため、経営が潤う有効な手段となるのだ。メジャー関係者によれば、岩隈の落札額の相場は１２００万ドル（約１０億２０００万円）は下らないという。仮に岩隈がＦＡでのメジャー移籍を選んだ場合は、球団への実入りがゼロとなる。球界関係者は「岩隈は近鉄から移籍する際に楽天に骨を折ってもらった。恩返しの意味を込めて球団が潤うポスティングを打診する可能性はある」と指摘している。

　シーズン後半にかけて岩隈の登板を視察するメジャー球団は急に増え始めている。インディアンス、ナショナルズ、メッツ、パイレーツなど中堅球団の関係者が球場に姿を見せており、インディアンスのデーブ・デフレイタス日本担当スカウトは、岩隈について「今年に入って５回は見ている。十分通用するよ。彼は軸足がしっかりしているからね」とメジャーでの活躍に太鼓判を押すコメントをしている。

　岩隈はこの日、ポスティングの可能性について意味深なコメント。記者の質問に対し「選択肢としてはなくはない。でも、まだシーズンが残っているので、今は何もない」。否定的なニュアンスは一切なく、前向きに動いているとも受け取れる発言だ。ポスティング行使となれば、メジャーから注目を集め、争奪戦になるのは濃厚。今後の動向から目が離せない。