合成麻薬MDMAを一緒にのんで死亡した飲食店従業員・田中香織さん(当時30歳)を救命しなかったとして保護責任者遺棄致死などの罪に問われた元俳優・押尾学被告(32)の第6回公判が13日、東京地裁で開かれた。裁判の最大のヤマ場となる被告人質問が初めて行われ、押尾被告は、身ぶり手ぶり大げさなジェスチャーと「日本語より得意」と自負する英語交じりで供述。MDMA使用の罪に問われた昨年10月の裁判と食い違う証言内容を検察と裁判長に追及され「ウソをついていました」とけろりと認めた。
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法廷が一時、独り舞台となった。押尾被告は欧米人風?なのか、オーバーな身ぶり手ぶりを交え、田中さんが死亡するまでの経緯を語った。
田中さんの容体が悪化した様子を表現する際には「MDMAをのんだ後、興奮度がグワッ、グワッと上がって」と仮面ライダーの変身ポーズのように右腕を斜め上にのばす。「田中さんは手を握って、こうしながら後ろに倒れていった」と今度は、裁判員らの方をかっと見据え、ひときわ大きな声で右手を斜め上方に上げるしぐさをしたり、上体を後方にのけぞらせたりして“実演”した。
「早くわたしのペースに追い付いて」。MDMAをのむよう被告に促したとする田中さんの言葉もまねるかのように声を裏返した。
4〜13歳までをアメリカで過ごした押尾被告は、得意の英語も披露した。「日本語より英語の方が得意です。普段も日本語でものごとを考えるより、英語で考えることの方が多いです」と胸を張り、事件当日に田中さんに送った「来たら、すぐいる?」のメールは「『来たらすぐオレの体が欲しいか?』という言葉の遊び」と主張。英語にするなら「Do you want me right away?」と流ちょうな早口英語で続けた。
さらに、検察側が主張するように“いる?”が違法薬物のことなら「Do you want a drug when you arrive?」と英語で“解説”。カプセルやピルなどの単語もカタカナではなく英語で発音してみせた。
「世界を舞台に活躍する」と常に周囲に語っていた押尾被告。法廷でも、事件前に「日本映画2本とスペイン映画1本。(その他にも)ハリウッドの映画とドラマが決まっていました」と国際派のMANABU OSHIOを裁判員にアピールした。だがこの“スペイン映画”は菊地凛子が主演した東京を舞台にした作品。ハリウッド映画が決定していたかの情報は現時点では、ない。
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