元大関琴光喜関
野球賭博に関与して日本相撲協会を解雇された元大関琴光喜関の田宮啓司氏(34)が13日、解雇処分は不当として、力士としての地位保全を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。田宮氏の代理人が明らかにした。
代理人は解雇後に相談を受け、処分の理由や経緯について協会に質問状を送った。納得できる返事を得られず、仮処分申請に踏み切ったという。田宮氏と親交が深い協会関係者によると、仮処分だけではなく正式な訴訟を起こす準備も進めているという。
田宮氏は野球賭博への関与が発覚した当初、協会の事情聴取に関与を否定する虚偽の報告をしていた。大関という地位も考慮され、7月4日の理事会で解雇処分を受けた。
しかし、代理人は「(仮処分)申請の中で、他の力士との処分の差がありすぎるとか、特別調査委員会(調査委)の手続きに問題があるんじゃないかと指摘した。本人は力士として戻りたいと言っている」と話した。協会に復帰できれば、引退後に年寄として在籍する可能性も出てくる。
野球賭博関与を協会に隠していた松谷、若力堂(ともに松ケ根)の2力士は出場停止2場所にとどまった。元大関の雅山ら仲介役以外の力士は謹慎1場所とけん責だけ。前出の協会関係者は「処分の扱いが雅山とか、松谷とかとは違うことが原因では」としている。
調査委として田宮氏の解雇にかかわった村山弘義副理事長(元東京高検検事長)は「想定される範囲内。訴訟の準備を粛々と進めて対応する」。放駒理事長(元大関魁傑)は「訴訟となれば弁護士と話し合うことになる」と、受けて立つ構えを見せている。
(2010年9月13日)