高木マニア堂
何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。
268:さらば!名たんてい荒馬宗介
<2010年6月=東スポ携帯サイトより>
学研の学習誌「○年の学習」で1970年代から80年代にかけて、人気漫画「名たんてい荒馬宗介(あらまそうかい)」を連載、また「こちらマガーク探偵団」(エドマンド・ウォレス・ヒルディック著=あかね書房版)の挿絵でおなじみの漫画家・山口太一さんが6月18日、肺炎のため亡くなった。享年74。
「♪学研のおばちゃんまだかな~」のCMソング、そして豪華な付録も懐かしい「○年の科学」と「○年の学習」だが、学習が2009年冬、科学が今年3月にそれぞれ休刊。山口さん作による荒馬宗介は学習(特に高学年)で一時代を築いた名物推理マンガだった。
年代によって、知っている人は当たり前のように知っているし、知らない人はまったく知らない。
「少年マガジン」(講談社)、「少年サンデー」(小学館)、「少年チャンピオン」(秋田書店)、「少年キング」(少年画報社)、「少年ジャンプ」(集英社)などマンガ専門誌に掲載されていたマンガは、その後、単行本化されるなどして、違った年代層にも読まれ、後世に語り継がれていくことになる。
だが学習誌の場合、そうはいかない。中学生になって、わざわざ小学生の「○年の~」を読んでいるヤツがいない(※弟や妹がいる場合をのぞく)のと同じく、やがて〝卒業〟してしまうジャンルだからだ。
キチンと「荒馬宗介」名義で単行本化されていない(山口さんは単行本化を熱望していたそうな)こともあって、絶大な知名度にも関わらず、マンガ専門誌の掲載作品が中心となっている国内マンガ史から抹殺されがちなのが悔しいではないか!
簡単にストーリーを説明すると、名探偵の荒馬宗介(世を忍ぶ仮の本職は漫画家らしい)が、覆面レスラー(それもかなり古いタイプ)のような格好の怪盗「九悪太郎」(いちじく・あくたろう)や、「矢名完次(やな・かんじ)」と対決し、その見事な推理力を発揮していくというお話。「驚木桃太郎(おどろき・ももたろう)」なんて警部も登場していた。
登場人物の名前は、すべてダジャレ系であるのも、この作品の特徴だ。
当然、推理の難易度は、掲載誌の学年によって違う。また、マンガ内で犯人は荒馬宗介によって特定され、事件はキチンと解決するのだが、その推理のタネ明かしをするのは別のページという作風も学習誌ならではの趣向だった。
そのため、読者の小学生は「どこに推理のヒントが隠れているのか? マンガの1コマ1コマを丹念に読まなければならない」という作業を覚え、随分と推理洞察力が鍛えられた気がする。
推理のネタは、かなりトホホな内容や、ありえない強引な荒業も多かったと記憶している。同時期に小学館の各学年誌や「コロコロコミック」に連載されていた「名たんていカゲマン」(山根青鬼作)と記憶が混同してしまっている部分もあるから確かではないが…。
今年4月、学研の「大人の科学」から特別編集版として発売された「もう一度見たい! 科学と学習」の付録として、当時の科学と学習の豆本がついてきた。その中で我らが「荒馬宗介」も数本、復刻掲載されていた。いつの日にか、通常の単行本として、あの名キャラクターたちと再会したいものだ。合掌。
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