沼津市内で05年秋、交際していた日比野かおりさん(当時22歳)=住所・職業不詳=を殺害したとして、清水町久米田、リフォーム業、桑田一也容疑者(44)が殺人容疑で再逮捕された事件で、桑田容疑者がさまざまな偽装工作を図った可能性があることが14日、捜査関係者への取材で分かった。日比野さん殺害後に日比野さんの母親にメールを送り、生きているように見せかけたり、偽造委任状で預金口座から約2000万円を引き出した疑いがある。御殿場署などの合同捜査本部は同日、桑田容疑者を地検沼津支部に送検した。
捜査関係者によると、母親が日比野さんを最後に見たのは05年10月中旬ごろ。同年末には「九州に行く」と日比野さんの携帯電話から母親の携帯電話にメールが届いたという。メールの連絡は06年まで続いたらしい。
捜査本部は、桑田容疑者が日比野さんの携帯電話から母親に対し、日比野さんの生存を偽装するためメールを送っていた可能性があるとみて、詳しく事情を聴く方針だ。
桑田容疑者は日比野さん殺害後、日比野さんが「入院している」などの理由が書かれた委任状を銀行の窓口に差し出し、日比野さんの口座から数回にわたり計約2000万円を引き出したことが確認されているという。捜査本部は桑田容疑者が委任状を偽造して、現金をだまし取った可能性があるとみて、調べている。
日比野さんの遺体は沼津市東原の空き地にあったドラム缶から12日に見つかった。捜査本部は14日、遺体を司法解剖し、死因は「不詳」と発表した。死亡時期も特定できない。遺体は腐敗し一部は白骨化していたという。
この空き地を管理する中古車販売業の男性(44)によると、桑田容疑者が数年前にドラム缶を持ち込み「中に土が入っていて肥料にする。しばらく置かせて」と頼んだという。
男性は自動車修理などを頼まれて桑田容疑者と知り合い、リフォーム業の仕事も紹介したという。男性は「ここはドラム缶もいっぱいあるし、別におかしいとも思わなかった。今はただ驚いている」と話した。
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桑田容疑者の逮捕容疑は、05年10~11月ごろ、当時住んでいた沼津市西椎路のアパートで、日比野さんの首を絞めて殺害したとしている。桑田容疑者は今年2月、清水町の自宅アパートで妻(当時25歳)を殺害し、遺体を御殿場市の空き家の倉庫に遺棄したとして、殺人と死体遺棄罪で起訴されている。【田口雅士、平塚雄太、山田毅】
毎日新聞 2010年8月15日 地方版