GkEcがあなたの疑問に答えます

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自分のブログで、読者からメールで寄せられた質問に答えるという試みをやってみようかな。そんな技量は無い気もするけど…。8:32 PM Sep 13th via Chromed Bird


ということで私が読者のみなさんからの質問に答えるという企画を始めます。経済学的アプローチで読者からの相談に答える本家本元のDear Economistには到底かないそうもありませんが、自分の貧弱な経済学的知識で精一杯みなさんの疑問・質問・相談に答えていきたいと思っています。
質問は、q@gkec.info宛に送ってください。

追記: みなさんからのメールの内容は転載します。

株式の配当でエコ?

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おなじみティム・ハーフォードの相談コラム:
Is the stock market the way to go green?
I have considered donating money to Greenpeace. Then I had a better idea. Why don’t we donate shares of polluting companies to Greenpeace? By doing so, at least some part of these companies’ profits could be directed to environmental organisations through dividends. In some extreme cases, Greenpeace could acquire enough shares to push the companies to transform into a more “environmentally friendly” corporation.
香港で経済学を学んだという相談者には、(日本では過激な捕鯨反対運動で有名な)グリーンピースにお金を寄付するよりも良い考えがあるという。それは、グリーンピースに環境汚染企業の株式を寄付するというものだ。少なくともその利益を配当という形で環境に良いことに使えるし、一部の極端なケースではグリーンピースが企業を「環境に優しい」企業に変えることができるだろうと相談者は言う。
この主張のどこがおかしいか。それは次のハーフォードの回答が示している。
You say polluters will pay for their damage, but this is not true. Dividends are payments related to profits, not to environmental pollution. Regulation and tradeable pollution permits discourage pollution; buying shares does not. Worse, if your idea caught on, it would lower the cost of capital of polluting companies and enable them to invest in more marginally profitable projects, although I suspect this effect would be tiny.
汚染者はその害に対してお金を払わなければならないというのは正しくない配当は利益に応じて支払われるものであって環境汚染に応じてではない規制や取引可能な汚染許可(二酸化炭素の排出権など)は汚染・公害を抑えるが、株式を買うことはそうではない。そして、このアイディアが流行ると、汚染企業の資本の費用が下がり、企業が少しだけ収益性の高いプロジェクトに投資できるようになるのではないかということだ。(ハーフォードはこの効果は小さいと見ているようだが)
But most shareholders seem to have little influence on the decisions corporate managers take. I suspect campaigning organisations are more effective outside companies than in.
企業の姿勢を変えさせるのが目的なら、企業の中よりも外で活動したほうが効果的だろう。

追記: @erickqchanさんの指摘を受けて「4つの反論」としていたところを1つにまとめました。

学校の掃除の経済学

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学校で掃除を丁寧にやらせるには - Togetter

学校での掃除では、真面目にやる生徒がいる陰で、ほとんど必ずサボっている生徒がいる。
このように「掃除への取り組み度」に差があることがなぜダメなのだろう?
なぜなら、ある人が掃除をしないことによるツケを全員で払わされるからだ。例えば、トイレ掃除担当の生徒が掃除をサボると、その汚いトイレを使わなければならないのはそのサボった本人だけでなく全員になる。
どうしたらもっとみんなに真面目かつ丁寧に掃除に取り組んでもらえるだろうか。
掃除に取り組むインセンティブを与える方法には、「掃除をする便益を高くする」「掃除をしない費用を高くする」の2つがある。
掃除をする便益を上げるには、掃除を丁寧にしたことに対して報酬を与えるのが効果的だ。例えば、1ヶ月に1度、担当場所を1番丁寧に掃除したグループを担当の委員が学年全体から1つ選び、パン購買で紙パックのカフェオレを配る、というのなんかが良さそうだ。
この制度の問題は、「掃除をするのが当たり前」の状態で無くなってしまうことだ。この制度が続いている間はほとんどの生徒が懸命に掃除するだろうが、この制度がひとたび無くなればすぐに汚くなるだろう。この制度を実施すると、「掃除をしなければならない」という道徳的インセンティブが失われる恐れがある。
では、掃除をしない費用を高くするのはどうか。
グループの連帯責任というのはあまり好ましくない。なぜなら、ひとたび誰かがサボる方向に振れると、「どうせ怒られるからやらなくていいや」となってしまうからだ。
個人ごとにサボったことによる罰を与えるには、監視を強化する必要が出てくる。
誰が監視するのか? それは生徒全員が掃除をしている以上教師しかいない。
ただでさえ忙しい教師が生徒の掃除の監視体制も強化するとなると、失われるものはかなり多いと予想される。Twitterでは「監視カメラを設置」という意見も出たが、掃除が丁寧になって学校全体がきれいになることの便益が数十万円から数百万円もあるとは到底思えない
もしかしたら、掃除への取り組み度にばらつきがあるのはある程度効率的な状態かもしれない。しかし個人的には「掃除報酬制」を導入してみたいところだ。

奨学金と教育ローン

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9/6にNHKで放送された「クローズアップ現代」の奨学金特集が少し話題になっている。
自分は最初の5分しか見ていないのでわからないのだが、どうやら「奨学金に返済義務があるなんておかしい」という論調だったらしい。(もし見ていた方はどういった内容だったのか教えていただければ幸いです)
この話題の問題点は、返済義務のある奨学金では無く、奨学金の種類が少ないことと奨学金の取得基準だ。
教育の機会均等とはでも書いたように、奨学金は成績に応じて出されるべきものだ。しかし、日本学生支援機構の国内大学の奨学金について書いてあるページを見ると、ここにあるのは返済義務がある「教育ローン」を「奨学金」と称しているだけのもので、学力基準も大雑把だ。
もっと基準が細かく、成績が良ければ返済義務の無い奨学金を受け取れる奨学金基金の創設や、返済義務があるものは「教育ローン」と呼んで「奨学金」と明確に区別することが必要だろう。

追記: 本エントリで「日本育英会」としていたところを「日本学生支援機構」に訂正しました。

大麻の値段が変わらないワケ

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Why is a bag of weed always $10 (man)?
I have been a client of weed dealers in North America since the mid-1980s and no matter who the vendor, the price has remained $10 a gramme. I don’t think anything in 25 years has stayed fixed in price like weed has.
相談者は北米で25年間大麻を買い続けていて(!)、売人が変わってもずっと値段が10ドルのままだったそうだ。なぜ大麻の値段は同じままだったのか。
ハーフォードの回答:
And I confess, I am perplexed. My own research, which has been purely academic, suggests that prices vary between £20 and £250 an ounce in the UK, roughly £1 to £10 a gramme. Since the price stability you describe is not matched in other markets, could it be purely fortuitous?
ハーフォードの独自調査によればイギリスでは大麻の価格が1ポンドから10ポンドの間で変動しているようだ。そして、相談者の言うような価格の安定性は他の市場では観察されていないという。どうやら単なる偶然のようだ。

追記: Ryuji Yamamoto(@Human_Report)さんの指摘を受け一部訂正しました。

[書評] ゲーム理論の思考法

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ゲーム理論の思考法
3月の後半に買ってからずっと放置していたのをようやく読み終えた。
ゲーム理論とは、2人以上の当事者(プレーヤー)がお互いに影響しあうときにどのような行動をとるのかを研究する数学の1分野だ。経済学との親和性も高いため、ゲーム理論を研究している経済学者も多い。
本書に話を戻そう。
  • おなじみの「囚人のジレンマ」
  • 「何かのきっかけでみんなが一斉に行動を変えることでトレンドが生まれる」というコーディネーションゲーム
  • 問題が起きたときにゲームのルールを変えることによって問題を解決する
  • 時間軸を取り入れた「繰り返しゲーム」の場合にはナッシュ均衡が変わる
  • 時間の流れによってナッシュ均衡が変わる場合は消去法によって相手の行動を予測
  • 行動経済学を取り入れたゲーム理論
などの内容がゲーム理論を全く知らなくても理解できるように書かれている。
ゲーム理論を日常生活(ビジネス)に応用するという形式を採りながらゲーム理論の基礎が学べる1冊だ。

死刑と終身刑の費用

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少し話題になっている記事:
死刑の是非 » 経済学101
本エントリでは、死刑と終身刑の費用に焦点を当ててみる。
前提条件:
命の価値を10億円*1とし、上に挙げた記事に基づき死刑・終身刑の抑止効果は無いものとする。
戦後死刑判決を受けたのは820人、そのうち4人は無罪釈放*2されたので冤罪率は約0.5%。再審請求の厳しさなどを考慮してここでは2%とする。
刑務所の受刑者1人当たり年間約55万円の費用がかかる*3。死刑囚は拘置所に収監されているそうだが、良いデータが見つからなかったのでこの2倍の110万円とする。死刑執行にかかる費用についてもデータが見つからなかったのでとりあえず20万円とする。
無期懲役刑の受刑者の平均年齢が54歳で受刑期間30年未満の者が96%*4を占めることを考慮して、終身刑の場合30歳で入所し、70歳で死亡するものとする。
殺人者の命の価値をゼロとする。

死刑の場合: 命の価値に冤罪率を掛けて(10億円×0.02)2000万円。収監費用が110万円×5年で550万円。死刑執行費用が20万円。合計2000万+550万+20万=2570万円
終身刑の場合: 55万円×40年=2200万円
ここでの計算では死刑の方が(命を含めた)費用が高いという結果が出た。もちろん、推測の数値も多いし、全体的に雑な数値が多いため、この結果が正しいとは限らない。
そのような問題はあるものの、簡単で良いから1度数値を探して計算してみることには価値があるだろう

*1 ランズバーグ先生の型破りな知恵の「500万ドルから1000万ドル」という推定に基づく。
*2 死刑執行・判決推移
*3 刑務所に1人(一年)いれておくのにどのくらい費用がかかっているのでしょうか? のid:I11さんの回答を参照。
*4 無期懲役刑に関して