先日、twitterで、僕には娘と息子がいて、どちらとも離れて暮らしていると書きましたが、字数の制限もあり、舌足らずになっていましたし、タイムラインに埋もれてしまってしまいましたので、少し整理・補足してまとめておきます。
二人の子供のうち、娘のほうは妻との間に、息子は、別の女性(以下、便宜上「彼女」とします)との間に生まれました。知り合ったのは妻が先で、彼女と知り合ったのは、娘が生まれてしばらくしてからです。
それまで彼女とは面識がなかったのですが、二週間ほどの海外出張で行動をともにした間、いろいろな話をした中で、彼女が、あえてシングルマザー、しかもSMC(Single Mother by Chioce)といって、死別でも離別でもなく、最初からシングルとして子供を育てる道を選ぶ希望を持っていることを知りました。
そのことは僕にとって新鮮な考えに思えましたし、そのことを語る彼女も魅力的でした。また、それ以外にも、興味を持っていることがかなり似通っていたり、趣味が重なっていることなどもあって、帰国後も彼女とは連絡を取り合っていました。
そして、出会ってから僕は彼女との間に子供を持つことになります。そのときの気持は、一般的な浮気の感覚ではなく、好意を持っている相手が、困っているのを手助けしようという気持に近かったと思います。
ただ、その考えが甘かったことは、すぐ露呈します。
僕は周囲から猛反発を受けました。妻は当然怒り、悲しみました。
また、彼女のほうも、僕に期待したのは、生まれてくる子供の単なる生物学的父親ではなく、シングルマザーとして子供を育てる上でのよき相談相手であることでした。
そのためには、妊娠の時点から自分の子供であることをカミングアウトすることが彼女の希望であり、僕もそう約束しましたが、周囲のあまりの反発に、僕は約束を果たせなかったばかりか、出産にも立ち会うことすらしませんでした。息子に最初に会ったのは、出産後一年近くたってからです。
その後、僕はときどき彼女や息子と会っていましたし、父親として息子の保育園の行事に出たりもしていたのですが、自分の周囲に息子がいると公言することもありませんでしたし、息子と一緒にいても積極的に父親であることをアピールすることができませんでした。僕は、妻や娘と、彼女と息子の、両方を裏切り、嘘をつき続けたことになります。
その状態は10年以上続きました。僕は彼女に対し、息子が10歳になったら、息子にも、娘にもすべてを話す、と言っていたのですが、それもとうとう守らないままでした。
自分がこの13年、彼女に対する約束を守らず、また家族を欺き続けていることに対する忸怩たる気持はありました。このままではいけないし、いつかはすべてを話さなければいけないと思い続けてきたのですが、真実を告げることによって、自分のついてきた嘘と、自分の弱さが露呈することが怖く、ずるずると日々だけがたってしまっていました。
そして、それが原因で、僕は徐々に、妻にも、娘にも、彼女にも、息子にもきちんと向き合えなくなってしまいました。
それをカミングアウトするきっかけになったのは、僕のtwitterへの書き込みであり、それを読んだ彼女の反応です。
昨年末、僕は、娘の受験にからめてダイエットをしている、ということをつぶやきましたが、それに対して彼女から、娘のことは堂々と書けても、息子のことは隠し続けていること、また、息子だってtwitterを読む可能性があったこと、そうしたら、突然姉がいることを知ることになったであろうことを指摘されました。そして、今度こそ、13年前に約束した通り、息子がいることを堂々と世の中に示すことを求められました。
僕はずいぶん考えました。やはりまだ、世の中に対して真実を告げることが怖かったからです。しかし、何日か考えた末に、このまま嘘をつき続けることはなんのメリットもないことを悟り、息子がいることを公表しました。そしてまた、数日後に、そこに至った経緯も書きました。
露悪的すぎるという批判もあるかもしれませんし、僕自身、こういった経緯をさらけ出すかどうかはずいぶん悩みました。
しかし、嘘をつくこと、隠すことが、結局は次の嘘や隠蔽を生むこと、そしてそれは、今まで嘘をついてきた当事者の四人に対しきちんと向き合うことにならないと思い、こうしてカミングアウトすることにしました。またそれは、13年前に彼女にした約束の、遅れに遅れた履行でもありました。
もちろん、公開することで免罪されたわけではありませんし、終わりでもありません。
これからも、自分として何ができるのか、何をすべきなのかをしっかり考えていこうと思っています。
(2010/06/14 まとめ)