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社説:代表選…政治資金問題 疑問は積み残された

 民主党代表選の投開票が14日、行われる。菅直人首相、小沢一郎前幹事長の両陣営は約2週間にわたり党を二分する激しい選挙戦を展開してきた。まだ態度を決めかねている国会議員もかなりいるようだ。事実上の首相選びとなる極めて重い選択だけに、党所属国会議員は熟慮のうえに、1票を投じてほしい。

 今月1日の告示以来、菅、小沢両氏は討論会などを通じて政見をたたかわせてきた。基本政策でこれまで公式に語る機会が必ずしも多くなかった小沢氏の主張が国民にある程度、明らかになった点などは前進だろう。とはいえ、焦点と目された「政治とカネ」については、踏み込み不足の論戦に終わったと言わざるを得ない。

 小沢氏の資金管理団体による土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件では、小沢氏から4億円を借り入れながら返済分を含め政治資金収支報告書に記載しなかったとして、元秘書が起訴されている。小沢氏は代表選を通じ、東京地検が容疑不十分で自身を不起訴としたことを踏まえ「結論が出ており、何の一点もやましいことはない」と強調した。

 だが、さまざまな疑問は結局、積み残されたままになった。土地購入の原資をめぐる小沢氏のこれまでの説明が「銀行からの借り入れ」「個人資産」など転々としたことや、「実務は秘書に任せていた」との主張について、私たちは一層の納得いく説明が必要だとこれまで指摘してきた。今回、小沢氏が疑問を進んで解消したとは言えまい。

 小沢氏は東京第5検察審査会が2回目の審査で仮に起訴議決すれば、強制起訴される。小沢氏は首相に就任していても起訴には同意する考えを示した。一方で、仮に起訴されても「離党したり、辞職する必要はない」と表明した。「推定無罪」が原則とはいえ、首相としての執務と法廷での審理が両立できるかという懸念は残されたままである。

 菅氏も最初の討論会こそ「カネまみれの政治文化」からの脱却を訴えたが、政治資金問題の強調は得策でないと判断したのか、あまり取り上げなくなった。小沢氏の処遇についても要職への起用をいったんほのめかしたあと、陣営が打ち消しに回るなど揺らぎをみせた。小沢氏を「カネと数の原理が色濃い」とまで批判しながら、腰の定まらぬ対応である。

 投票の直前には両候補による演説が行われる。政治資金問題への姿勢こそ、両候補とも避けて通れないテーマのはずだ。特に小沢氏は国会で説明責任を果たすことを最低限、確約すべきである。

毎日新聞 2010年9月14日 2時31分

 

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