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松本、誕生日自ら祝福のニッポン金100号

 柔道世界選手権の日本通算100個目の金メダルを手に笑顔を見せる女子57キロ級の松本薫=国立代々木競技場
 柔道世界選手権の日本通算100個目の金メダルを手に笑顔を見せる女子57キロ級の松本薫=国立代々木競技場

 「柔道世界選手権第3日」(11日、代々木第一体育館)

 日本勢の大会100個目の金メダルは、女子57キロ級の松本薫(23)=フォーリーフジャパン=が獲得した。この日が誕生日だった世界ランク1位の松本は、決勝でテルマ・モンテイロ(ポルトガル)に延長の末、小外刈りで一本勝ち。五輪、世界選手権で唯一優勝のなかった階級で節目のメダルをもたらした。日本人決勝対決となった女子63キロ級は上野順恵(27)=三井住友海上=が、田中美衣(ぎふ柔道クラブ)を下し連覇。男子73キロ級は秋本啓之(24)=了徳寺学園職=が金メダルを獲得し、日本はこの日の男女計3階級すべてを制した。

  ◇  ◇

 荒々しかった。激しかった。両者ポイントのないまま延長にもつれ込んだ決勝。残り21秒で、会心の小外刈りが、優勝の一本を決めた。「無意識だった」。寝技の名手が、必死で練習してきたこん身の立ち技。手をパチンとたたいた松本は、両腕でガッツポーズした。

 日本通算100個目、節目の金メダルは重みがあった。世界大会女子57キロ級で日本が初めて獲得した「金」、そしてこの日は23歳の誕生日だった。「ラッキー。うれしいですね」。自分へのプレゼントに喜びをかみしめた。

 女子日本代表・園田監督から付けられたニックネームは「野生児」。闘争心と気の強さからくる柔道が持ち味だ。攻撃面では力を発揮する半面「ムキになって投げられた」(同監督)という課題もあった。

 野生児は、大人へと成長した。松本も「考え方が子供だった。1つのことしかできなかったし、熱くなってしまったけど、きょうは冷静にできた」。寝技一辺倒から立ち技も練習。組み手争いも、我慢を覚えてできるようになった。

 昨年の世界選手権は準々決勝で試合中に右手甲を骨折。試合には勝ったが、痛みに耐えて出場した準決勝、3位決定戦で惨敗した。「きのうシャワーを浴びたとき、去年シャワーを浴びながら泣いたことを思い出した」。この日は1年前の帯を締めて畳に上がった。

 悔しさを晴らす世界制覇。大人になった野生児は「目標はオリンピックで金メダル。切れる技で一本を取れるようになりたい」。夢を誓った。

(2010年9月14日)





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