泣き虫がうれし涙！藤田幸希メジャー初Ｖ！

母・みゆきさん（左）のねぎらいに涙を流す藤田幸希 Photo By スポニチ

　女子ゴルフツアーの日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯最終日は１２日、奈良県吉野町　グランデージゴルフ倶楽部（６６０１ヤード、パー７２）で行われ、藤田幸希（２４＝ＴＯＳＨＩＮ）が涙のメジャー初制覇を果たした。２位に４打差でスタートした最終日はボギーなしの６９。ニッキー・キャンベル（３０＝豪州）の追い上げを退け、４打差の通算１３アンダー、２７５で完勝して２年ぶりのツアー４勝目を挙げた。２５２０万円を獲得し、賞金ランクは１７位から３位に浮上。女王争いに新たなヒロインが加わった。

　泣き虫がまた泣いた。最終１８番、３メートルを沈めてバーディーフィニッシュすると目が真っ赤になった。２年ぶりの４勝目は初のメジャー制覇。藤田の顔はうれし涙でくしゃくしゃになった。

　「最後のパットの前に泣きそうでした。入った瞬間、ダメでしたね」

　最終日は４打差の首位という状況を楽しんだ。１番で１メートルにつけバーディー発進。同組のキャンベルに一時２打差に詰め寄られても「今までならパニックになっていたと思うけど、精神的に強くなった」と動揺はなかった。前日に左足小指のマメがつぶれたが、痛みも重圧も感じさせない。１８番パー５で第２打を池の手前に刻んだのは「自分の一番得意な距離を残した」ため。攻めの姿勢を貫いて圧勝した。４日間で４ボギーは、記録が残る９０年以降では大会最少記録の安定感だった。

　悔し涙、つらい涙。流した分だけ強くなった。未勝利の昨年は両親に「辞めたい」と漏らしたこともあった。コーチの父・健（５６）さんの厳しい指導に体がついていかず、故障を繰り返した過去２年。自分以上に悩む親の姿を見るのがつらかった。今年２月にはプロ転向後から応援してくれた福井県の男性（６５）ががんで亡くなった。３月に男性宅を訪れ、仏前に「今年は絶対に優勝します」と誓った。勝負の年と決め、今まで以上にゴルフと真剣に向き合った。専属トレーナーを初めて雇い、食事も改善。偏食家が温野菜や山菜なども食べるようになった。母・みゆきさん（４８）は胚芽（はいが）米のおにぎりを持たせて娘を試合に送り出した。日常生活から見直した成果が最高の形で報われた。

　メジャー制覇で賞金ランクも３位に浮上。「まだ先かな」と思っていた賞金女王も狙える位置に来た。「自信になった。今後も優勝争いをして２年分の思いをぶつけていきたい」。悔し涙はもういらない。次の涙は女王になる時まで取っておく。

　◇藤田幸希アラカルト◇

　★生まれ　１９８５年（昭６０）１１月２２日、静岡県沼津市。　

　★サイズ＆血液型　デビュー当時は１メートル７０で登録していたが、現在は実測の１メートル６８。「１メートル７０というのはちょっと…」との乙女心から変更。５５キロ。血液型Ａ。

　★父と二人三脚　シングルの腕前の父・健さんの下、中２でゴルフを始める。栃木・国際情報ＴＢＣ学院２年の時に日本ジュニアで７位に入りプロを目指す。長身のうえ、兄２人と同じようにゴルフを教わったため、男子のようなパワフルなスタイルを身につけた。

　★藍世代　宮里藍、横峯さくらと同学年ながら遅咲き。０５年サントリー・レディース第３日で宮里と同組が決まった際「ゴルフでかなわないなら、せめて見た目で負けいないように。水着がいいですか？何なら全部脱ぎましょうか」とドッキリ発言。話題を呼んだ。

　★戦績　０５年にツアーデビューし、０６、０７年のプロミス・レディースで連覇。０８年にゴルフ５レディースで３勝目を挙げた。今季の賞金ランクは５３１６万７６８５円で３位。生涯獲得賞金は１億８０３４万４８１１円で８９位。

[ 2010年09月13日 ]