2010年9月13日16時0分
経営破綻(はたん)し、国内で初めてペイオフが発動された日本振興銀行が13日、一部の店舗で業務を再開し、払い戻し手続きに応じ始めた。保護対象額を超え、資産を失うおそれのある大口預金者は預金者全体の3%弱。高金利につられて3千万円を預け、解約し損なった東京都内の元経営者は、「判断が甘かった」と悔やむ。
東京都千代田区の日本振興銀行本店前では13日朝、開店時刻の午前9時前から10人ほどの預金者が列をつくった。
同中央区の元経営者の男性(73)は、案内された店内で行員から「解約ご希望のお客さまへ」と題した書類を受け取った。行員からは「1千万円と利息は保護される。どうしても今すぐに解約したい人だけ、解約の手続きをしてほしい」と頼まれた。定期預金の額は3千万円。残り2千万円はどうなるかわからない。
嫌な予感はあった。7月、振興銀の木村剛前会長らが逮捕され、中央区の小伝馬町支店に解約を申し出た。だが、支店側から「我々も頑張っているので、満期まで待ってほしい」と説得され、12月までの継続を決めた。あの時解約していれば全額が戻ったはずだった。「判断が甘かった」と今も悔やまれる。
以前は繊維の卸問屋を経営していたが、後継者がなく、10年ほど前に会社を閉めた。3人の娘は結婚して家を離れ、妻には5年前に先立たれた。いまは所有するビルの最上階に一人暮らし。貸事務所や駐車場、マンションからの賃料収入で生活には困らない。資産は土地と預金、株に分割して運用している。
振興銀の高金利につられた。昔から付き合いのある複数のメガバンクに預金しているが、金利は低い。「ただ金を置いておくのはもったいない」と思い、2008年に3千万円を預けた。1年定期で金利は1.3%だった。「あまりに金利がよすぎて、変だなとは思った。最初はおっかなびっくりだった」