【社説】兵役逃れた芸能人、二度と国民の前に立たせるな

 歌手MCモンが兵役を逃れるため、故意に歯を4本抜いた疑いで立件された。MCモンは、1998年の身体検査では歯に問題はなく、1級現役判定を受けていたが、2007年には歯が12本抜けていたことで、兵役免除の判定を受けた。警察は、このうち4本は故意に抜いたものと断定した。Bボーイ(ブレークダンサー)のイ容疑者ら11人も、兵役を逃れようとした疑いで立件された。イ容疑者らは肩を無理に動かす動作を繰り返し、10キロのスピーカーを上げ下げして肩を故意に脱臼し、公益要員判定を受けた。また、プロのスポーツ選手が体を壊して兵役を逃れようとした事件が相次いだのは、ほんの数年前のことだ。

 元アメリカンフットボールのスター、パット・ティルマンは、年俸46億ウォン(約3億3000万円)を稼ぐ有望な選手だったが、2001年の同時多発テロ事件をきっかけに、米国陸軍に志願してレンジャー部隊に入隊し、アフガニスタンへ派遣され、04年に戦死した。ティルマンはメディアからインタビュー依頼を受けた際、「僕は一兵士と変わりない」として拒否した。1960年代に人気を集めたトップスター、エルビス・プレスリーも、当時の徴兵制度に従い、ドイツで軍隊生活を送った経験がある。

 芸能界やスポーツ界のスターは、大衆の愛情と支援を一心に受けて栄光を手にした人たちだ。そうした人たちが、ほかの若者たちが黙々と遂行する兵役義務を避けようと、ありとあらゆる手口を使うのは、ファンに対する裏切りそのものだ。そのような人物が再び国民の前に立つことのないよう、テレビ局や番組制作陣も協力すべきだ。にもかかわらず、SBSテレビは12日、MCモンが司会を務める『ハハモンショー』を放送し、その結果、ホームページには視聴者からの怒りと抗議が相次いだ。

 韓国国民なら、地位や財産の有無にかかわらず、兵役と納税を当然の義務として受け止めると同時に、そうした社会を築いていかなければならない。こうした概念が韓国を国らしい国に作っていくための礎となる。芸能人やスポーツ選手たちは誰を見て兵役逃れなど、浅はかな行動に走るのか。韓国の政界、財界、学界のお偉いさんたちは、この質問を自らに問いかけ、痛切な自己反省をする必要がある。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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