陽川区の無差別殺人、容疑者の素顔 /ソウル(上)

 「公園に座っていたところ、向かい側で家族の笑い声が聞こえた。その瞬間、怒りがわいてきた」

 ソウル市陽川区新亭洞で起きた無差別殺人事件で11日に逮捕されたY容疑者(33)は、「不幸な自分の状況とあまりにも対照的で、瞬間的に怒りを感じて犯行に及んだ」と話した。

 Y容疑者は先月7日午後6時ごろ、新亭洞の多世代型住宅の屋上部分にある部屋で子供とテレビを見ていた女性(42)の頭を鈍器で殴り負傷させた上、その悲鳴を聞きつけて部屋から出てきた夫(42)の脇腹を凶器で刺して殺害したとして指名手配されていた。Y容疑者は建設現場で日雇い労働をしており、犯行当日は仕事がなく、午前6時から金づちなどの道具類が入ったかばんを背負ってぶらつき、夕方になって公園でマッコリ(韓国式濁り酒)を1瓶飲んだと供述した。その際、向かい側の家から聞こえてきた家族の笑い声に激しい怒りを感じ、犯行に及んだという。

 ソウル陽川署は11日午後、陽川区新月洞で聞き込み捜査中、犯行当時に周辺の監視カメラに映った容疑者に似た黒い上着に運動靴姿のY容疑者を発見し、身柄を拘束した。Y容疑者は犯行を認めているという。同署はY容疑者が住んでいた陽川区新月洞の韓国法務保護福祉公団生活館で、犯行に使われた凶器類を押収した。

 Y容疑者は取り調べに対し、「普段テレビや新聞を見ておらず、被害者が死亡した事実を知らなかった。遺族には大変申し訳なく、慰めになるならば命を捨てたい」と話しているという。警察は殺人と殺人未遂の疑いでY容疑者を逮捕した。

写真提供=陽川警察署

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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