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押尾学被告:「私は無罪です」と述べる 東京地裁初公判で

押尾学被告=2009年8月撮影
押尾学被告=2009年8月撮影

 一緒に合成麻薬を服用して容体が急変した女性を放置して死なせたとして、保護責任者遺棄致死など4罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)は3日、東京地裁(山口裕之裁判長)で開かれた裁判員裁判の初公判で「合成麻薬を渡したことはなく、保護責任はありません。放置したわけではなく、私は無罪です」と述べ、遺棄致死罪と麻薬取締法違反(譲渡)を否認した。同法違反(譲り受け、所持)については大筋で認めた。8日間の審理を経て、17日に判決が言い渡される。

 有名人が裁かれる初めての裁判員裁判。亡くなった田中香織さん(当時30歳)の救命可能性が争点だ。

 検察側は冒頭陳述で、押尾被告が遅くとも08年ごろから合成麻薬MDMAを服用して複数の女性と性行為をしていたとしたうえで「被告は田中さんにもMDMAを譲渡し服用させた。室内には他に誰もおらず、被告には容体急変時に直ちに119番する責任があった」と主張。

 被告の携帯電話の通話記録から、田中さんの死亡時刻が容体急変から約1時間後だったとし、「容体急変時にすぐ119番すれば救命できた」と述べた。

 一方、弁護側は冒頭陳述で「被害者がMDMAを持ち込み服用したので被告に保護責任はない」と指摘、死亡時刻も「容体急変からあっという間だった」と述べ、仮に119番しても救命は不可能と主張した。

 裁判員に選ばれたのは男性4人、女性2人。弁護側は「マスコミは押尾さんの悪いイメージを報道してきた。予断や偏見を排除してほしい」と異例の要望をした。被害者の遺体写真3枚が法壇のモニターに映されると、裁判員が目を背ける場面もあった。

 押尾被告は09年8月2日に、東京・六本木のマンションで田中さんにMDMAを渡した麻薬取締法違反(譲渡)と室内に田中さんを放置した保護責任者遺棄致死のほか、同じ日に別の合成麻薬を所持した同法違反(所持)、09年7月に知人からMDMA約10錠を譲り受けた同法違反(譲り受け)の4罪に問われている。【伊藤直孝、和田武士】

 ◇「記憶と違う」と全面対決姿勢

 「起訴状に書いてあることは私の記憶と違います」。押尾被告は公判の冒頭で書面を読み上げ、はっきりとした口調で無罪を主張した。小声で質問に答えた昨年10月の公判とは対照的で、検察側と全面対決の姿勢をあらわにした。

 上下黒のスーツに青いネクタイ姿。「人工呼吸やマッサージをしたが生き返らなかった。結果的に救急車は呼びませんでしたが、少し待てばよくなると思った」。白髪交じりの髪が肩まで伸びる。公判中はB5判のノートにボールペンを走らせメモをとった。

 検察側は田中さんの容体が急変した様子を「白目をむき『エクソシスト』の状態になった」などと映画に例えて表現した。【伊藤直孝】

   ◇押尾学被告を巡る事件の経過◇

<09年>

8月2日 東京・六本木のマンションで田中さんと共にMDMAを服用。田中さんは死亡

  3日 警視庁が麻薬取締法違反容疑で逮捕

  24日 同罪で起訴

  31日 保釈される

10月23日 東京地裁の初公判で起訴内容認める

11月2日 懲役1年6月、執行猶予5年の有罪判決

  17日 控訴せず有罪確定

12月7日 警視庁が田中さんへの麻薬譲渡容疑で再逮捕

  28日 同法違反(譲渡)で起訴

<10年>

1月4日 保護責任者遺棄致死容疑で再逮捕

  25日 同罪で起訴

3月12日 押尾被告にMDMAを譲渡した男に懲役1年の実刑判決

9月3日 裁判員裁判の初公判で起訴内容を一部否認

毎日新聞 2010年9月3日 21時02分(最終更新 9月3日 21時53分)

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