11日午前7時45分ごろ、神戸市北区南五葉2、UR都市機構鈴蘭台第2団地31号棟(5階建て)の住民から、「棟の下でおじいさんが刺されている」と110番通報があった。兵庫県警神戸北署員が駆けつけると、1階に住む無職、平義則さん(76)が棟の前の路上で血を流して倒れ、死亡が確認された。5階に住む無職男(35)が自室で返り血を浴び、「自分がやった」と認めたため、殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。同署は殺人容疑に切り替えて調べている。
同署によると、平さんは背中など複数個所を刺され、男の部屋の台所に、凶器とみられる文化包丁(刃渡り17.5センチ)があった。男と平さんの部屋は同じ棟だが、入り口が異なる。男は上半身裸で、自室につながる入り口前で、うつぶせに倒れた平さんを刺し、その後、自室への階段を駆け上るのを目撃されている。男は逮捕後の調べには「知らない」と話しているという。
県警によると、男は1人暮らしで薬物中毒の後遺症があるという。精神科に入院し、病院の許可で8日から一時帰宅していた。
平さんの長女(39)は「日課の散歩中だったようだ。孫とおもちゃで遊んでくれる優しい父だった。こんなことになるなんて」と言葉を詰まらせた。
現場は神戸電鉄鈴蘭台駅から西約1.5キロの団地。【桜井由紀治、重石岳史、吉川雄策】
毎日新聞 2010年9月11日 12時03分(最終更新 9月11日 14時36分)