「大切な友が突然…」犬塚弘ショック隠せず

「日本のエンターテインメント半世紀展」のオープニングセレモニーでテープカットを行う（左から）谷啓さん、桜井センリ、犬塚弘＝２００７年８月 Photo By スポニチ

　【谷啓さん急逝】温厚な人柄で知られた谷啓さんの急死は、芸能界にも衝撃を走らせた。高度成長期の日本列島を笑いの渦に巻き込んだクレージーキャッツのメンバーは、これで犬塚弘（８１）と桜井センリ（８０）の２人に。半世紀に及ぶ親交があった犬塚は「大切な友が突然、消えてしまった」と落胆し、桜井も「なんでだよタニケイ」とショックを隠さなかった。

　犬塚が悲報を聞いたのは午前７時３０分。谷さんのマネジャーから連絡が入った。現実を受け止められないようで、スポニチ本紙の取材に「あまりのショックに何を話せばいいのか分からない。ただただ驚いている」と声を震わせた。

　ハナ肇さんらと５５年に結成したバンドに、３歳年下の谷さんが加入してきたのは翌５６年。「谷と（５７年に）植木（等さん）が入ったことによって、いいグループになるよとハナと話したことを今でも覚えている。僕が女房役をやるからと言って、３人に前に出てもらった」。６１年から「シャボン玉ホリデー」などに出演し、一世風びした。

　互いに酒が飲めなかったため、気が合ったという。「地方に行ったときはいつも一緒。みんなは酒を飲みに行くんだけど、僕らは飲めないもんだから、２人で語らった。谷は自慢話もせず、目立たないように振る舞う人。優しくて、周囲に気を使い、いつも静かに楽しませてくれた」としのんだ。

　最後に会ったのは昨年。谷さんのレギュラー番組「美の壺」にゲスト出演した。０７年、植木さんの「さよならの会」以来の再会だった。「黙っていても、あうんの呼吸で分かる存在。目が合うと指をさして、“昔と変わらないか？”とか、“家族は元気か？”とか、“番組に呼んでくれてありがとう”と目で話した。谷は元気そうに“うん”とうなずくだけで、すべてを分かってくれた」と振り返った。７人組の中でも特別だった友。それだけに「寂しい…」と漏らすのが精いっぱいの様子だった。

　一方、桜井も大きなショックを受けており、関係者を通じて「なんで？僕より若いタニケイが…イタズラ好き、コーヒー好きなタニケイが逝っちゃうなんてまだ信じられないよ、僕は。“何ほら吹いてんだよ？”」とコメントした。

[ 2010年09月12日 ]