県建設業厚生年金基金が入っているビル=長野市南石堂町 |
建設会社の従業員らから年金の掛け金を集めている県建設業厚生年金基金(長野市)で、多額の不明金が出ていることが11日、明らかになった。関係者によると、不明金の累計額は21億円に上る可能性があるという。基金設立の母体となった県建設業協会(同)の幹部らは近く調査委員会を設け、関係者から詳しく事情を聴く方針だ。
協会関係者によると、基金を所管する厚生労働省も不明金の発生を把握、同基金に調査を求めているという。
複数の関係者によると、不明金の存在は8月下旬に発覚。本来、基金に入るべき加入事業所などからの掛け金が、2006年ごろから一部不明になっている可能性が高い、という。
厚生年金基金は、公的年金業務の一部を代行するとともに、掛け金を上乗せして運用、給付している。県建設業厚生年金基金は、県建設業協会が1986(昭和61)年に準備委員会を立ち上げ、87年設立した。
同基金発行の「基金だより」(7月号)によると、今年5月末現在の加入事業所数は377事業所、加入員数は6864人、年金受給者数は1万556人。本年度予算では、年度末の年金資産を206億5700万円と推計している。
同基金理事長の佐々木力・県建設業協会会長は取材に対し、「詳しいことは調査中だ」としている。06年当時に理事長を務めていた中沢英・前会長は、「そのような話は一度も聞いたことがなかった」としている。