2010年9月12日12時28分
山口県長門市沖で水揚げされたカツオ=6日、長門市仙崎の仙崎地方卸売市場、県水産研究センター提供
山口県長門市沖の日本海沿岸の定置網に、8月下旬からカツオがかかり続けている。温・熱帯域に生息し、太平洋側で多く取れるカツオは、ここ数年、同所でこの時期に取れたことはほとんどない。県水産研究センターの渡辺俊輝専門研究員は「猛暑で水温が例年になく高かったので、東シナ海の方から日本海の沿岸部に多く入ったのでは」と推測している。
センターや地元の「通(かよい)定置漁業組合」によると、長門市の青海島から沖合へと張った定置網に、体長約40センチのカツオが次々にかかるようになった。漁獲量は8月だけで7714キロ。数千円で取引される2匹入りの箱で約1100箱に上った。2005〜09年は、この場所で8月のカツオの漁獲量はゼロだった。9月に入ってからも取れ続け、ハマチなども例年と同じくらい水揚げされている。
センターの調べでは、山口県萩市沖の日本海の8月下旬の海面表層の平均水温は、28.8度(平年26.4度)で観測史上最高だった。夏から秋に日本海沖合を北上したカツオが水温の低下に伴って南下し、冬場に山口県の日本海沿岸部で水揚げされることはあるが、8〜9月に沿岸部で取れるのは珍しい。
渡辺専門研究員は日本海側に入ったカツオが沿岸部にも集まった理由を「正直なところ、よく分からない」としており、今後、海水温の調査などから原因を探るという。(青山直篤)