◆田代音響監督に感謝をこめて
テーマ: 番組制作部この件を書こうかどうしようか、相当悩みました。
でも、アニメーションや声優に関心を持った方が多く訪れてもらえるブログなので、功績と状況を知ってもらいたい、記憶のどこかに覚えていて欲しいと願って書く事にしました。
皆さんの中で、9月初旬にこんなニュースに目が止まった方はいるでしょうか?
『アニメ制作会社グループ・タックが破産手続き開始』
このグループ・タックとはアニメの制作会社で、「タッチ」「まんが日本昔ばなし」「ふしぎの海のナディア」等の多くの作品を手がけていた会社です。
その会社が東京地裁に準自己破産を申請したという報道です。
ニュースでは、「少子化の影響でTVアニメのスポンサーが撤退」を原因に挙げ、それでも業績回復の為に活動を行っていたようですが、今年の7月に代表の田代敦巳氏(私にとっては偉大な音響監督)が死去された為に活動が難航してしまい、事業の継続が難しくなって準自己破産を申し立てたとの経緯のようです。
私は、田代さんが亡くなられたというニュースの時点で無念でなりませんでした。
田代さんはグループ・タック設立以前から音響監督として活躍され、代表的な作品であって私個人的にも切り離せない『宇宙戦艦ヤマト』の音響…そして後のアニメ音響を完成させた偉大な音響監督です。
私と同世代の方ならわかると思いますが、ヤマトの効果音で爆発音にガラスの割れる音を入れたのが田代さんです。
また「まんが日本昔ばなし」では、アニメブームの只中でありながら、有名なアニメ声優ではなく『市原悦子』さんと『常田冨士男』さんを起用したのも田代監督でした。
私は、昨年の田代監督の活躍を知っていました。
『汝子校戰艦シンフォニア』でも音響監督をされる吉田監督は、昨年劇場公開された『宇宙戦艦ヤマト-復活編-』でも音響監督をされました。
当初田代監督が音響監督をされ、吉田監督は補佐として参加していました。
田代さんの健康が優れない為に降板されたことを聞いて、心配していた矢先に亡くなられたという報道でした。
吉田監督は、田代監督の意思を引き継いで作品に臨んだのです。
古い友人が『ヤマト』の音響監督として参加する…、とても誇らしく嬉しい出来事の反面、素直に喜べない状況でもありました。
願わくば田代さんに復帰頂き、田代監督・吉田監督の2トップで作品制作に当たって欲しかったと思わずにいられません。
そんな流れの中でのグループ・タックの報道でした。
是非皆さんには今回の報道の前に、田代敦巳という偉大な音響監督がいた事、革新的な人であったことを知って頂けたらと思っています。
声優を目指している方は特に、この音響監督の事を覚えておいて欲しいと願って止みません。
最後に、田代敦巳音響監督様、心よりご冥福をお祈り申し上げます。 遠部俊輝