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共に生きる・トブロサルダ:大阪コリアンの目/56 /大阪

 ◆総理大臣を選ぶ民主党代表選

 ◇外国籍党員も貴重な一票 景気回復や地方参政権への期待込め

 民主党代表選挙に大きな関心が集まっている。14日の投開票を目指して、菅直人、小沢一郎の両陣営がしのぎを削っている。

 海外の学者やNGO関係者との交流の機会も多いが、頻繁に首相が交代する日本の政治には首をかしげている。06年9月の小泉内閣退陣以降、わずか4年余りの間にすでに5人の首相が入れ替わり、在任期間は1人1年に達していない。

 その間も国内の政治経済は低迷を重ね、国際情勢も大きく変化を遂げている。「首相以外に政治責任をとる者が他にいるのか」と私に聞いた海外の市民活動家もいたほどだ。

 民主党代表選がいかなる結果になろうとも、これを契機に、与野党が国会で腰をすえた政策論争に取り組み、政治が安定することを期待したい。

 さて、実は今回の代表選には外国籍党員及びサポーターも一票を投じた。民主党は、党員等の資格に国籍条項を設けておらず、私の友人、知人の在日コリアンも投票はがきに支持する候補者名を書き込んで投函(とうかん)した。

 民主党以外にも公明党、社民党などが外国籍住民に党員資格を認めているが、今回は民主党の代表選でありながらも、内閣総理大臣を選ぶことから、初めての政治参画に心高ぶらせた在日コリアンも少なくない。

 大阪市内に住む金裕珠(キムユジュ)さん(39)は、親しく付き合う地元議員の誘いを受け党員になった。党員になったと言っても決められた党費を納めただけで、党員として特段の意識はなかったという。

 だが今回、自宅に投票用紙が送られてきて、党員としてリーダーを選ぶ意味をかみしめたという。金さんは投票用紙を前にこんな思いを語った。「鉄工所で勤めているが、仕事量が減って周りには週休3日の工場もある。新しいリーダーには景気回復に向け全力を尽くしてほしい」「たなざらしになっている定住外国人の地方参政権法案についても議論を期待したい」--。

 一方、保守系新聞が今回の代表選における外国籍党員等の投票を問題視すると、菅直人首相は「これまで通りでいいのか考えなければならない」と再検討を示唆した。保守系の論調は、外国勢力による組織的関与があればどうなるかと危機感を誇張し、それにあおられて民主党もすぐに「見直し」に触れた。あまりにも拙速で、短絡的なやりとりだ。

 開かれた政党のあり方や国際化、多文化共生は議論の俎上(そじょう)にあがらず、「外国人は危険だ」で共感が広がる。私たちはそんなに危険な存在なのだろうか。<文と写真・金光敏>

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 ■人物略歴

 ◇1971年、大阪市生野区生まれ。在日コリアン3世。大阪市立中学校の民族学級講師などを経て、現在、特定非営利活動法人・コリアNGOセンター事務局長。教育コーディネーターとして外国人児童生徒の支援などに携わる。

毎日新聞 2010年9月11日 地方版

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