2010年9月10日
最先端の技術であるユビキタス技術をショッピングセンターに活用するという実験が茨城県柏市にある「ららぽーと柏の葉」始まった。この実験はユビキタス技術を日本で最初に手がけた坂村健・東大教授が所長をしている「YRPユビキタス・ネットワーキング研究所」と「三井不動産」が共同で行った。私は坂村教授が上野公園でユビキタス技術を活用して、案内をするという実験を取材したころがあるので、その技術がショッピングセンターで行われるというので興味を持った。
「ららぽーと柏の葉」はつくばエクスプレスで秋葉原から約20分の距離である。三井不動産が経営していた「柏ゴルフクラブ」をつぶして作った次世代環境都市の中にある。ユビキタス技術は「いつでも、どこでも、誰とでも」ということで、場所など分からない人たちに案内をしようというものである。
9月4日から20日までの期間で行っている。具体的なものは「次世代デジタルサイネージサービス」(電子掲示板)「インフォスコープ」(建築予定の建物などを示す)「スマートパーキング」(駐車位置確認サービス)などである。
坂村教授がこのサービスについて説明した。この事業は総務省が09年度に予算化した「ICT経済・地域活性化基盤確立事業」(ユビキタス特区事業)を使っているので、総務省から武井審議官も出席した。全国で68カ所実施しているうちの一つであり、1億4千万円の補助がついている。
ららぽーとには50インチの電子掲示板が2台、17インチが13台置かれている。このディスプレイに店舗を紹介する小冊子に印刷された「ucodeQR」を電子掲示板にかざすと、その店舗に向かう方向の映像が出る。このほか店舗の情報が出たり、、クイズラリーなども出来る。これを利用するには時間もかかるので「列が出来て大変なのではないか?」と質問したが、「人気が出てきたら利用できない人も出るかもしれませんね。実験なので、そうした事を見て本番で改善していきます」と、坂村教授は答えていた。
駐車位置のサービスは、駐車場が大きいのでこれは便利である。車を降りると近くの駐車カードを取り、このカードに「ucodeQR」が印刷されていて、どこに止めたかが分かる。建築計画建物紹介サービスは最先端技術のAR(拡張現実感)を利用して建物ができたように見られる。
記者会見で坂村教授に「上野動物園で4年前に行った実験はその後どうなりましたか?」と質問したところ「いまや上野動物園ではこのユビキタス技術をつかった案内は評判がよく来園者に活用されています」と答えていた。
今回のこの実証実験も評判がよければ実用化されて、買い物客には便利になるだろう。三井不動産だけではなく三菱地所など他の不動産会社も取り入れて行くだろう。ただ、先端技術に抵抗がある高齢者にとっては、どうだろう。