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[ICON]大前研一「ニュースの視点」

日本で愚直にものづくり?〜今こそ発想転換、稼ぐための新しい仕組みを考える時

大前研一

提供:大前研一「ニュースの視点」

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そしてもう1つには、今のトヨタには「そんな綺麗事を言う余裕はない」と思います。

まず、インドや中国では物凄い勢いで伸びている企業が沢山あります。彼らを相手にするには死力を尽くしてシェアを奪いに行く姿勢が必要だと私は思います。

また国内企業に目を向けても、スズキ・日産・三菱自動車などは世界に向けての動きを見せています。スズキはおおよそ「日本で150万台」に加えて「インドでも150万台」の体制を作り上げ、さらには中国やハンガリーでも販売数を伸ばしてきています。

日産はマーチの生産をタイや中国に移して、逆輸入する形で日本市場へ送り込む動きを見せています。

その結果、日産のマーチは90万円代で販売できる体制になっています。実際に今後マーチが日本市場でどのくらい販売できるかは分かりません。

しかし「世界最適地で作って、一番良い市場に持ってくる」という日本にこだわらない体制は、いずれにせよ評価に値すると私は思います。トヨタはこうした動きを見せていません。

もしマーチの販売が成功したなら、トヨタにとっては相当なダメージになると思います。綺麗事を言って日本でのものづくりにこだわっている間に、日産との戦略の差が大きく広がってしまう可能性は大いにあると思います。

そして、「世界最適地で作って、一番良い市場に持ってくる」という日本にこだわらない体制で見事に成功しているのは三菱自動車です。

三菱自動車は2011年3月期の海外売上高比率が83%前後と過去最高を更新する見込みです。

※「三菱自動車の地域別売上高」チャートを見る


地域別の売上高を見ると、日本・米国での調子は低迷していますが、一方で欧州(ロシアを含む)・アジアその他の地域で大きく伸びていることが分かります。

国内では様々な問題が噴出してしまった三菱自動車ですが、海外で見事に花を咲かせています。

まだまだ道路が未整備で、ガタガタの道が多い国はたくさんあります。そうした国では三菱自動車のランサーやパジェロは非常に需要があるはずです。

こうした状況を踏まえて、「日本でのものづくり」「日本の製造業」が生き残るためにはどうすればいいのかという議論があります。しかし、私はもはや問題の次元が違うと感じています。
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大前研一「ニュースの視点」

大前研一

経営コンサルタントであり、平成維新の会後の特定非営利法人「一新塾」創立者。株式会社大前・アンド・アソシエーツ代表取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役、ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長。

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